解説・コラム

全部ウソじゃない。でも正しくもない──「不正確」と判定した事例【ファクトチェックの舞台裏】

その他

全部ウソじゃない。でも正しくもない──「不正確」と判定した事例【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証作業の舞台裏を語るコラム。今回は、判定を「根拠不明」「不正確」「誤り」で迷って、「不正確」にした事例を紹介します。「誤り」と「不正確」の境は何か。 JFCの判定基準 JFCはファクトチェックの透明性を高めるために、判定基準を公開しています。「正確」「ほぼ正確」「根拠不明」「不正確」「誤り」の5段階。それぞれの基準は以下のとおりです。 正確:誤りがなく、重要な要素が欠けていない ほぼ正確:一部に誤りを含むが重要な部分を含む大部分は正しく、概ね正確 根拠不明:根拠がないか不十分であり、事実の検証ができない 不正確:一部は正しいが、重要な部分に誤りや欠落がある、またはミスリード 誤り:誤りである、または重要な要素が大きく欠けている (以上、JFC”JFCファクトチェック指針") 外国人優遇制度ではないが、大半は外国人が利用→「不正確」 拡散する情報の中には、前提は正しいけれど、

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
温暖化や水害はメガソーラーのせい? 「誤り」や「根拠不明」、さらなる調査が必要な例も

環境

温暖化や水害はメガソーラーのせい? 「誤り」や「根拠不明」、さらなる調査が必要な例も

記録的な猛暑が続く2025年夏、SNSでは「異常な温暖化の原因はメガソーラー」「熊本の水害はメガソーラーによる人災では!?」など、温暖化や水害の原因をメガソーラーだと批判する投稿が多数拡散しています。地球温暖化対策のはずのメガソーラーがなぜ、批判の対象となっているのか。本当に災害の原因になっているのか、解説します。 そもそもメガソーラーとはなにか 私たちの暮らしを支える電気には、いろいろなつくり方があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。 火力発電は、燃料さえあれば天候などに左右されずに安定供給ができ、発電所の建設コストが安いというメリットがあります。一方で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を排出し、燃料を輸入に頼っているため、国際情勢や価格の影響が大きいというデメリットがあります。 風力発電は、CO2を排出せず、燃料が不要で夜間も発電できるというメリットがあります。一方で風力によって発電量が不安定になり、騒音問題などもあり設置場所に制約があります。 水力発電も、CO2を排出しません。国内に豊富な水資源があり、燃料を輸入する必要もありま

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
「正確」か「誤り」かだけじゃない 「根拠不明」という“グレー判定”の難しさ【ファクトチェックの舞台裏】

その他

「正確」か「誤り」かだけじゃない 「根拠不明」という“グレー判定”の難しさ【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証作業の舞台裏を語るコラム。今回は、編集部でいつも悩む「判定のつけ方」。正確な情報ではないということははっきりしていても、「誤り」か「不正確」か「根拠不明」か...。最後まで悩んだ実例を紹介します。 JFCの判定は5段階 大手メディアの記事では、賛否が分かれるテーマで肯定派と否定派の意見を並べる「両論併記」がよく見られますが、ファクトチェックは客観的・科学的な根拠に基づき、その内容が事実として正しいのか誤りなのかを検証します。賛否の意見を書くものではありません。 JFCの判定は「正確」「ほぼ正確」「根拠不明」「不正確」「誤り」の5段階です。国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)に加盟している世界中のファクトチェック団体の判定基準を参考にしつつ、よりわかりやすくするため、評価を5段階に絞りました。 (JFCのサイトより) ファクトチェックでは「正確」か「誤り」かで意見が割れることはほぼありませんが、「誤り」「不正確」「根拠不明」の線引きは日常的に議論になります。 もちろん、JFCが独自の基準で判定しているた

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
「本人がそう言っている」では足りない:検証が止まる瞬間【ファクトチェックの舞台裏】

