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日航123便墜落事故で機長が「被弾したぞ」と発言? 記録も音声も根拠もなし【ファクトチェック】

日航123便墜落事故で機長が「被弾したぞ」と発言? 記録も音声も根拠もなし【ファクトチェック】

1985年に起きた日本航空123便墜落事故について、「完全版ボイスレコーダー」と称する動画がXやYouTubeで拡散しています。機長が「2機の戦闘機が追い抜いていったぞ!」「被弾したぞ」「本当に撃ちやがった」などと発言したと主張していますが、根拠不明です。国の航空事故調査委員会がまとめ、全文を公開している事故報告書にそのような発言はなく、拡散した音声でも聞き取れません。根拠なく赤字のテロップが追加されているだけです。 検証対象 2025年8月13日、「凄いです、コレ。このVer. は初めて見ました。知らぬ間にここまでボイスレコーダー暴いていたのか」という投稿が拡散した。 8月18日現在、この投稿は2500件以上リポストされ、表示回数は601万回を超える。投稿について「やっと暴かれた」「国は絶対に真実を明らかにしなくてはならない」というコメントの一方で「無音部分に赤字で妄想書いただけ」という指摘もある。 投稿は「【40年追悼】封印された言葉を解き放つ─40年目の真実【日本航空123便御巣鷹山墜落事件】」というYouTube動画を添付している。8月18日現在、

By 木山竣策
被害が拡大するオンライン詐欺、対策はファクトチェックと共通/JFC検証8本、動画など【今週のファクトチェック】

被害が拡大するオンライン詐欺、対策はファクトチェックと共通/JFC検証8本、動画など【今週のファクトチェック】

「ファクトチェック」とは印象が異なるかもしれませんが、オンライン詐欺の問題にも世界の多くのファクトチェック機関が取り組んでいます。 著名人を騙るアカウントを使い、架空の投資話などで資金を振り込ませる。世界中で被害が広がっている手口です。偽アカウントの見分け方、オンラインで見の安全を守るメディア情報リテラシーなど、対策はファクトチェックと共通します。 日本ファクトチェックセンター(JFC)でも、たびたび具体的な事例を挙げて注意を呼びかけていますが、被害額は増える一方です。 法的な取り締まりも必要ですが、まずは身を守るために自衛策を学び、家族や知人にも注意を呼びかけましょう。(古田大輔) ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
実業家・前澤友作氏になりすましたAI偽広告に注意

実業家・前澤友作氏になりすましたAI偽広告に注意

実業家の前澤友作氏になりすました偽広告がYouTubeなどで拡散しています。AIで生成したと見られ、前澤氏自身がSNSで注意喚起をしています。 YouTube広告に著名人の偽広告 実業家の前澤友作氏になりすました偽のYouTube広告が拡散している。偽の動画では、前澤氏が株式投資を勧め、「10倍にしたい人、今すぐ耳を傾けてください」などとLINEへの登録を促している。 一部不自然な日本語で話していたり、唇と発言が一致していない場面もある。また動画上部には「KABU&」と書かれている。 広告リンクをクリックすると、「前澤友作のLINEを無料で追加し、『受取』と送信するだけで、翌日値上がりする銘柄がわかります。さらに、毎週60%の利益が期待できる優良銘柄情報も入手できます」と表示され、「特別な投資情報をお届けします!」とLINEへの登録を促している。 前澤氏やカブアンドもSNSで注意喚起 前澤氏は自身のXアカウントで注意喚起している。 「【拡散希望】前澤やカブアンドを騙る『偽の動画広告』について以下の動画は、すべて個人情報や金銭を騙し取ろうとする極めて

By 木山竣策
参政党、日本保守党に特別委員会の割り当てなし? 画像は過去のもの【ファクトチェック】(修正あり)

参政党、日本保守党に特別委員会の割り当てなし? 画像は過去のもの【ファクトチェック】(修正あり)

2025年7月の参院選で議席を獲得した参政党と日本保守党について「特別委員会の割り当てがない、国民の支持で議席を得た政党が、委員会審議に参加できないのは代表性の欠如」と国会を批判する投稿が拡散しました。これはミスリードで不正確です。画像は2025年1月〜6月の国会資料で、2025年7月の参院選後、参政党、保守党ともに議席に応じて各特別委員会の席が割り当てられています。 検証対象 2025年8月1日、「参政、保守に特別委員会の割り当てなし。国民の支持で議席を得た政党が、委員会審議に参加できないのは代表性の欠如。少数政党だからって、発言の場すら奪うなんてあまりにも理不尽だ」という投稿が根拠とされる画像付きで拡散した。 投稿したアカウントは@Hoshuto-kaihaで「日本保守党会の国会議員、河村たかし、島田洋一、竹上裕子の『会派』アカウント」とプロフィールに記している。 拡散した画像には「※参政、保守については割当なし」と書かれた資料が映っている。 8月15日現在、この投稿は8800件以上リポストされ、表示回数は68万回を超える。投稿について「あれだけ議席

