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習近平国家主席が脳卒中で倒れた? 椅子から転げ落ちたという画像が拡散【ファクトチェック】

習近平国家主席が脳卒中で倒れた? 椅子から転げ落ちたという画像が拡散【ファクトチェック】

中国の習近平国家主席が「中国共産党の会議で椅子から転げ落ちた。脳卒中だ」などという言説が画像とともに拡散しましたが、根拠不明です。拡散した画像は2024年3月の全国人民代表大会のもので、その後も公務の様子がたびたび報じられています。2024年7月25日時点で習主席が重篤な状態だという信頼性のある情報はありません。 検証対象 2024年7月18日、「中国共産党の全体会議の写真に、習近平が突然、痛みに震えて椅子から転げ落ちる様子が写っている。 おそらく脳卒中だったのだろう」「衰弱の発作だったのかもしれない」という投稿が拡散した。 添付された画像にはドイツ語で、「習近平は脳卒中を患ったのか?」という題名の後に、「中国共産党本会議の写真には、習近平氏が突然痛みでけいれんし、椅子から転げ落ちる様子が映っている。おそらく脳卒中を起こしたのだろう」などと書かれている。3枚の画像には顔をしかめる習主席や、習主席の机を確認する女性が写っている。 2024年7月25日時点で1800件以上リポストされ、表示回数は117万回を超える。投稿について「どくさつ」「おそらく脳卒中」など

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
ファクトチェックに使えるサイトやツール 公開情報を使いこなす【JFC講座 実践編7】

ファクトチェックに使えるサイトやツール 公開情報を使いこなす【JFC講座 実践編7】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第6回は、公開されている情報に基づいた調査=OSINTについてでした。第7回はファクトチェックに役立つサイトやツールを紹介します。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) ファクトチェックに役立つサイトやツール 理論編から繰り返し説明してきたようにファクトチェックは、検証する際の根拠を開示することが大前提です。 インターネット上には、公開情報を手に入れるのに役立つサイトやツールがたくさんあります。これまでに紹介したGoogle画像検索やInVID、Googleマップなどもそうですが、今回は主に資料探しに役立つサイトやツールを紹介したいと思います。 政府の公式データの活用 中央行政のオープンデータポータル「e-Gov」や政府統計の総合窓口「e-Stat」は、各省庁のデータを横断的に検索できる非常に便利なサイトです。 キーワードやカテゴリ、テーマごとに検索が可能で、信頼性の高い公的データを素早く見つけることができます。 これらのサイトは、海外でも同様のも

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
OSINTでファクトチェック 公開データを使い真偽を判別する【JFC講座 実践編6】

OSINTでファクトチェック 公開データを使い真偽を判別する【JFC講座 実践編6】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第5回は、生成AIで作られる画像や動画の検証についてでした。第6回は公開されている情報に基づいた調査=OSINTについて解説します。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) OSINTとは オープンソースインテリジェンス(Open Source Inteligence=OSINT)とは、一般に公開されている情報を収集し分析する手法のことです。 近年、調査報道やファクトチェックに活用されており、オンライン調査とも呼ばれます。日本ファクトチェックセンター(JFC)でもこの手法を活用しています。 現実の画像かどうかOSINTで確認する 実例で見ていきます。 実践編第5回でも紹介したように、2022年9月の静岡県の水害では、生成AIによる偽画像が拡散しました。 ドローンで撮影された静岡県の災害画像? AIディープフェイクの見分け方【ファクトチェック】台風15号による記録的な大雨に見舞われた静岡県をドローンで撮影したとする画像がTwitter上で拡散しています

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
生成AIをファクトチェック 進化する技術に対抗する方法【JFC講座 実践編5】

生成AIをファクトチェック 進化する技術に対抗する方法【JFC講座 実践編5】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第4回は、増加傾向にある偽動画の検証についてでした。第5回は公開されている生成AIで作られる画像や動画の検証について解説します。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) 生成AIによる「ディープフェイク」 生成AIで作られた偽情報は「ディープフェイク」と呼ばれます。 例えば、アメリカのトランプ前大統領が「岸田首相はグローバリストの操り人形」と話している動画が拡散しました。これは発言内容を自由に捏造できるツールで作られたディープフェイクです。 一方で、AIを使わずに作られた偽の画像や動画などをディープ(深い)に対応して「シャロー(浅い)フェイク」や「チープ(安い)フェイク」と呼びます。 例として、台湾の地震時に東日本大震災の映像が使われた事例があります。現状では、チープフェイクの方が圧倒的に多いですが、ディープフェイクも増えつつあります。 日本のディープフェイク事例 日本で最初に有名になったディープフェイク事例は、2022年9月の静岡県での事例です。「

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
偽動画をファクトチェック InVIDやYouTube検索のコツ【JFC講座 実践編4】

