「真理省はいらない」認知戦への対策は/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

「真理省はいらない」認知戦への対策は/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

1週間のドイツ滞在を終えて、帰国の途についています(その関係で今週もニュースレターの配信が一日遅れてしまいました)。

公共放送含む大手メディア、ファクトチェック団体、メディアリテラシー団体、政府機関など、様々な立場の専門家と偽・誤情報の現状と対策について議論しました。中でも話題の中心となったのは、ロシアからの認知戦の現状です。

ドイツで著名な事例と言えば、ドッペルゲンガー作戦です。ドイツの大手メディアのサイトを模倣したサイトが大量に作られ、偽記事をSNSで拡散させるという手口でした。CORRECTIVの調査報道などでその実態が明らかとなっています。

政府もこれらの現状に対して、外国からの影響工作に対する備えを強化しています。その動きは国家情報局を設置する日本にとっても参考になるでしょう。

印象的だったのは「ドイツはバルト3国や北欧などと比べて認知戦への対応が遅れた」という言葉です。海外からの影響工作について、ロシアの行動を明らかにする報道や政府対応などを見ると、日本よりもかなり先行しているように見えますが、自己評価は違うようです。

「真理省はいらない」という声も聞きました。真理省とは、ジョージ・オーウェルが1949年に発表したディストピア小説『1984年』に出てくる、何が真実かを定める政府機関です。偽情報が拡散することは問題ですが、政府が何が事実で何が間違っているかを決めることは、別の問題をはらんでいます。

政府が何が真実かを決める社会は、民主主義とは言えません。海外からの影響工作で選挙が歪められることは、民主主義への攻撃ですが、それを守るために民主主義を捨ててしまえば、本末転倒です。

では、ドイツから見ても「進んでいる」と見えるバルト3国や北欧ではどんな対策が取られているのか。来週、リトアニアで開催されるファクトチェッカーの年次総会「Global Fact」で現地に出張するので、取材をしてきます(古田大輔)。

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今週のお知らせ

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。

次回の開講は6月27日(土)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。

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今週のファクトチェック

インドで巨大な「雹(ひょう)」が降った? 動画は生成AI

「インドの雹 スケールがデカすぎる」という文言とともに、氷の塊のようなものが街を壊す動画がXで拡散しましたが、現実の映像ではありません。動画はAIで生成の特徴を多く含んでいます。

インドで巨大な「雹(ひょう)」が降った? 動画は生成AI【ファクトチェック】
「インドの雹 スケールがデカすぎる」という文言とともに、氷の塊のようなものが街を壊す動画がXで拡散しましたが、現実の映像ではありません。動画はAIで生成の特徴を多く含んでいます。 検証対象 拡散した投稿 2026年5月25日、「インドの雹 スケールがデカすぎる」という文言とともに、両手で抱えきれないほどの大きさの氷の塊が降り、車や建物を壊す動画がXで拡散した。 検証する理由 5月29日現在、この投稿は1200件以上リポストされ、表示回数は397万回を超える。投稿には「とても危険」「実際に研究があったはず」というコメントの一方で、「これホンマ?」という指摘もある。 検証過程 15秒間の動画には、不自然な描写が多く含まれている。 例えば0:02から0:03にかけて、大きな氷の塊が屋根を壊す場面があるが、屋根は氷が落下する前に崩れている。また0:04から0:05では、白い車のボンネットに落ちた氷の塊が、建物と車のわずかな間へ吸い込まれるように消えている。 ツールもAIの可能性が高いと判定 「Hive Moderation(Hive AI D

経営ビザ取得者の「9割が不正」? 疑いがある事業者に対する調査

厳格化された経営・管理ビザについて「外国人事業者の内9割が、経営実態のない会社、日本への移住目的、高度医療を受けるため悪用していた」という投稿がXで拡散しましたが、不正確です。全体の9割が不正だったかのように読めますが、不正が9割というのは「疑わしい事業者約300件を対象にした調査結果」で、経営ビザ取得者の9割という意味ではありません。