その他

「本人がそう言っている」では足りない:検証が止まる瞬間【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)がファクトチェックの舞台裏を語るコラム。第5回は、「組織の発表」や「当事者の説明」は偏っている可能性があるため、ボツになった記事を振り返ります。 立ちはだかる企業秘密→保留 2025年4月、エルメスやルイ・ヴィトンなど、ハイブランドのバッグが「実は中国産だ」と主張する動画が拡散しました。 ブランド側は「従業員の多くはフランスで働いている」「製造業者の95%がイタリアに拠点」などと公表しているため、その言葉を信じれば、拡散した動画の検証結果は「誤り」となります。 欧州のメディアやファクトチェック団体の中には、この動画を検証して「偽造品の可能性が高い」「主張は誤りだ」などと報じたところもありました。 一方で、イギリス公共放送のファクトチェックチームBBCVerifyは、ハイブランドの多くが「製造拠点を欧米諸国においていると公表している」と前置きした上で、「ハイブランド業界はサプライチェーンの透明化に対して非常に消極的で、実際のところを正確に知ることはできない。高級ブランドでも、中国で多くの製造が行われている。ただし、『最

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
選挙をめぐるファクトチェックへの批判、限界、今後【参院選ファクトチェック解説】

政治

選挙をめぐるファクトチェックへの批判、限界、今後【参院選ファクトチェック解説】

2025年参院選でファクトチェックが急増したという解説記事で、何がどう検証されているかの傾向を分析しました。課題は何か。誤情報が選挙で拡散するのを防ぐためにどんなファクトチェックが望ましいのか。解説します。 (ファクトチェック普及を推進するNPOファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)がまとめたリストをもとに検証の傾向を解説した記事はこちら) JFC"5倍に増えた日本のファクトチェック、最も誤りを指摘されたのは参政党 誰の何が検証されたのか【参院選ファクトチェック解説】" ファクトチェックへの批判 「参政党を狙い撃ち」? 実際のデータは ファクトチェックが増える中で、批判もありました。目立ったのは「参政党を狙い撃ちにしているのではないか」という声です。 上述の解説記事でも触れたデータで見ると、ファクトチェック記事の約半分に当たる89件は個別の政党に触れない検証でした。一方、検証対象になった政党で最も多かったのは参政党45件(24.7%)でした。2番目の自民党が14件(7.7%)なので、その多さは際立ちます。 日本ファクトチェックセンター(JFC)

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
海外にまたがる検証ーー当事者や公的機関に広く確認しても、突破できなかった壁とは【ファクトチェックの舞台裏】

その他

海外にまたがる検証ーー当事者や公的機関に広く確認しても、突破できなかった壁とは【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証作業の舞台裏を語るコラム。第4回は、取材先が国内外にまたがり、検証が難しかった事例を紹介します。どうやって公開にこぎつけたのか、なぜ記事に出来なかったのかを振り返ります。 大使館から学校まで個別に当たって記事に 2023年4月、「朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる」という投稿が拡散しました。 JFC ”朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる?【ファクトチェック” JFCは、米国大使館や米国務省に投稿の真偽を聞き、法律や制度も含めて取材しましたが、はっきりとした回答は得られませんでした。そこで、北朝鮮の団体や学校関係者にも取材したところ、神奈川朝鮮中高級学校では、過去10年間に少なくとも4人が米国に留学していることがわかりました。 「アメリカに留学できなくなる」という投稿を「誤り」と判定することも検討しましたが、学校が取材に対して「理由の詳細はわからないが、ビザが下りなかったケースもある」とも説明したため、「不正確」と判定しました。 検証をする時、公的機関などへ取材するだけではわ

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
5倍に増えた日本のファクトチェック、最も誤りを指摘されたのは参政党 誰の何が検証されたのか【参院選ファクトチェック解説】

政治

5倍に増えた日本のファクトチェック、最も誤りを指摘されたのは参政党 誰の何が検証されたのか【参院選ファクトチェック解説】

2025年参院選は日本の新聞社やテレビ局が初めて本格的にファクトチェックに取り組む画期的な選挙となりました。同時に、それだけ誤情報が蔓延していた選挙だったと言えます。誰のどのような発信が検証されたのか、分析しました。 ファクトチェックは2024年衆院選から5倍に ファクトチェックの普及に取り組むNPO「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が、2025年参院選に関する新聞社やテレビ局やファクトチェック団体などの検証記事を一覧にした「参院選2025ファクトチェック」で見ていきます。 参院選の期間中(7月3-20日)に183の記事がリストに載りました(2025年7月24日現在)。昨年の衆院選で日本ファクトチェックセンター(JFC)が確認できたファクトチェック記事は34(うちJFCが28)で、5倍超に急増したことになります。 これは2024年の兵庫県知事選を受けて、各社が誤情報対策に力を入れた証です。各社がどうファクトチェックを始めたかについては、解説を書いています。 JFC. “「ファクトチェック後進国」日本に変化の兆し 兵庫県知事選きっかけに全国の新

