公式を装うSNSアカウントの増加/AI生成ニュースサイトの国際調査【注目のファクトチェック】

公式を装うSNSアカウントの増加/AI生成ニュースサイトの国際調査【注目のファクトチェック】
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日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら

2024年2月19-25日のファクトチェック週報です。ロシアのウクライナへの侵攻が始まって24日で2年、ウクライナへの支援をめぐる誤情報が拡散しています。著名人や企業のなりすましアカウントがSNSで増えており、見分け方を記事で解説しています。生成AIで作るニュースサイトが世界的に広がっているという調査も紹介します。

JFCのファクトチェック記事

槇原敬之さんの偽アカウントが出現

歌手の槇原敬之さんの偽アカウントが出現しています。公式アカウントは「公式アカウントは、HPに掲載しているもののみです。また、新規開設する際は、必ずHP等で告知いたします」と注意喚起をしています。

槇原敬之さんの偽アカウントが出現 有名人を装ったアカウントに注意
歌手の槇原敬之さんの偽アカウントが出現しています。公式アカウントは「公式アカウントは、HPに掲載しているもののみです。また、新規開設する際は、必ずHP等で告知いたします」と注意喚起をしています。 SNS上に複数の偽アカウント X(旧Twitter)やInstagram上では、槇原さんの偽アカウントが複数確認できる。これらは公式のアカウントに比べるとフォロワー数も投稿も少ないことが特徴だ。 (偽アカウントの一例) 偽アカウントには反応しない このようなSNSアカウントを見かけた場合は、反応をしないことが対策になる。公式アカウントは以下のような注意喚起をしている。 ・プロフィールやメッセージに記載されたアドレスにはアクセスせず、メッセージは削除してください。 ・偽アカウントからのフォローリクエストは拒否をして、偽アカウントはブロックをしてください。 ・偽アカウントから要求される個人情報の入力、返信には一切応じないでください。 偽アカウントや偽サイトに注意を 著名人に加えて大企業や自治体などのサイトやSNSアカウントを装う偽アカウント・偽サイトが

「(画像)イグハラ:存在自体がハラスメント」をテレビが解説というのは誤り

テレビ局のニュース番組で「イグハラ(存在自体がハラスメント)」を紹介したとされる画像が拡散しましたが、誤りです。この画像は元々別のアカウントがネタ画像として投稿したもので、現実のニュース番組ではありません。

「(画像)イグハラ:存在自体がハラスメント」をテレビが解説というのは誤り 過去のネタ投稿が拡散【ファクトチェック】
テレビ局のニュース番組で「イグハラ(存在自体がハラスメント)」を紹介したとされる画像が拡散しましたが、誤りです。この画像は元々別のアカウントがネタ画像として投稿したもので、現実のニュース番組ではありません。 検証対象 2024年2月14日、「”イグハラ”とか出た当時は笑い話扱いだったんだけど、チー牛という概念にあらゆるヘイトが集まっていく昨今の𝕏 を見ていると『存在自体が罪』ってのがマジで洒落にならなくなってきてんね」というポストが拡散した。投稿には様々なハラスメントを紹介する画像が添付されている。この投稿は2月16日現在、151万回以上の表示と1.2万件以上のいいねを獲得している。 返信欄では「ハラスメントつければなんでも正当化できると思ってそう。やってることが子供のイジメと変わらない」「イグハラってもう独裁スイッチじゃん…」などの反応があった。 検証過程 この画像は元々は別のアカウント(以下、画像制作者)がネタ画像として投稿したものだ。2021年2月17日の元投稿では「ハラスメント最終形態 #こんなハラスメントはいやだ」という文言とともに同じ画像

「(画像)看護師さんが完全防護服で岸田首相が形だけマスク コロナは茶番」は誤り

新型コロナウイルスに関連し、「看護師さんが完全防護服でやってる横で(岸田文雄首相が)形だけマスクをつけて佇んでる コロナは茶番」という言説が画像とともに拡散しましたが誤りです。画像は岸田首相が治験の実演を視察する様子です。