偽動画をファクトチェック InVIDやYouTube検索のコツ【JFC講座 実践編4】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第3回は、偽・誤情報でよく見かける画像の検証についてでした。第4回は増加傾向にある偽動画の検証について解説します。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) 動画の検証もオリジナル探しが鍵 動画は画像と並んで画像と並んで偽・誤情報に用いられやすい形式です。過去の災害動画を現在のものとして使ったり、オリジナルを改変したり、生成AIで捏造したりと、手法も偽画像と共通しています。 検証の手法も動画と画像と同様にオリジナルを探すことが鍵となりますが、Google画像検索のようなシンプルな検索ツールが動画にはありません。 ここでのポイントは動画も、タイトルなどのテキストや、サムネイルなどの画像で管理されているということです。これを利用してオリジナルを探します。 動画の検証 Googleレンズ 実際の事例を元に解説します。 (能登半島地震)過去の津波映像や人工地震説など【ファクトチェック】2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする最大震度7の

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェック講座・実践編/トランプ前大統領銃撃事件をめぐる陰謀論【今週のファクトチェック】

JFCファクトチェック講座・実践編/トランプ前大統領銃撃事件をめぐる陰謀論【今週のファクトチェック】

YouTubeで視聴できるJFCファクトチェック講座は、理論編に続いて実践編がスタートしました。アメリカのトランプ前大統領の銃撃事件は、直後から偽情報と陰謀論が拡散しています。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCファクトチェック講座 7月8日にスタートしたJFCファクトチェック講座は理論編10本を公開しました。偽・誤情報の拡散の実態、背景にある人間のバイアス、それを強化するデジタルプラットフォームのアルゴリズムなどを解説してきました。 7月18日からは実践編。検証の具体的な技術や不可欠のツールの使い方などを紹介しています。 動画は毎日午後5時にアップし、翌日に概要をまとめた記事を配信します。最終回を公開後、これまでの内容に基づくファクトチェッカー認定試験を開始します。オープンバッジで資格を認証する他、ファクトチェッカーを紹介するイベントなどを予定しています。 また、学校や

By 宮本聖二, 古田大輔(Daisuke Furuta)
偽画像をファクトチェック GoogleレンズやTinEyeの使い方【JFC講座 実践編3】

偽画像をファクトチェック GoogleレンズやTinEyeの使い方【JFC講座 実践編3】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第2回は、検証の最大の武器である「検索」についてでした。第3回は偽・誤情報でよく見かける画像の検証についてです。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) 画像検証で重要なのはオリジナル探し 画像を使った偽・誤情報で多いのは、例えば、過去の画像を現在のものとして使ったり、オリジナルを改変したりする事例です。 そこで重要になるのが、検証したい画像と似ている画像を探す「画像検索」です。簡単なツールを知っているだけで、オリジナル画像を効率的に探すことができます。 JFCとGLOCOMが実施した2万人調査では、画像検索をする人は偽情報に気づきやすく、拡散しにくいことがわかりましたが、実践している人はわずか6.7%。画像検索を知らない人が多いのが現状です。 Google画像検索の使い方 まずは最も手軽に使えて強力なGoogle画像検索を説明します。実際の検証記事をもとに説明します。 反原発デモの空撮、報道されなかった?別のデモの写真【ファクトチェック】「反原発デ

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
ファクトチェック最大の武器「高度な検索」は何にでも使える【JFC講座 実践編2】

ファクトチェック最大の武器「高度な検索」は何にでも使える【JFC講座 実践編2】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第1回は、検証の基礎となる「対象の特定」と「過程の公開」についてでした。第2回は検証の最大の武器である「検索」です。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) プロのように検索せよ 世界中で公開されているファクトチェック講座で、必ず取り上げられるのが「高度な検索の方法」です。 誰でも検索はしたことがあるでしょう。しかし、信頼性の高い情報を効率的に見つけるための手法をきちんと学んだことがある人は少ないのでは。 検索はファクトチェックだけでなく、仕事や生活や学業のあらゆる場面で役にたちます。プロの検索方法を解説します。 ファクトチェックの5つの要素 検索の仕方を学ぶ前に、何を検索すればいいのか理解するために「ファクトチェックの5つの要素」を紹介します。アメリカのRumor Guardが紹介している方法論です。 1. 真偽 - 検証対象が本物かどうか確認します。AI技術の発達で、画像や動画の捏造が簡単になっているため、真偽の確認が重要です。 2. 発信源

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
上海総領事が「日系企業が中国撤退」と文書を出した?蘇州日本人学校バス襲撃事件をめぐって【ファクトチェック】