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
誤情報対策はファクトチェックだけじゃない 信頼性の高い役立つサイト集【#参院選ファクトチェック解説】

政治

誤情報対策はファクトチェックだけじゃない 信頼性の高い役立つサイト集【#参院選ファクトチェック解説】

誤情報対策は、ファクトチェックに限りません。重要なのは、正確で信頼性の高い情報に基づいて判断することです。2025年参院選の投開票日が7月20日に迫る中、誰に投票するかを決めるために役立つ、信頼性の高い情報を提供しているサイトを紹介します。 日本最大の選挙・政治の情報サイト 日本最大の選挙・政治の情報サイトとして知られる選挙ドットコムには、日本のあらゆる選挙や政治家の情報がまとまっています。 候補者一覧の自分の選挙区を選ぶと、候補者のプロフィールや活動記録、動画や政策アンケートの回答などをまとめて確認できます。 選挙ドットコム”第27回 参議院議員通常選挙” https://sangiin.go2senkyo.com/2025 ノーカット演説動画と文字起こし NHKは今回、非常に意欲的な選挙報道に取り組んでいます。その一つが、全候補者を候補者一人ひとりの演説をほぼノーカットで公開し、文字起こしも掲載するという試みです。ほとんどの候補を網羅し、各選挙区のページから探せます。 これまでの選挙報道は、番組の尺や紙面の大きさの制約から、候補者の演説の一部を

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
参院選の動画、視聴上位は独立系YouTuberばかりでテレビ系は1割切る 自民に批判・参政は礼賛【#参院選ファクトチェック解説】

政治

参院選の動画、視聴上位は独立系YouTuberばかりでテレビ系は1割切る 自民に批判・参政は礼賛【#参院選ファクトチェック解説】

参院選をめぐって、大量の動画がソーシャルメディアで視聴されています。そのほとんどは政党や候補者ではなく第三者が投稿したもので、根拠のない主張や文脈を無視した発言の切り抜きなど信頼できないものが多くみられます。YouTubeやTikTokには、似たような動画をお勧めする機能があるため、知らないうちに偏ってしまいがち。ファクトチェックの視点から傾向や注意点を解説します。 再生数の92.4%は第三者の投稿動画 選挙・政治の情報サイト「選挙ドットコム」が2025年参院選に関して配信された動画の再生状況を調査しました。7月3-9日に配信され、候補者名や政策・争点などをキーワードにしたYouTube動画について分析したもので、合計再生数は通常動画・ショート動画で計3億9600万回に及んだといいます(選挙ドットコムの独自調査で、すべてを網羅できているとは限りません)。 そのうち、92.4%(3億6500万回)が、政党や候補者ではない第三者が投稿した動画でした。一方、政党による動画は5%(1980万回)、 候補者による動画は2.6%(1033万回)にとどまりました。 第

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
「国籍」を検証する難しさ【ファクトチェックの舞台裏】

その他

「国籍」を検証する難しさ【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)が様々な話題について検証する中で、毎回手こずるのが「決定的な証拠は本人しか出せない」という事例です。本人に聞くしかないけれど、本当のことを言うとは限らない。第3回は、当事者にしかわからない「国籍」について、検証できた例と、掲載を見送った例を紹介します。 国籍に関わる偽・誤情報 検証対象としてよく挙がるテーマの一つに、「国籍」に関する偽情報や誤情報があります。 たとえば、著名人について「〇〇人だ」とする投稿や、「〇〇の土地が△△人に買い占められた」「事件の犯人は〇〇人だった」といったものです。こうした投稿の中には、外国人への偏見や差別をあおるような内容も少なくありません。 こうした情報を検証するのは簡単ではありません。一般人の国籍を確認するには、極端に言えば、本人から戸籍謄本などの公式な書類を見せてもらわない限り、はっきりとわからないからです。また、「〇〇を買い占めた」というような情報も、信頼性の高いデータの入手が困難です。 ビザの画像が裏付けに 有田氏“北朝鮮籍”説の真偽を検証 まずは検証できた事例です。2024

