経営ビザ取得者の「9割が不正」? 疑いがある事業者に対する調査【ファクトチェック】

経営ビザ取得者の「9割が不正」? 疑いがある事業者に対する調査【ファクトチェック】

厳格化された経営・管理ビザについて「外国人事業者の内9割が、経営実態のない会社、日本への移住目的、高度医療を受けるため悪用していた」という投稿がXで拡散しましたが、不正確です。全体の9割が不正だったかのように読めますが、不正が9割というのは「疑わしい事業者約300件を対象にした調査結果」で、経営ビザ取得者の9割という意味ではありません。

検証対象

拡散した投稿

2026年5月10日、「経営・管理ビザの厳格化により申請が96%減少。また既存の会社を調査した結果、9割が不正。つまり外国人事業者の内9割が、経営実態のない会社、日本への移住目的、高度医療を受けるための悪用していた」という投稿がXで拡散した。投稿は、ニュース番組の動画も添付している。

検証する理由

6月2日現在、この投稿は1万回以上リポストされ、表示回数は66万回を超える。投稿について、「『9割が不正』は扱いに注意がいる」という指摘もあるが、「9割不正って大問題ですよ」「これが外国人が集まる理由」などと誤解しているコメントも多いため、検証する。

検証過程

経営・管理ビザの厳格化

政府は外国人が日本国内で事業を営むために必要な「経営・管理」の在留資格の要件を改正し、2025年10月16日に施行した。

資本金等の要件が従来の500万円から3000万円へと引き上げられ、常勤職員1名以上の雇用や日本語能力なども新たな要件に加わった(以上、出入国在留管理庁.”在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について”)。

「不正が9割」の主張の根拠は

投稿は、2026年5月9日にYouTubeで公開されているTBS系列のニュース番組「news23」の動画「【経営・管理ビザ厳格化】入管調査では“実態ない申請”相次ぐも… 資本金3000万円の“壁”で長年働いてきた外国人経営者も帰国迫られかねない現状 」を引用している。

この動画を根拠に「申請が96%減少」「既存の会社を調査した結果、9割が不正」「外国人事業者の内9割が不正」などと主張している。

「9割」は実態が疑わしい300件を対象にした調査結果

元になった動画は「経営・管理ビザ」の取得要件が厳格化された背景や、その影響を報じている。動画内では、 確かに「9割が不正」という言葉が出てくるが、これはすべての経営ビザ取得者を対象にして述べているわけではない。

動画内(10:26~)では、以下のように説明している。

「ビザの取得者の方って、4万6800人ほどいらっしゃるんですけれども、この厳格化の根拠になっているのはこのうち書類上不正が疑われる300人を取り出して、その9割が不正だった、っていうことなんですね。だからこの300人を取り出している調査なので、全体を調べたわけではありませんし、その中には真面目に働いている方もたくさんいらっしゃる」

つまり、「9割が不正」というのはビザ取得者4万6800人の9割ではなく、「不正が疑われた約300件を対象にした調査」の結果の9割だということだ。

入管庁は「事業実態に疑義がある300件を調査」と答弁

この調査は、出入国在留管理庁によるものだ。2026年5月14日の参議院法務委員会(2:32:07~)で、入管庁次長が以下のように答弁している。

「東京出入国在留管理局において、許可基準改正前である令和5年9月から、令和6年12月末までに、事業実態に疑義があるとして実地調査を行った約300件のうち、約9割を事業実態に問題があるなどの理由で不許可としているところでございます」

「申請が96%減少」は正確

また、拡散した投稿は「経営・管理ビザの厳格化により申請が96%減少」とも主張している。この点について、2026年5月12日、出入国在留管理庁の調査として、要件厳格化前の月平均約1700件から厳格化後は月平均約70件に減少したと各社が報じている。

記事の見出しにある通り96%減だ(読売新聞."外国人経営者向けビザ、 取得要件を厳格化したら…申請件数96%減"、朝日新聞”【そもそも解説】在留資格「経営・管理」が厳格化 資本金は3千万に”)。 

ファクトチェック団体「リトマス」も、この投稿について、5月28日にファクトチェック記事を公開して「不正確」と判定している(リトマス.”経営ビザ「9割が不正」投稿は不正確 疑いあり事案のみの調査”)。

判定

経営ビザ取得者の「9割が不正」という数字は、経営ビザ取得者約4万6800人全体を調査したものではなく、入管庁が事業実態に疑義があるとして抽出した約300件を調査した結果だ。拡散した投稿が引用した動画でも明言されている。よって不正確と判定した。

出典・参考

出入国在留管理庁. "在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について". https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html , (閲覧日2026年6月2日). 

TBS NEWS DIG. "【経営・管理ビザ厳格化】入管調査では"実態ない申請"相次ぐも… 資本金3000万円の"壁"で長年働いてきた外国人経営者も帰国迫られかねない現状【news23】". https://youtu.be/R5cA7NiWHUs?si=OIvHJmSGCNW6T5u4&t=626 , (閲覧日2026年6月2日). 

参議院. "法務委員会 2026年5月14日". https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=9005  ,(閲覧日2026年6月2日). 

読売新聞."外国人経営者向けビザ、 取得要件を厳格化したら…申請件数96%減".https://www.yomiuri.co.jp/politics/20260512-GYT1T00233/  ,(閲覧日2026年6月2日). 

朝日新聞”【そもそも解説】在留資格「経営・管理」が厳格化 資本金は3千万に”.https://digital.asahi.com/articles/ASV4P11Q5V4POXIE05CM.html  ,(閲覧日2026年6月2日). 

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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