経営ビザ取得者の「9割が不正」? 疑いがある事業者に対する調査【ファクトチェック】
厳格化された経営・管理ビザについて「外国人事業者の内9割が、経営実態のない会社、日本への移住目的、高度医療を受けるため悪用していた」という投稿がXで拡散しましたが、不正確です。全体の9割が不正だったかのように読めますが、不正が9割というのは「疑わしい事業者約300件を対象にした調査結果」で、経営ビザ取得者の9割という意味ではありません。 検証対象 拡散した投稿 2026年5月10日、「経営・管理ビザの厳格化により申請が96%減少。また既存の会社を調査した結果、9割が不正。つまり外国人事業者の内9割が、経営実態のない会社、日本への移住目的、高度医療を受けるための悪用していた」という投稿がXで拡散した。投稿は、ニュース番組の動画も添付している。 検証する理由 6月2日現在、この投稿は1万回以上リポストされ、表示回数は66万回を超える。投稿について、「『9割が不正』は扱いに注意がいる」という指摘もあるが、「9割不正って大問題ですよ」「これが外国人が集まる理由」などと誤解しているコメントも多いため、検証する。 検証過程 経営・管理ビザの厳格化 政府

今週の動画/ポッドキャスト

中国がモスクを破壊する動画? インドネシアの遊園地の解体 

経営ビザ取得者の「9割が不正」?小泉今日子さん 「不法難民は強制送還ではなく保護を!」と発言?~JFC週刊ポッドキャスト2026年6月5日号~


日本ファクトチェックセンターがお届けする「JFC Weekly Podcast」です。AIパーソナリティがわかりやすく解説していきます。

今回のトピックは、以下の通りです!

小泉今日子さん 「不法難民は強制送還ではなく保護を!」と発言? 文言を改変【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/duo-yang-xing/kyoko-koizumi-illegal-refugees-claim/

経営ビザ取得者の「9割が不正」? 疑いがある事業者に対する調査【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/duo-yang-xing/business-manager-visa-fraud-claim/

紹介した海外の記事はこちらの3本です。

https://edmo.eu/publications/how-the-european-far-right-is-using-ai-generated-content-to-engage-voters/

https://gijn.org/academy/second-course-ai-smarter-journalism-no-prompting-hallucinations/

https://www.newsweek.com/how-spot-fake-ai-job-listing-12017242

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https://www.edelman.com/jp/ja/news-awards/2026-trust-barometer


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外国籍でも警察官になれる都道府県がある? 日本国籍が必要【ファクトチェック】

外国籍でも警察官になれる都道府県がある? 日本国籍が必要【ファクトチェック】

東京都・大阪府・神奈川県・愛知県・京都府について、警察官の採用条件から日本国籍を外すなど国籍要件緩和の動きがあるという投稿がXで拡散しましたが、誤りです。5都府県の採用情報には日本国籍が必要と書かれています。警察庁も「撤廃したという事実はない」と否定しました。 検証対象 拡散した投稿 2026年6月12日、「警察官の国籍条項を撤廃したらダメでしょう」という文言とともに、「国籍(日本国籍)を採用条件から外して警察官を採用できるようにした都道府県は、2020年代以降いくつかあります」という画像付き投稿がXで拡散した。画像には東京都・大阪府・神奈川県・愛知県・京都府が挙げられている。 検証する理由 この投稿は12000件以上リポストされ、表示回数は110万回を超える。「ぜったいにまずいでしょう」「こんな事するから外国人の事件が増えても取り締まれないんだよ」というコメントの一方で「ガセネタ」という指摘もあるため検証する。 検証過程 警察官採用情報に国籍要件を明記 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、5都府県の警察官採用情報を確認した。 警視

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
サッカー日本代表「Ren Aoki」がブラジルを挑発? 存在しない選手【ファクトチェック】