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
検証か見送りか、あいまいな投稿の判断【ファクトチェックの舞台裏】

その他

検証か見送りか、あいまいな投稿の判断【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、これまでに700本を越えるファクトチェック記事を公開してきました。その裏には、公開に至らなかった原稿や出せなかった素材も多くあります。そうした「記事未満」の中にも、私たちの迷いや判断が詰まっています。 このコラムでは、「どう検証したか」「どこで迷ったか」といった舞台裏をわかりやすくお伝えします。情報を見極めるヒントになれば幸いです。 今回は第1回に続き、「あいまいな投稿をどのように検証しているか」をテーマに、掲載を見送った事例も交えてご紹介します。 トランプ氏の「におわせ」発言→「誤り」 2024年12月、トランプ氏が米大統領に就任する前に出演したテレビ番組で、ワクチン接種が自閉症の増加につながったかのような発言をしました。 JFC” ワクチンで自閉症の発生率が増加?トランプ氏が過去の誤情報を再び拡散【ファクトチェック】” トランプ氏は番組で、子どもへのワクチン接種に関して「25年前は自閉症の発生率が10万人に1人ほどだったのが、今では100人に1人近くに増えた」と話しました。明確には言い切っていませんが、文脈からワク

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
写真に一言「気持ち悪すぎだろ」と書くだけで拡散する偽・誤情報 何をどう検証したのか【ファクトチェックの舞台裏】

その他

写真に一言「気持ち悪すぎだろ」と書くだけで拡散する偽・誤情報 何をどう検証したのか【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は設立から2年半あまり、700本を超えるファクトチェック記事を公開してきました。一方で、検証を進めたものの、記事として公開に至らなかったものも数百本あります。日本でもファクトチェックに取り組む組織や個人が増えつつあります。そうした流れの中で、私たちは検証の舞台裏や、判断が難しいケース、世界で行われている新たな手法などを紹介するコラムを始めることにしました。 各コラムでは「どう検証したか」「どこで迷ったか」「どんな工夫をしたか」「なぜ掲載を見送ったか」など、編集の舞台裏を紹介します。現場の悩みも交えながら、やわらかくお伝えできればと思います。情報を見極めるヒントになれば幸いです。 第1回は、投稿の内容があいまいな場合、どのように検証対象とするかについて書きます。 曖昧な言葉と闘うファクトチェックの裏側 たとえば、「また、ワクチンで医師と看護師が1か月で〇〇人死亡。危険」という投稿があったとします。これは新型コロナワクチンの危険性を訴えているようにも読めますが、「新型コロナ」という言葉自体は使われていないため、具体的に何を

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
東京都議選、偽・誤情報の実態 ファクトチェック強化で「情報の空白」は埋まったか【解説】

政治

東京都議選、偽・誤情報の実態 ファクトチェック強化で「情報の空白」は埋まったか【解説】

6月22日に投開票を迎える東京都議選。昨年11月の兵庫県知事選を受けて、新聞やテレビは偽・誤情報の拡散を警戒し、ファクトチェックの強化や有権者が必要とする情報が不足する「情報の空白」を防ぐ試みが見られました。実態と効果はどうだったのか、解説します。 東京都議選の偽・誤情報は 日本ファクトチェックセンター(JFC)は普段から、偽・誤情報が拡散していないか警戒しており、選挙は特に注目するテーマです。具体的には、ネット上に拡散する選挙関連の情報を以下のような手法などで検知しています。 ・SNS上で人気の投稿をソーシャルリスニングツールで監視 ・視聴数が伸びている動画を独自に監視 ・ファクトチェック・イニシアティブが運営するClaim monitor ・ユーザーからの情報提供 結論から言えば、東京都議選では偽・誤情報は懸念されたほどは拡散していません。それには理由があります。 都議選と2024年兵庫県知事選の違い 都議選は東京都内42選挙区の合計127議席に295人が立候補しています。たった一人が当選する大統領選のような知事選と異なり、各選挙区で1~8人が当