By 木山竣策
太陽光パネルを屋根につけると火災保険に入れない? 損保大手3社など否定【ファクトチェック】

太陽光パネルを屋根につけると火災保険に入れない? 損保大手3社など否定【ファクトチェック】

「太陽光パネルを屋根につけると火災保険に入れない」という投稿が拡散しましたが、根拠不明です。大手損害保険会社3社は公式サイトで保険対象になると説明しています。2025年4月から新築住宅への太陽光パネルの設置等を義務付けている東京都も「太陽光パネルを設置した住宅は火災保険に入ることができる」と説明しています。 検証対象 8月5日、「保険屋さんから聞いたんだけど太陽光パネル屋根に実施すると火災保険に入れないとか」「東京都新築に義務化だったわよね?」という投稿がXで拡散した。 8月15日現在、投稿は6700回以上リポストされ、表示は402万回を超える。 投稿には「火事になった時、水かけられないからでしょ」「発火する可能性が屋根にある訳ですからね」というコメントの一方で「デマです」「その保険屋さん嘘つきだから、他の保険屋さんに契約変えた方が良いよ」という指摘もある。 検証過程 大手損保3社は火災保険の対象、ただし条件も 大手損害保険3社「東京海上日動」「MS&AD三井住友海上」「損保ジャパン」は、自社サイトに太陽光パネルを設置した住宅が火災保険の対象にな

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
中国の土石流? インドの映像【ファクトチェック】

中国の土石流? インドの映像【ファクトチェック】

「中国で災害が多発している」という文言付きの土石流の動画が拡散しましたが、中国の映像ではなく誤りです。動画はインド北部で2025年8月5日に発生した土石流の映像です。 検証対象 8月10日、「中国では、災害が多発しているようです。やはり、神様は天から観ています」という文言付きの動画がXで拡散した。 8月14日現在1300回以上リポストされ、表示は94.9万回を超える。投稿には「難民ヅラして日本に来られたらイヤなんですけど😥」や、「3.11を仙台で体験した被災者だがそれは行いが悪いと我々にも言っているのか?酷くない?」「これってネパールかインドのヒマラヤ地区で起きた災害の映像じゃなかったっけ?」という指摘もある。 検証過程 動画はインド北部の土石流の映像 拡散した動画をGoogleレンズで検索すると、多数の動画が表示される。8月5日にインド北部で起きた土石流の被害を伝える内容だ(Daily Mail、Channel 4 News、ITV News)。 拡散した動画をこれらの映像と比較すると、画角や建物などから、同じ場所を撮影したものであると分かる

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
国民民主・玉木代表がファイザー副社長と写真? 写っているのは著名学者【ファクトチェック】

国民民主・玉木代表がファイザー副社長と写真? 写っているのは著名学者【ファクトチェック】

「ダボス行ってファイザー副社長とツーショットでご満悦の人間を信じられますか?」という文言とともに国民民主党・玉木雄一郎代表が男性と肩を組んでいる画像が拡散しましたが、不正確です。隣に写っているのはファイザー社の副社長ではなく、国際政治学者イアン・ブレマー氏です。玉木氏は、ファイザー社副社長と写った写真も公開していますが、拡散したのとは別の画像です。 検証対象 8月10日、「竹中平蔵の推薦でダボス行ってファイザー副社長とツーショットでご満悦の人間を信じられますか?」という文言付きの、玉木氏と男性のツーショット画像がXで拡散した。 8月14日現在、画像は5400回以上リポストされ、表示は61万件を超える。「この時、このファイザー副社長だけでなく、その他のグローバリスト達とも同様の写真を撮って嬉しそうにポストしまくってましたね」「これらの行動諸々で、危険人物認定しました」などの投稿の一方で「この方はユーラシアグループのイアンブレマー氏のような気がします…」という指摘もある。 検証過程 写っているのは国際政治学者ブレマー氏 拡散した画像は、国民民主党・玉木

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
新聞社が一斉に斎藤知事を攻撃? 共同通信の配信記事【ファクトチェック】

新聞社が一斉に斎藤知事を攻撃? 共同通信の配信記事【ファクトチェック】

「全国の新聞社各紙が示し合わせてほぼ同じ時刻に斎藤知事を攻撃している」という趣旨の投稿が拡散しましたが、誤りです。各社と契約している共同通信の記事を同じ時間に配信しているだけです。 検証対象 2025年8月8日、「全国各紙で『ほぼ同じ時刻』に報道してるのマジで草 各社一斉に示し合わせて報道することで、斎藤知事に対するメディアの『わかりやすすぎる』攻撃にあきれ果てるね。隠す気もないじゃん」という投稿が拡散した。 添付された画像は検索結果に、中日新聞、東京新聞、高知新聞など新聞各社の「任意聴取報道コメントせず 斎藤知事、公選法違反疑い」という記事が並び、「41分前」「42分前」などほぼ同時刻に配信されている。 8月13日現在、この投稿は1900件以上リポストされ、表示回数は52万回を超える。投稿について「全部同じ見出しも凄いですね」「明らかにテンプレ回ってて草」というコメントの一方で「メディアに情報を配信する報道機関があってだな」という指摘もある。 検証過程 拡散した投稿の画像にある記事は以下の通りだ。 中日新聞."任意聴取報道コメントせず 斎藤知事、