上海総領事が「日系企業が中国撤退」と文書を出した?蘇州日本人学校バス襲撃事件をめぐって【ファクトチェック】

2024年6月24日に中国・蘇州で日本人学校の送迎バスが襲われた事件について、上海の日本総領事館の赤松秀一総領事が日本企業に「日系企業は中国からの撤退を決めた」という文書を通達したとする言説がX(旧Twitter)で拡散しましたが、誤りです。外務省や赤松総領事はそのような文書を出しておらず、総領事館も否定しています。 検証対象 2024年6月30日、「【拡散希望】朗報 日本国駐上海領事館 赤松秀一大使より 日本人を守った中国人女性にご冥福をお祈りします。このような事件が二度と起こさないように 蘇州の日本人学校母子襲撃事件を受け、蘇州日本商業協会が中国撤退を決め、段階的に実施します という公文書を全ての日本企業に通達したようです」という言説が拡散した。 ポストには画像が添付され、「日本国驻上海总领事  赤松秀一」という署名や、中国語の投稿が写っている。 このポストは漫画家の東雲くによし氏によるものだ。東雲氏は「孫向文」名義で文筆家としても活動しており、7月19日時点で3500件以上のリポストと42万回以上のインプレッションを獲得している。 「中国撤退で安心

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
署名400万人集めれば小池都知事をリコールできる?【ファクトチェック】

署名400万人集めれば小池都知事をリコールできる?【ファクトチェック】

「小池百合子リコール運動がはじまりました 署名が400万ほど集まればリコール可能だそうです」という画像が拡散しましたが、不正確です。東京都知事の場合リコール(解職請求)に必要な有権者の署名数は、約154万人(2024年6月現在)です。また、就任から1年以内の首長をリコールすることはできません。 検証対象 2024年7月9日、「小池百合子リコール運動が始まりました 署名が400万ほど集まればリコール可能だそうです」という投稿が拡散。この投稿は2024年7月19日現在、6500件以上のリポストと68万回以上の表示回数を獲得している。 検証過程 リコールとは リコール(解職請求)とは、有権者が署名を集めて、自治体の長や議員の解職を求める制度だ。 首長・議員へのリコールの場合、選挙管理委員会への請求後、住民投票がある。住民投票の結果、過半数が賛同したときにリコールされた首長や議員は解職となる。 リコールに必要な署名数は? リコールには、必要数以上の有権者の署名を集めるなどの要件がある。地方自治法81条では、都道府県知事や市町村長と言った「普通地方公共

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
木村拓哉氏「国会議員を選び直して貰いたい」と日本国民にお願い?【ファクトチェック】

木村拓哉氏「国会議員を選び直して貰いたい」と日本国民にお願い?【ファクトチェック】

俳優の木村拓哉氏が「国会議員を選びなおしてもらいたい」と日本国民にお願いしたという言説が拡散しましたが誤りです。引用された文言はドラマのセリフです。 検証対象 2024年7月6日、「木村拓哉から日本国民にお願いがあります『国民の皆様に国会議員を選び直して貰いたいんです』」「首都『東京』の都知事って国会議員より権力がありますからね。小池百合子だけは駄目です」という言説が拡散した。 2024年7月19日現在、投稿は4100件以上リポストされ、表示回数は446万件を超える。投稿について「いいぞキムタク」「木村拓哉が、小池百合子だけは駄目だと」というコメントの一方で「昔主演してたドラマのワンシーン」と指摘する投稿もある。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、木村氏が「国会議員を選びなおしてもらいたい」と発言したかどうかについて調べた。拡散した言説のリンクを確認すると、独立系メディアを名乗る「NewsSharing」というサイトに繋がる。サイトには「ソース」と書かれた欄はあるが、リンクがないため情報源や引用元を確認することができない。 文言は

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
ファクトチェックの基礎 検証対象・過程・結果を明示する 【JFC講座 実践編1】

ファクトチェックの基礎 検証対象・過程・結果を明示する 【JFC講座 実践編1】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 理論編では、ファクトチェックの意義や重要性などの他、偽・誤情報が拡散する背景にある認知心理学やデジタル時代の情報生態系の実態などについて幅広く解説しました。実践編は検証の具体的な手法やツールなどを紹介します。 第1回は検証の基礎となる、「対象の特定」と「過程の公開」から始めます。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) ファクトチェックの基本構造 理論編でも説明したように、ファクトチェックは「客観的に検証可能な事実」のみを対象にして検証します。憶測や意見は対象外で、まずは何を検証しようとしているかを明確にする必要があります。 JFCの場合は全てのファクトチェック記事を同じ構成にしています。まず最初に検証対象を明確にし、検証過程を詳細に記し、検証結果を明らかにする。検証対象・検証過程・検証結果(判定)です。 世界の多くのファクトチェック団体の記事も、同じような構成のものが多いです。 検証対象を明確にする JFCのファクトチェック記事で解説します。 X(旧Twitter)で「9

By 古田大輔(Daisuke Furuta)