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
AIによる偽情報を世界の専門家はどう検証しているか インドDAUが語るディープフェイク最前線

その他

AIによる偽情報を世界の専門家はどう検証しているか インドDAUが語るディープフェイク最前線

実物と見紛う偽の映像や音声などをAIで作る「ディープフェイク」。世界中のファクトチェック団体が検証に取り組んでいますが、爆発的に増えている上に、技術の進歩で人間の目では見極めが難しいものも出てきています。ディープフェイクの検証に専門的に取り組んでいるインドの団体に話を聞きました。 組織を超えた協力で生まれた「ディープフェイク分析班」 インドで活動するDeepfakes Analysis Unit(ディープフェイク分析班、DAU)は2024年の総選挙をきっかけに誕生しました。ジャーナリストや技術者など、多様な人材の知見を生かして、インド国内のみならず、世界中のディープフェイクの検証をサポートしています。 元々、インドには偽/誤情報対策に取り組むファクトチェック団体やメディアなど13団体(2025年6月現在)で構成する民間組織「Misinformation Combat Alliance(誤情報対策同盟、MCA)」がありました。 DAUはMCAの関連組織として、Metaの支援を受けて誕生。現在は3名の事務局と数名の技術チーム、インド内外の研究機関と連携して、解

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
西田発言から考える「切り取り」による歪曲とは 全文や出典を示す重要性【解説】

その他

西田発言から考える「切り取り」による歪曲とは 全文や出典を示す重要性【解説】

政治家の発言などが物議を醸すたびに、逆にそれを報じたマスメディアに浴びせられるのが「切り取り報道」という批判です。しかし、誰かの発言を伝えるときに、文字数などの制限から全文ではなく一部を引用するのは一般的です。問題は切り取りで発言の意味が変わるか。2025年5月に話題になった自民党の西田昌司参院議員の沖縄に関する発言を例に、批判に対してメディアが取れる対策を解説します。 意味を歪曲する「切り取り」の事例 まず、恣意的で発言の意味を歪曲する「切り取り」の事例を紹介します。これは偽・誤情報を作る手法として、一般的なものです。 佐藤正久・参院議員の「JAL123便は自衛隊が撃墜」発言? 2025年4月、自民党の佐藤正久参院議員が「日航機墜落は自衛隊の誤射によるものと発言した」という投稿が拡散しました。 佐藤氏が参議院外交防衛委員会で「自衛隊の標的機がJAL123便を撃墜してしまった」と発言したことは事実です。しかし、これは根拠なき陰謀論を書いている本があることを紹介するための発言で、佐藤氏は続けて「自衛隊への名誉棄損だ。拡散を止める具体的な手立てを」と述べて

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
「ファクトチェック後進国」日本に変化の兆し 兵庫県知事選きっかけに全国の新聞社が始めた試み【解説】

その他

「ファクトチェック後進国」日本に変化の兆し 兵庫県知事選きっかけに全国の新聞社が始めた試み【解説】

「日本はファクトチェックの取り組みが遅れている」と何年も言われてきたし、私自身も記事やセミナーで、そう言い続けてきました。しかし、その状況が変わろうとしています。きっかけは2024年の兵庫県知事選。新聞社やテレビ局などの伝統メディアによる検証記事が出てくるようになりました。具体例を挙げながら解説します。 神戸新聞が始めた兵庫県政をめぐる「ファクトチェック」 神戸新聞は2025年4月3日に「斎藤知事が1兆円の道路ルート変更し費用圧縮」は誤り SNS拡散情報、兵庫県『事実無根の陰謀論』」という記事を公開しました。斎藤元彦知事をめぐる「陰謀論」を検証し、事実無根だと判定する「ファクトチェック」形式の記事でした。 拡散した陰謀論とは「整備に1兆円かかる播磨臨海地域道路のルートを変更して5000億円に圧縮した斎藤知事に対して、既得権益を持つ議員たちが『斎藤おろし』を画策した」というものです。 神戸新聞は道路整備の経緯を説明し、県道路企画課への取材から、この「陰謀論」を3点に分けて判定しています。以下の通りです。 ・斎藤知事が1兆円から5000億円になるようにルート

By 古田大輔(Daisuke Furuta)