By 木山竣策
東京都水道局が不審電話に注意喚起 「10年に一度の管路点検のため訪問したい」は虚偽

東京都水道局が不審電話に注意喚起 「10年に一度の管路点検のため訪問したい」は虚偽

水道局を名乗り、「10年に一度の管路点検のため訪問したい」と電話をする事例が相次いでいます。東京都水道局はXに「そのような宅内の水道管・水道器具の点検はしていません」と投稿し、不審電話への注意を呼びかけています。 「管路点検のため訪問したい」という電話に注意 8月6日、東京都の上下水道に関する情報を発信する公式アカウントが「10年に一度の管路点検のため、訪問したいという電話が頻発しています。東京都水道局ではそのような宅内の水道管・水道器具の点検はしていません」と投稿した。 投稿について「去年もうちにきた」「この間騙されそうになりました」というリプライもついている。 「管路点検」とは 管路とは、水道管や電線などを地下に埋設するための専用の管のことだ。 しかし、「管路点検」という言葉を使っている自治体や水道局は少なく、東京都水道局では「管路点検」という言葉を使った発信をしていない。 東京都水道局「10年に一度の管路点検は存在しない」 日本ファクトチェックセンター(JFC)は東京都水道局に問い合わせた。 東京都水道局は、JFCの取材に対して、屋内で

By 木山竣策
トランプ大統領が参政党を支持? そのような事実はない【ファクトチェック】

トランプ大統領が参政党を支持? そのような事実はない【ファクトチェック】

トランプ大統領が参政党支持を表明したという投稿がXで拡散しましたが、誤りです。トランプ氏のSNSにも米ホワイトハウスの公式サイトにもそうした発表はありません。 検証対象 8月6日、「トランプ大統領 ワシントンDCで公式発表 私は参政党を支持する」という投稿がXで拡散した。 8月12日現在投稿は6900回以上リポストされ、表示は213万回を超える。投稿には「トランプ大統領 素晴らしい👍」「トランプ大統領よく見てますね」というコメントや「勇み足にならないように気をつけましょう」「トランプ氏の思想に触発された参政党が選挙で躍進したって意味でしょ?」という指摘もある。 検証過程 投稿者は、この投稿の直後に「トランプに影響を受けた”日本人ファースト党”が日本で支持を拡大(Trump-inspired ’Japanese First’ party gains ground in Japan)」という記事のスクリーンショットを投稿している。 タイトルを検索すると、アジア系アメリカ人向けニュースサイトNextSharkの記事が表示される(NextShark.”Tr

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
止まらない政治的な誤情報、選挙が終われば減る検証記事/JFC検証6本、コラムなど/AIポッドキャストを開始【今週のファクトチェック】

止まらない政治的な誤情報、選挙が終われば減る検証記事/JFC検証6本、コラムなど/AIポッドキャストを開始【今週のファクトチェック】

政治関係の誤情報が拡散する傾向は、参院選以降も続いています。8月7日には1日で自民、国民民主、社民の3党にかかわるファクトチェックをそれぞれ公開しました。 以前も解説記事で書きましたが、2024年に東京都知事選、総選挙、兵庫県知事選という注目された3つの選挙でソーシャルメディアで政治系のコンテンツを見る人が増えた影響で、誤情報混じりの情報発信が増え、それを見る人も更に増えるという悪循環となっています。 参院選中に盛り上がったファクトチェックも、選挙期間が終われば、検証記事を出すメディアは激減し、野放し状態です。選挙に影響を与える誤情報は、選挙期間中だけに拡散するわけではありません。むしろ、選挙期間中の世論の風は、選挙が始める前にある程度は形作られています。 誤情報への恒常的な対策が必要です。(古田大輔) ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチ

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
「本人がそう言っている」では足りない:検証が止まる瞬間【ファクトチェックの舞台裏】

「本人がそう言っている」では足りない:検証が止まる瞬間【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)がファクトチェックの舞台裏を語るコラム。第5回は、「組織の発表」や「当事者の説明」は偏っている可能性があるため、ボツになった記事を振り返ります。 立ちはだかる企業秘密→保留 2025年4月、エルメスやルイ・ヴィトンなど、ハイブランドのバッグが「実は中国産だ」と主張する動画が拡散しました。 ブランド側は「従業員の多くはフランスで働いている」「製造業者の95%がイタリアに拠点」などと公表しているため、その言葉を信じれば、拡散した動画の検証結果は「誤り」となります。 欧州のメディアやファクトチェック団体の中には、この動画を検証して「偽造品の可能性が高い」「主張は誤りだ」などと報じたところもありました。 一方で、イギリス公共放送のファクトチェックチームBBCVerifyは、ハイブランドの多くが「製造拠点を欧米諸国においていると公表している」と前置きした上で、「ハイブランド業界はサプライチェーンの透明化に対して非常に消極的で、実際のところを正確に知ることはできない。高級ブランドでも、中国で多くの製造が行われている。ただし、『最

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)