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アメリカ産のミニマムアクセス米は除草剤などで健康に影響? 輸入時に安全検査

アメリカ産のミニマムアクセス米は除草剤などで健康に影響? 輸入時に安全検査

「アメリカ産のミニマムアクセス米には、除草剤・殺虫剤等が頻繁に使われていて健康に影響がある」という趣旨の投稿がXで拡散しましたが、誤りです。アメリカ産に限らず、政府が輸入するコメは、農林水産省と厚生労働省が安全検査をしており、基準に満たないコメは輸出国に送り返したり、廃棄したりしています。 検証対象 2025年6月6日、「アメリカ産のミニマムアクセス米には、除草剤・殺虫剤等が頻繁に使われている」という趣旨の投稿がXで拡散した。 投稿には、ニュース番組のような動画が添付され、小泉進次郎農水相が「備蓄米を使い終わったら、ミニマムアクセス米も含め、あらゆる選択肢を考えてコメ価格の高騰を落ち着かせる」などと話している。 また、動画には「ミニマムアクセス米という、除草剤、殺虫剤等の農薬が頻繁に使われていて、発がん性、内分泌かく乱作用、生殖能力への影響などの懸念があり、生態系への影響も指摘されているアメリカ産米」という文言も添えられている。 コメントには、「日本人の身体どうなってしまうんだろう?」や「米国の生産者は残留農薬のことなんてアタマにありませんから」などの意

By 根津 綾子
シンガポールでワクチン接種拒否が犯罪に?  法律の変更はなく当局も否定【ファクトチェック】

シンガポールでワクチン接種拒否が犯罪に? 法律の変更はなく当局も否定【ファクトチェック】

シンガポールでワクチン接種を拒むと犯罪として処罰される法案が通ったという趣旨の情報が拡散しましたが、誤りです。シンガポールには、1977年から、感染症の流行が差し迫った状況に限ってワクチン接種を義務づけることができる法律がありますが、法律が新たに変更されたわけではなく、当局も否定しています。 検証対象 2025年5月13日、「シンガポール『ワクチン接種拒否』を犯罪化/国が義務付けた接種を拒否すると、懲役6ヶ月、さらに常習犯の場合は懲役1年の刑」という投稿が拡散した。 この投稿は、2025年5月12日の別の人物による英語の投稿を引用リポストする形で、日本語で要約したものだ。英語の投稿にはSlay Newsという、アメリカに拠点を置く独立系メディアで、2025年5月7日付の記事リンクがついている。 記事は「シンガポール国民、ワクチン拒否で投獄の可能性――政府が『反ワクチン派』を犯罪者扱いするよう法律を改正」というタイトルで、マイクロソフト共同創業者でワクチン普及を推進しているビル・ゲイツ氏の訪問が法改正に影響したと示唆している。 2025年6月5日現在、拡散

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
石破首相が海外から研究者を呼ぶために10兆円使う? 大学ファンドの一部 【ファクトチェック】

石破首相が海外から研究者を呼ぶために10兆円使う? 大学ファンドの一部 【ファクトチェック】

石破茂首相が海外から研究者を呼ぶために10兆円使うと宣言したという投稿が拡散しましたが、誤りです。もともと準備されている「10兆円規模の大学ファンド」の一部を活用する考えを示しただけです。 検証対象 2025年6月7日、「石破総理、海外から研究者を呼ぶために10兆円使うと宣言。なお、日本政府が日本人の子どもに使う教育予算は4兆円です」という投稿が拡散した。 2025年6月10日現在、この投稿は1.7万件以上リポストされ、表示回数は320万回を超える。投稿について「ほら、財源あるんじゃん」「狂ってる」というコメントの一方で「流石にミスリーディング」という指摘もある。 検証過程 リンクの記事が言及しているのは「10兆円ファンド」 拡散した投稿にはTBS NEWS DIGが2025年6月4日にYahoo!ニュースに配信した「【速報】トランプ政権が大学への圧力を強める中 日本政府10兆円ファンド活用し海外研究者を招へいへ 石破総理が表明」という記事が添付されている。 記事では、トランプ政権がアメリカの大学への圧力を強める中で「石破総理は10兆円ファンドも

By 木山竣策
自衛隊ヘリが中国軍に撃墜された? 過去の誤情報の再拡散【ファクトチェック】

自衛隊ヘリが中国軍に撃墜された? 過去の誤情報の再拡散【ファクトチェック】

自衛隊ヘリが中国海軍に撃墜されたかのような投稿が拡散しましたが、誤りです。墜落は2024年3月に発生した事故で、陸上自衛隊はエンジンの出力低下が原因と発表し、防衛省も中国軍の関与を否定しています。 検証対象 2025年6月5日、「自衛隊ヘリが墜落 近くに中国海軍空母が航行 撃墜されたか」という投稿が拡散した。 この投稿は2025年6月9日現在、207万回以上の閲覧回数と5300件以上のリポストを獲得している。投稿について「これかなりまずくない?」「本当ならマジ許せん」というコメントの一方で「これはデマです」という指摘もある。 検証過程 情報はまとめサイトの発信 検証対象のリンクは、まとめサイト「TweeterBreakingNews-ツイッ速!」の記事だ。タイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「自衛隊ヘリが墜落 近くに中国海軍空母が航行 撃墜されたか(画像あり)」で、記事の元スレッドには画像が添付されている。 画像3枚目をGoogleレンズで検索すると、2023年4月6日に陸上自衛隊ヘリコプターが沖縄・宮古島周辺で消息を絶った事故のニュース

