外国籍でも警察官になれる都道府県がある? 日本国籍が必要【ファクトチェック】

外国籍でも警察官になれる都道府県がある? 日本国籍が必要【ファクトチェック】

東京都・大阪府・神奈川県・愛知県・京都府について、警察官の採用条件から日本国籍を外すなど国籍要件緩和の動きがあるという投稿がXで拡散しましたが、誤りです。5都府県の採用情報には日本国籍が必要と書かれています。警察庁も「撤廃したという事実はない」と否定しました。

検証対象

拡散した投稿

2026年6月12日、「警察官の国籍条項を撤廃したらダメでしょう」という文言とともに、「国籍(日本国籍)を採用条件から外して警察官を採用できるようにした都道府県は、2020年代以降いくつかあります」という画像付き投稿がXで拡散した。画像には東京都・大阪府・神奈川県・愛知県・京都府が挙げられている。

検証する理由

この投稿は12000件以上リポストされ、表示回数は110万回を超える。「ぜったいにまずいでしょう」「こんな事するから外国人の事件が増えても取り締まれないんだよ」というコメントの一方で「ガセネタ」という指摘もあるため検証する。

検証過程

警察官採用情報に国籍要件を明記

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、5都府県の警察官採用情報を確認した。

警視庁(東京都)は、警察官の受験資格について「日本の国籍を有しない人」は受験できないとしている(警視庁."令和8年度警視庁採用サイト")。 

大阪府警察の採用案内も、受験資格として「日本国籍を有している人」と明記している(大阪府警察."大阪府警察採用案内")。

神奈川県警察は、「日本国籍を有しない人」は試験を受けることができないとしている(神奈川県警察.”令和8年度警察官採用試験”)。

愛知県警察の受験案内にも「次のいずれかに該当する人は受験できません。(1) 日本の国籍を有しない人」とある(愛知県警察."令和8年度愛知県警察官採用候補者試験日程")。

京都府警察の警察官採用試験のウェブサイトには、「日本の国籍を有しない方及び地方公務員法第16条各号のいずれかに該当する方は、受験できません」とある(京都府.”令和8年度警察官採用試験")。 

拡散した画像には「国籍(日本国籍)を採用条件から外して警察官を採用できるようにした都道府県は、2020年代以降いくつかあります」と書かれている。しかし2026年7月1日現在、投稿で挙げられた警視庁(東京都)・大阪府警・神奈川県警・愛知県警・京都府警のいずれの採用情報にも、日本国籍を有することが受験資格として明記されている。 

警察庁「国籍要件を撤廃したという事実はない」

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、警察庁に、警察官の採用条件から国籍要件を撤廃したのか、2020年代以降、警察官採用から日本国籍要件(国籍条項)を外した都道府県警察は実際に存在するのかを取材した。

警察庁長官官房人事課の回答を以下に引用する。

(以下、引用)
都道府県警察において、国籍要件を撤廃したという事実はない。地方公務員法上、地方公務員の採用に日本国籍であることを要件とする明文の規定はないが、行政解釈として、従来から、日本の国籍を有しない者を公権力の行使又は国家意思の形成に参画する職に任用することはできず、このような職に就くことが予想される職の採用試験に外国人の受験資格を認めることは適当でないとされている(S28.3.25内閣法制局見解等)。 警察官は、公権力の行使等に携わる地方公務員であることから、その採用に当たっては、日本国籍を有することを要件としているものと承知している。
(引用以上)

また、「各都道府県の判断で国籍要件を変更することは制度上可能なのか。変更する際は、どのような手続きなのか」という問いに対しても、警察庁は下記のように回答した。

(以下、引用)
採用試験に関する事務は、各都道府県人事委員会の事務であり、お尋ねの国籍要件の設定に関しても、各人事委員会が権限を有している。したがって、全ての都道府県の規定を網羅的に調べたわけではないが、前述の内閣法制局見解等を踏まえ、それぞれの都道府県人事委員会規則等において、いわゆる国籍条項を定めているものと承知している。
(引用以上)

これらの回答から、拡散した投稿が主張する、5都府県で警察官採用の国籍条項が撤廃されたという事実はない。

画像の左上にGPTの文字

拡散した画像の左上には、OpenAIが開発したAIチャットサービス「ChatGPT」のロゴがある。画面には「GPT-5 mini」という文字も確認できる。「GPT-5 mini」は、OpenAIが提供するモデルの一つだ(OpenAI.”GPT-5 mini Model”)。

つまりこの画像は、誰かがChatGPTに「国籍条項を撤廃した都道府県はあるか」と質問し、その回答画面をスクリーンショットしたものである可能性が高い。

ChatGPTに質問も「存在しません」

JFCは、ChatGPTに「国籍(日本国籍)を採用条件から外して警察官を採用できるようにした都道府県は、2020年代以降いくつかあるか?」と質問した。回答は「『日本国籍要件を外して外国籍者も警察官として採用できるようにした都道府県警』は、私が確認できる範囲では存在しません」というものだった。

生成AIは同じ質問をしても、それまでの質問の傾向やモデルの種類、会話の文脈などによって異なる回答を生成することがある。数回試したが一度も拡散した画像のような回答にはならなかった。

投稿主に問い合わせも回答なし

JFCは2026年6月15日、投稿主に、添付画像がChatGPTの回答画面なのかや、質問内容、事実確認の有無などを質問した。しかし、7月1日現在、回答はない。回答があれば追記する。 

判定

画像にある各都府県の警察の採用情報には、日本国籍が必要だと書かれており、警察庁も国籍要件の撤廃を否定している。また、拡散した画像はChatGPTの回答のスクリーンショットの可能性があり、公式発表や報道に基づくものではない。よって「国籍条項を撤廃した都道府県がある」という主張は誤りと判定した。

出典・参考

警視庁."令和8年度警視庁採用サイト".https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/saiyo/2025/recruit/info-staff2.html ,(閲覧日2026年6月16日)

大阪府警察."大阪府警察採用案内”.https://www.police.pref.osaka.lg.jp/ochikakunokeisatsusho/keisatsushobetsujoho/2/2/5/15918.html  ,(閲覧日2026年6月16日)

神奈川県警察.”令和8年度警察官採用試験”.https://www.police.pref.kanagawa.jp/saiyo/saiyo_annai/mesb0001.html ,(閲覧日2026年6月16日)

京都府."警察官採用試験".https://www.pref.kyoto.jp/recruit/news/shikenjyohokeisatu.html  ,(閲覧日2026年6月16日)

愛知県警察."令和8年度愛知県警察官採用候補者試験日程".https://policesaiyo-aichi.lg.jp/news/2026/03/8-1.html ,(閲覧日2026年6月16日)

OpenAI.”GPT-5 mini Model”.https://developers.openai.com/api/docs/models/gpt-5-mini  ,(閲覧日2026年6月16日)

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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