「(画像)看護師さんが完全防護服で岸田首相が形だけマスク コロナは茶番」は誤り 画像は視察での実演の様子
新型コロナウイルスに関連し、「看護師さんが完全防護服でやってる横で(岸田文雄首相が)形だけマスクをつけて佇んでる コロナは茶番」という言説が画像とともに拡散しましたが誤りです。画像は岸田首相が治験の実演を視察する様子です。 検証対象 2024年2月11日、「看護師さんが完全防護服でやってる横で形だけマスクをつけて佇んでるどこがのバカ まさしくコロナは茶番🤣」という画像付き言説が拡散した。画像にはベッドに横になる男性に防護服で対応する女性と、マスクをつけた岸田首相が写っている。 2024年2月19日現在、このポストは1000回以上リポストされ、表示回数は29万回を超える。投稿について「完全なパフォーマンス」というコメントの一方で「訓練じゃない?」と指摘する声もある。 検証過程 添付された画像はいつ、どこで撮影されたものなのか。Google画像検索をすると、首相官邸のサイトで同一の画像が見つかった。 この画像は2021年10月10日、岸田首相が神奈川県の宿泊療養施設を視察している様子を撮影したものだ。サイトには「総理は、宿泊療養等の説明を受けた後、治験

岸田首相に関する偽の画像や動画が相次ぎ拡散

岸田文雄首相が映る画像や動画を使った偽情報がSNSなどで数多く広がっています。加工や発言の切り抜きによる悪用で、注意が必要です。

岸田首相に関する偽の画像や動画が相次ぎ拡散
岸田文雄首相が映る画像や動画を使った偽情報がSNSなどで数多く広がっています。加工や発言の切り抜きによる悪用で、注意が必要です。 加工された画像 2024年2月12日、岸田首相がアメリカ政府の高官と対談しているかのような画像が投稿され拡散した。13万以上の閲覧数となっている。 この投稿には、「この写真初めて見た ヌーランド(米国務次官)と岸田」とコメントがつき、引用リポストには「この一枚が、すべてを語っています」といった書き込みもある。 この画像は加工されたものだ。元の画像は2022年4月のビクトリア・ヌーランド米国務次官(右から二人目)とブラジルのカルロス・フランサ外務大臣が面会した際の写真で、米国務次官の公式アカウントが投稿している。偽の画像は、右のフランサ氏を岸田首相に加工している。 偽の画像は、二人の間に電話らしきものがなく、岸田首相とヌーランド国務次官の間に、奇妙な線のようなものが写っている。岸田首相の指も不自然だ。 この画像は、NHK も検証し、同様のポイントで偽画像と結論づけている。 加工された動画 2023年11月、岸田首相が正

「日本だけがウクライナに巨額の支援」は誤り

ウクライナへの支援について「日本だけが巨額」という言説が拡散しましたが、誤りです。ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」の統計によると、日本の累計支援額は世界で7番目で、日本(75億ユーロ)はアメリカ(677億ユーロ)の1割程度です。

「日本だけがウクライナに巨額の支援」は誤り 欧米諸国よりも少なくGDP比では支援国下位【ファクトチェック】
ウクライナへの支援について「日本だけが巨額」という言説が拡散しましたが、誤りです。ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」の統計によると、日本の累計支援額は世界で7番目で、日本(75億ユーロ)はアメリカ(677億ユーロ)の1割程度です。 検証対象 2024年2月8日、ウクライナへの支援について「日本だけが巨額の支援」というポストが拡散した。このポストは、2024年2月21日現在、140万回以上の表示回数と3400件以上のリポストを獲得している。 検証過程 各国からの支援額は ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」が、42の国・機関によるウクライナへの財政、人道、軍事分野での支援に関する統計を公開している。 同研究所が公開した資料によると、ウクライナへの侵攻が始まった2022年2月24日から2024年1月15日までの間、EUおよび各国が表明した累計支援額は2524億ユーロだという。日本円にすると、約40兆3840億円(1ユーロ=160円で計算)だ。 機関・国家単位の支援額ではEU(849億ユーロ)とアメリカ(677億ユーロ)が突出し、全体


「【緊急】新NISA、規制か 財務大臣『円安の元凶と見ている』」は誤り 

新しい少額投資非課税制度(NISA)に関して「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『円安の元凶と見てる』」という言説が拡散しましたが誤りです。引用元の記事に「新NISA、規制か」という情報はありません。また、円安について、鈴木俊一財務大臣は「変動の概要を一概に申し上げることはできない」と発言しています。