By リサーチ チーム
浜崎あゆみ、友近、ビートたけしが死去? 著名人の偽訃報を発信【ファクトチェック】

浜崎あゆみ、友近、ビートたけしが死去? 著名人の偽訃報を発信【ファクトチェック】

歌手の浜崎あゆみ氏、タレントのビートたけし(北野武)氏、友近氏などの著名人が亡くなったという情報がYouTubeの特定のアカウントから次々と発信されています。これらは偽の訃報で、死亡したという情報は誤りです。サムネイルには「死去」と書いていますが、動画は経歴を自動音声で読み上げるだけで、死去に関する情報はありません。 検証対象 YouTubeで「浜崎あゆみが死去」「ビートたけしが死去」「タレントの友近氏が事故死」など著名人が死亡したという動画が次々と配信されている。 このアカウントは「◯◯が死去」というサムネ付きの動画を遅くとも2023年7月頃から配信しており、直近では1日数本のペースで新たな「訃報」を流している。動画では、人物の画像と共に経歴を紹介する自動音声がそれぞれ約15分間流れる。 これらの動画の中には、視聴数が10万を超えるものもある。これらの投稿に対して「友近が事故で死んだの?何でなん」「なんかあったの?」と信じるようなコメントの一方で「え嘘なら捕まれ」などの批判も出ている。 検証過程 動画の内容は自動音声で不自然な日本語も 拡散した

By 木山竣策
SNS規制法で消される標的?ひろゆき氏に関する偽記事など検証5本/ディープフェイクの検証を解説/関連記事11本【今週のファクトチェック】

SNS規制法で消される標的?ひろゆき氏に関する偽記事など検証5本/ディープフェイクの検証を解説/関連記事11本【今週のファクトチェック】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、新聞協会有志社による選挙のファクトチェックに協力することを発表しました。真偽検証の担い手拡大に貢献していきます。今週の解説ではインドで生成AIによるディープフェイクの検証を専門にしている団体に、傾向や対策を聞きました。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は6月21日(日)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシー

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
AIによる偽情報を世界の専門家はどう検証しているか インドDAUが語るディープフェイク最前線

AIによる偽情報を世界の専門家はどう検証しているか インドDAUが語るディープフェイク最前線

実物と見紛う偽の映像や音声などをAIで作る「ディープフェイク」。世界中のファクトチェック団体が検証に取り組んでいますが、爆発的に増えている上に、技術の進歩で人間の目では見極めが難しいものも出てきています。ディープフェイクの検証に専門的に取り組んでいるインドの団体に話を聞きました。 組織を超えた協力で生まれた「ディープフェイク分析班」 インドで活動するDeepfakes Analysis Unit(ディープフェイク分析班、DAU)は2024年の総選挙をきっかけに誕生しました。ジャーナリストや技術者など、多様な人材の知見を生かして、インド国内のみならず、世界中のディープフェイクの検証をサポートしています。 元々、インドには偽/誤情報対策に取り組むファクトチェック団体やメディアなど13団体(2025年6月現在)で構成する民間組織「Misinformation Combat Alliance(誤情報対策同盟、MCA)」がありました。 DAUはMCAの関連組織として、Metaの支援を受けて誕生。現在は3名の事務局と数名の技術チーム、インド内外の研究機関と連携して、解

By 根津 綾子
通勤手当に課税? あらたに課税される予定はない【ファクトチェック】

通勤手当に課税? あらたに課税される予定はない【ファクトチェック】

政府が通勤手当に課税するという情報が拡散しましたが、誤りです。通勤手当はすでに課税対象ですが、15万円の非課税限度枠があるため、多くの人は対象になりません。また、2025年6月4日現在、政府があらたに課税を検討しているという事実はありません。 検証対象 2025年5月27日、「通勤手当に課税」という投稿がXで拡散した。2025年6月5日現在、投稿は1.6万回以上リポストされ、表示は614万回を超えている。 投稿には「通勤時間も労働時間に入れてくれれば反対しない」や「通勤費が所得な訳ねーだろ」などのコメントのほか「通勤手当への課税を検討している事実はありません」という指摘もある。 同様の情報はYouTubeやTikTokでも拡散した(例1、例2、例3)。 検証過程 拡散した投稿はまとめサイトの記事  拡散した投稿には、まとめサイトJapanNewsNaviの「【石破政権】通勤手当への課税について説明『通勤手当は労働の対象』『差が出るのは不公平』→意味不明すぎて大炎上!」という記事のリンクがついている。 記事には、2025年3月18日に参議院予算委