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2026年サッカーワールドカップ(W杯)で、日本代表の「Ren Aoki」という選手が決勝トーナメントについて「もうベスト16には進出」と1回戦であたるブラジルへの勝利を宣言したという投稿がXで拡散しました。しかし、これは誤りです。今大会の日本代表に「Ren Aoki」という選手は存在せず、添付された選手画像はAIで作ったとみられます。 検証対象 拡散した投稿 「『ブラジル戦に緊張してるかって? もちろん、もうベスト16には進出してるんだから』Ren Aoki 信じられない」というポルトガル語の投稿が、日本代表のユニホームを着た男性の画像とともに拡散した。 検証する理由 この投稿は770件以上リポストされ、表示回数は110万回を超えている。ブラジル人サポーターから「日本よ、覚悟しておけ」「傲慢」といった反発のコメントが多数寄せられているため検証する。 検証過程 サッカーW杯北中米3カ国大会は日本時間の6月12日に開幕し、7月20日に決勝戦がある。日本は1次リーグを2位で通過し、日本時間6月30日午前2時から、米テキサス州ヒューストンで実施される

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
地域で拡散する偽・誤情報に地域で対抗する/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

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土曜日に日本メディア学会と情報通信学会に登壇しました。テーマは「宮城県知事選挙における偽情報拡散への対応に関するローカルメディアの取り組み」と「SNS選挙・偽情報問題から問う2026年衆院選と民主主義の行方」でした。 前者については私から「地域で拡散する偽・誤情報を素早く検知・検証できるのは地域のメディアや組織だけ」であり、「By the community, for the community(地域コミュニティが地域コミュニティのために)」が重要だと指摘しました。 後者については、生成AIによるディープフェイクが2025年から激増しており、すでに「AI氾濫」とでも呼ぶべき状況になっていると説明し、ファクトチェックだけでなくメディアリテラシーの普及や、根本的な法制度の整備などが必要だと訴えました。 ファクトチェッカーやメディアがアカデミアの方々と交流し、協力していく「越境」「コラボ」も重要なキーワードです。宮城県でのローカルメディアの取り組みに関しては、河北新報での勉強会や宮城県の有識者委員会などにも参加しています。 組織や業界を超えた、民主主義を守るための協力を日

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
ベネズエラの地震で発生した津波? 2011年の東日本大震災の動画【ファクトチェック】

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南米ベネズエラで起きた地震に関連して「ベネズエラのラ・グアイラで津波が発生した」という文言とともに、津波の動画が拡散しましたが、誤りです。動画は2011年の東日本大震災の津波を撮影したものです。 検証対象 拡散した投稿 2026年6月25日、「Tsunami en La Guaira, Venezuela tras los terremotos ocurridos hoy de 7.1 y 7.5 grados.(ベネズエラのラ・グアイラで津波、今日発生したマグニチュード7.1および7.5の地震に続く)」というスペイン語の投稿が、Xの自動翻訳機能による日本語訳とともに、動画付きで拡散した。 動画は1分25秒間で、警報の音や、船や岸を波が襲う様子が映っている。 検証する理由 この投稿は1300件以上リポストされ、表示回数は99万回を超える。「そのシーンは日本の津波」という指摘もある一方で、「ベネズエラは今日大打撃を受けた」「残酷」と事実として受け止められているようなコメントもあるため、検証する。 検証過程 24日にベネズエラで大規模な地震

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は7月25日(土)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。 日本ファクトチェックセンター(JFC) ファクトチェック講師養成講座 7月25日(土)開催分日本ファクトチェックセンター(JFC)による講師養成講座です。 講師養成講座(オンラインで90分)を受講いただいた後、修了課題を提出された方には、教室や職場などで利用可能な教材の提... powered by Peatix : More than a ticket.Peatix 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情

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理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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JFCファクトチェッカー認定試験

JFCファクトチェッカー認定試験

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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