「【緊急】新NISA、規制か 財務大臣『円安の元凶と見ている』」は誤り そのような発言はない【ファクトチェック】
新しい少額投資非課税制度(NISA)に関して「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『円安の元凶と見てる』」という言説が拡散しましたが誤りです。引用元の記事に「新NISA、規制か」という情報はありません。また、円安について、鈴木俊一財務大臣は「変動の概要を一概に申し上げることはできない」と発言しています。 検証対象 2024年2月21日、「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『海外への資本逃避が見られる。円安の元凶と見てる』 」という投稿が拡散した。 2024年2月21日現在、このポストは2700件以上リポストされ、表示回数は61万件を超える。投稿について「やっぱり…」というコメントの一方で「ソースがない」と指摘する声もある。 検証過程 新NISAとは 通常、株式や投資信託などに投資した場合に売却利益や配当に約20%の税金がかかる。NISAは「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で非課税になる制度だ。(金融庁「NISAとは?」) 2024年以降は新NISAとして、「非課税保有期間の無期限化」「口座開設期間の恒久化」

「しぶさわくん」や東京都交通局などSNSに偽アカウントが続々

「しぶさわくん」や東京都交通局などSNSに偽アカウントが続々 公式が警鐘を鳴らす
SNS上で実在の公式キャラクターや漫画家を装ったなりすましアカウントが次々と出現しています。個人情報を取られたり、詐欺被害にあったりする恐れがあります。公式アカウントも注意を呼びかけています。 東京都北区の広報キャラクター「しぶさわくん」 東京都北区観光協会の広報キャラクター「しぶさわくん」のなりすましアカウントがX(旧Twitter)上で確認された。 しぶさわくんのX公式アカウントは2024年2月19日、SNSを通じて「公式アカウントは、このアカウントだけ」と注意を呼びかけている。 Facebookに複数の「東京都交通局」 Facebookには、「東京都交通局」を名乗るアカウントが多数存在する。 東京都交通局は公式サイトや各SNSを通して、「東京都交通局を装った偽メッセージについて」という注意喚起を掲載。すでに終了しているプレゼントキャンペーンを装って個人情報やクレジットカード情報の入力を促す偽のダイレクトメッセージがFacebookのチャットで送られていると注意喚起している。 BlueSkyに漫画家のなりすましアカウント 招待制から登録制に

「(画像)堀江貴文氏:ワクチンの危険性が発覚しました」は誤り

「(画像)堀江貴文氏:ワクチンの危険性が発覚しました」は誤り 本人の発言ではなく、切り抜き動画から
実業家の堀江貴文氏が「ワクチンの危険性がついに発覚しました」と語っているかのような画像が拡散しましたが誤りです。本人が直接否定している他、画像の出典元はYouTubeの切り抜き動画で、元動画にもそのような発言はありません。 検証対象 2024年2月20日に投稿されたポストで、堀江氏の顔とともに「ワクチンの危険性が遂に発覚しました」という文言があしらわれた画像が拡散した。 この投稿は2024年2月22日現在、978万回以上の表示と、9700件以上のいいねを獲得している。 2月21日には堀江氏本人が「フェイク画像が本物と信じて、私の名誉を毀損しているツイートですが、大丈夫でしょうか?」と引用投稿している。 検証過程 出典元はYoutubeの切り抜き動画 拡散した画像を投稿した内海聡氏は、この画像の引用元として2023年9月30日のポストを挙げている(アーカイブ)。 引用元のポストを見るとYouTubeリンクがある。引用元ポストの投稿者はプロフィール欄に陰謀論を多数投稿するサイト「rapt理論+α」のリンクを掲載していた。 このポストに添付されてい

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岸田首相をめぐる偽の画像やAIなどで加工された動画がSNSで拡散していることについてはNHKも報道し、「政治に関するフェイクは、選挙に影響を及ぼし、社会の分断につながるため、民主主義の根幹に関わる大きな危険性をはらんでいる」という専門家の警告を伝えています。

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「東京新聞が都民ファーストの開票不正を暴露した」という情報が拡散しましたが、誤りです。2025年6月27日時点で、そのような報道はありません。 検証対象 2025年6月26日、「6月24日、東京新聞デジタルは都民ファの不正集計疑惑を報じた」「練馬区の開票所で実際に作業していたスタッフによると速報値と実票数が100票近くズレていたんです」という内容の動画がTikTokで拡散した。 この動画は1.2万件以上のいいねを獲得している。この動画はXでも投稿され、2025年6月27日現在、2050件以上リポストされ、表示回数は6.4万回を超える。 投稿について「何で地上波のニュース出ないのかな」「やっぱり不正はあるのだろうやぁ、、参議院選」というコメントの一方で「元記事を貼ってない情報は嘘」という指摘もある。 検証過程 2025年6月22日に投開票を迎えた東京都議会議員選挙は小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が31議席を獲得して第1党に返り咲く一方、自民党は30議席から9減らし、過去最低の議席数となった(NHK"都議選2025 開票結果 全42

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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