By 根津 綾子
ひろゆき氏、生放送中のとんでも発言で日銀が提訴? 偽記事を使った詐欺【ファクトチェック】

ひろゆき氏、生放送中のとんでも発言で日銀が提訴? 偽記事を使った詐欺【ファクトチェック】

「ひろゆき氏が生放送中にとんでもない発言をして日銀が提訴した」という記事が、XやYouTubeで拡散していますが、捏造された内容で、誤りです。記事中のリンクは投資を促す偽サイトにつながるため注意が必要です。 検証対象 2025年5月ごろから「(実業家の)西村博之氏が生放送中にとんでもない発言をした」という記事がXやYouTubeのプロモーション(広告)機能で拡散した(例1、例2)。 拡散した投稿の中には、毎日新聞のロゴを用いているものもあるが、リンク先は毎日新聞とは無関係だ。 いずれの投稿も、ひろゆき氏が生放送中に失言をして日銀に訴えられたという内容になっている。 検証過程 リンク先は偽のニュースサイト 投稿に添付されたリンクをクリックすると、「日本銀行が生放送中の発言を理由に西村 博之氏を提訴」という記事が表示される。 記事にはNTTドコモが運営する「gooニュース」のロゴがあり、記事提供元として「読売新聞オンライン」のロゴもある。だが、実際のgooニュースとはURLが異なり、無関係のサイトだ。 記事の内容は、ひろゆき氏と政治評論家の寺島実

By 木山竣策
新聞協会有志社によるファクトチェックにJFCが協力

新聞協会有志社によるファクトチェックにJFCが協力

日本ファクトチェックセンター(運営:一般社団法人セーファーインターネット協会、以下JFC)は、この度、佐賀新聞社、時事通信社、日本テレビ放送網、読売新聞社の4社が実施する「選挙に関する情報を対象とした共同のファクトチェック」に協力することとなりました。 設立から3年弱で約700本の検証記事を公開してきた経験を活かし、4社のファクトチェックに関して検証方法や判定方法などの助言をさせていただきます。ファクトチェックの担い手の多様化に貢献できますことを、大変光栄に思っています。

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
小泉進次郎氏の祖父は横須賀のヤクザで在日朝鮮人? 画像も経歴も無関係【ファクトチェック】

小泉進次郎氏の祖父は横須賀のヤクザで在日朝鮮人? 画像も経歴も無関係【ファクトチェック】

「小泉進次郎氏の祖父は横須賀のヤクザで在日朝鮮人」という情報が、刺青を入れた男性の画像と共に拡散しましたが、誤りです。画像も経歴も小泉家と関係のない人物です。 検証対象 2025年5月28日、「小泉進次郎のお爺さんは『刺青のマタちゃん』と呼ばれていた横須賀のヤクザで在日朝鮮人でした」という投稿が拡散した。投稿には、上半身が裸で刺青を入れた男性に「小泉又次郎」と書いた画像が添付されている。 2025年6月3日現在、この投稿は1万件以上リポストされ、表示回数は995万回を超える。投稿について「小泉一族は売国奴」「まじか」というコメントの一方で、「デマはやめとき」という指摘もある。 検証過程 刺青の男性は彫師「彫千代」 拡散した男性の写真をGoogleレンズで検索すると、Wikimedia Commonsの写真と一致する。説明には「彫師『彫千代』のものと考えられている写真」と記されている。また、元の画像には「小泉又次郎」の文字はない。 この写真は長崎大学附属図書館 幕末・明治期古写真データベースに所蔵され、撮影者は鈴木真一(二代目)と明記されている。

By 木山竣策
SNS規制法によって消されるターゲットのリスト? コミュニティノート付与数のランキング【ファクトチェック】

SNS規制法によって消されるターゲットのリスト? コミュニティノート付与数のランキング【ファクトチェック】

「SNS規制法が開始されたら消されるターゲットのリストがある」という情報が拡散しましたが、誤りです。拡散した表は、X上でコミュニティノートが付与された国内アカウントをユーザーがまとめたランキングです。「SNS規制法」で消されるアカウントのリストではありません。 検証対象 2025年5月27日、立憲民主党の原口一博衆院議員が「『Xにて、SNS規制法が開始されたら消されるターゲット。 (コミュニティノートのバイト要員が明かす)』私も載っている。事実なら何と恐ろしい」と投稿をした。 投稿にはXなどでのライブ配信が添付されている。配信の中で原口氏は「Xにて、SNS規制法が開始されたら消されるターゲット」として、原口氏や「ツイッター速報~BreakingNews」などの名前が書かれたリストを紹介している。 2025年6月3日現在、この投稿は300件以上リポストされ、表示回数は6万回を超える。投稿について「なんて恐ろしい」「負けず頑張ってください」というコメントの一方で「コミュニティノート付いたリストですよ」という指摘もある。 検証過程 リストはコミュニティノ

By 木山竣策