参院選ファクトチェックが続々と/検証10本・関連10本など【今週のファクトチェック】

参院選に関するファクトチェック記事が日本ファクトチェックセンターだけでなく、新聞やテレビなど各社から続々と出ています。まとめて読むには、ファクトチェック・イニシアティブのサイトやスマートニュースのファクトチェックタブが便利です。投票前にぜひ参考にしてください。(古田大輔)
※冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。
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今週の解説・コラム
写真に一言「気持ち悪すぎだろ」と書くだけで拡散する偽・誤情報 何をどう検証したのか【ファクトチェックの舞台裏】
検証の舞台裏や、判断が難しいケース、世界で行われている新たな手法などを紹介するコラムを始めることにしました。各コラムでは「どう検証したか」「どこで迷ったか」「どんな工夫をしたか」「なぜ掲載を見送ったか」など、編集の舞台裏を紹介します。現場の悩みも交えながら、やわらかくお伝えできればと思います。情報を見極めるヒントになれば幸いです。第1回は、投稿の内容があいまいな場合、どのように検証対象とするかについて書きます。

検証か見送りか、あいまいな投稿の判断【ファクトチェックの舞台裏】
このコラムでは、「どう検証したか」「どこで迷ったか」といった舞台裏をわかりやすくお伝えします。情報を見極めるヒントになれば幸いです。今回は第1回に続き、「あいまいな投稿をどのように検証しているか」をテーマに、掲載を見送った事例も交えてご紹介します。

「国籍」を検証する難しさ【ファクトチェックの舞台裏】
日本ファクトチェックセンター(JFC)が様々な話題について検証する中で、毎回手こずるのが「決定的な証拠は本人しか出せない」という事例です。本人に聞くしかないけれど、本当のことを言うとは限らない。第3回は、当事者にしかわからない「国籍」について、検証できた例と、掲載を見送った例を紹介します

今週のファクトチェック
参政党・神谷代表「戸籍がシンプルに」「選択的夫婦別姓で治安が悪化」? 戸籍の根幹に影響なし
参政党の神谷宗幣代表が「戸籍がシンプルになって家族関係がわかりにくくなっている」「選択的夫婦別姓制度で日本の治安が悪くなる」などと発言しましたが、不正確です。戸籍の主要な要素は1947年以降変わっていません。また、選択的夫婦別姓の導入で家族関係が複雑になる、治安が悪化するという主張は根拠不明です。

党首討論CM中に石破首相がアナウンサーを恫喝? 恣意的な切り貼り
石破茂首相が党首討論でテレビ出演した際、CM中に「舐めない方がいい」とアナウンサーを恫喝したという投稿が拡散しましたが、誤りです。添付された動画は恣意的に切り取られています。実際は、石破首相が団塊世代の高齢化が社会保障費の負担増になると語っている場面です。

「期日前投票は不正し放題」「鉛筆だと書き換えられる」? 選挙のたびに拡散
参院選の開始とともに、投票のなりすましや書き換えなどの選挙不正を疑う投稿が拡散しています。これらは選挙のたびに広がる偽・誤情報で、根拠がないか誤った根拠に基づいています。

自民・小泉進次郎氏「立憲民主・野田代表が農林水産予算10倍と発言」? 新規就農支援に
自民党・小泉進次郎農林水産相が、立憲民主党・野田佳彦代表が「農水予算を10倍にする」と発言したかのような投稿をしましたが、誤りです。野田代表の発言は農水予算全体ではなく、新規就農支援に限定した話で、立憲民主党の公約にも明記されています。

「ママのれいわ脳が早くなおりますように」と書かれた短冊? 改変された画像
「ママのれいわ脳が早くなおりますように」と書かれた短冊の画像が拡散しましたが、改変された画像で事実ではありません。検索するとオリジナルが見つかります。

参政党・和田知久氏「総理大臣は天皇陛下の臣下のトップ」? 現在の憲法と異なる
参院選沖縄選挙区に立候補した参政党・和田知久氏が「総理大臣は天皇陛下の臣下の1番トップ」などと発言しましたが、誤りです。日本国憲法では天皇は日本と国民統合の象徴であり、総理大臣を含む国民は臣下ではありません。

参政党・神谷代表「減税が一番スピーディー」? 減税は給付より時間がかかる
参政党の神谷宗幣代表が「給付金を配るのは自治体の負担」「減税が一番スピーディー」などと発言しましたが、不正確です。政府が2020年、全国民を対象に給付した新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の特別定額給付金は、早いところで閣議決定から11日後に給付されています。一方、減税には法改正やシステム改修が必要で、少なくとも数ヶ月以上はかかると見られています。

石破首相「マイナポータルで給付の事務費大幅削減」? 自治体からは批判
石破茂首相は7月2日の党首討論で、2万円給付にともなう事務経費について「マイナポータルの活用で大幅に減らせる」と発言しましたが、根拠不明です。給付金事業の実施主体である自治体は「負担感は変わらない」と述べています。また、マイナポータルを使うことで、どのぐらい経費が削減できるかという見積もりは、総務省もデジタル庁も出していません。

参政党・神谷代表「多国籍企業がパンデミックを引き起こした」? 検証済みの誤情報
7月2日の党首討論会で、参政党・神谷宗幣代表が「彼ら(多国籍企業)はいろんなことをやります。パンデミックを引き起こしたということも噂されています」と発言しました。そういう「噂」はありますが、過去に繰り返し誤りだと検証されています。

立憲・横澤氏「国会は女性議員が少ないが野党は半分が女性」? 参院36%、衆院20%
2025年参院選の演説で、立憲民主党の横澤高徳氏が「国会では女性議員が少ない。でも私たち野党の議席は約半分が女性」と発言しましたが、不正確です。与党よりは比率が高いですが、野党でも女性議員比率は参議院36%、衆議院20%ほどです。

今週のコラム
写真に一言「気持ち悪すぎだろ」と書くだけで拡散する偽・誤情報 何をどう検証したのか【ファクトチェックの舞台裏】
日本ファクトチェックセンター(JFC)は設立から2年半あまり、700本を超えるファクトチェック記事を公開してきました。一方で、検証を進めたものの、記事として公開に至らなかったものも数百本あります。日本でもファクトチェックに取り組む組織や個人が増えつつあります。そうした流れの中で、私たちは検証の舞台裏や、判断が難しいケース、世界で行われている新たな手法などを紹介するコラムを始めることにしました。
各コラムでは「どう検証したか」「どこで迷ったか」「どんな工夫をしたか」「なぜ掲載を見送ったか」など、編集の舞台裏を紹介します。現場の悩みも交えながら、やわらかくお伝えできればと思います。情報を見極めるヒントになれば幸いです。
第1回は、投稿の内容があいまいな場合、どのように検証対象とするかについて書きます。

検証か見送りか、あいまいな投稿の判断【ファクトチェックの舞台裏】
JFCは700本以上のファクトチェック記事を公開してきました。その裏には、掲載を見送った原稿も少なくありません。編集部コラム第2回では、「あいまいな投稿をどう検証するか」について、掲載を見送った事例も交えて紹介します。

今週の動画
小泉さんがシートベルトしてなかった?
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選挙報道はどう変わるのか④~朝日新聞 ファクトチェック編集部発足~【研究員の視点】#588:NHK文研
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判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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