偽・誤情報対策だけにとどまらない世界の議論/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

偽・誤情報対策だけにとどまらない世界の議論/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

ドイツ出張から帰国したばかりでしたが、今度はフィンランドに来ています(その関係で今週もニュースレターの配信が一日遅れてしまいました)。

水曜日から3日間、リトアニアで開催されるGlobal Fact2026に参加するためです。Global Factは年に1回、世界中のファクトチェッカーが集まり、偽・誤情報対策を議論する場です。

近年は影響工作やナラティブ分析など、単純な偽・誤情報を超えて、どのように対処すべきか世界各国の状況を共有する場ともなっています。

長年、ロシア帝国とソ連の支配下にあったバルト3国の一つ、リトアニアはロシアからの影響工作に対して、国を挙げて対応しています。Global Factでは重要な論点となるでしょう。

フィンランドも状況は似ています。世界最高水準のメディアリテラシー教育の状況も首都ヘルシンキで取材する予定です (古田大輔)。

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今週のお知らせ

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。

次回の開講は6月27日(土)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。

https://jfcyousei0627.peatix.com

今週のファクトチェック

スイスが世界で初めてマンモグラフィを禁止? 該当する発表はなく、当局は否定

乳房X線検査マンモグラフィを、スイスが世界で初めて禁止したと主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。そのような発表はなく、スイス当局はJFCの取材に対して「50歳以上の女性に対し推奨している」と述べています。

スイスが世界で初めてマンモグラフィを禁止? 該当する発表はなく、当局は否定【ファクトチェック】
乳房X線検査マンモグラフィを、スイスが世界で初めて禁止したと主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。そのような発表はなく、スイス当局はJFCの取材に対して「50歳以上の女性に対し推奨している」と述べています。 検証対象 拡散した言説 2026年6月3日、「速報:スイスが世界で初めてマンモグラフィ禁止の国になった―世界的な医療スキャンダルが白日の下にさらされた!」などと主張する英語の投稿がXで拡散した。 検証する理由 6月8日現在、投稿は7500回以上リポストされ、表示は59.4万件を超える。 投稿には「出典は?」や「スイスはマンモグラフィを禁止していません」などの指摘もあるが「神に感謝します。私は何年も前からこう言ってきました」「サーモグラムはマモグラムよりもはるかに安全」など真に受けた反応も多い。 同様の主張は、日本語でも拡散している(例1、2、3)ため検証する。 検証過程 拡散した投稿は 拡散した投稿の自動和訳は次の通りだ。 「🚨 速報: スイスがマンモグラフィを禁止する世界初の国に — 暴露されたグローバルな医療スキャンダル!

パリで移民2世、3世が暴動? 連覇を祝うサッカーファンの動画

「パリのいま 移民の2世、3世による暴動 移民国家の末路を見る」という投稿がThreadsで拡散しましたが、誤りです。映像は2026年5月にフランスのサッカーチームが欧州のチャンピオンズリーグで連覇を果たした際のファンの様子を撮影したものです。

パリで移民2世、3世が暴動? 連覇を祝うサッカーファンの動画【ファクトチェック】
「パリのいま 移民の2世、3世による暴動 移民国家の末路を見る」という投稿がThreadsで拡散しましたが、誤りです。映像は2026年5月にフランスのサッカーチームが欧州のチャンピオンズリーグで連覇を果たした際のファンの様子を撮影したものです。 検証対象 拡散した投稿 2026年5月31日、「パリのいま 移民の2世、3世による暴動 移民はもういらん」という動画付き投稿がThreadsで拡散した。 動画には興奮した人々が、花火をあげたり信号に登ったりする様子が映っている。 検証する理由 この投稿は1万件以上いいねがあり、1200件ほどリポストされている。「パリサンジェルマンが勝っての騒ぎでしょ。移民関係ないから」「サッカーの盛り上がりですよね」というコメントの一方で、「世界中で国文化を壊した移民ビジネス」「誰もとめる人もいない。狂ってますね」と誤解したコメントもあるため検証する。 検証過程 動画には広場のような場所に集まった人々が花火を打ち上げる様子が映っている。Googleレンズで検索すると、5月31日にYouTubeやXに投稿された動画が見

「初詣に行くことは差別につながる」というニュース? AIで作成

「ムスリムによる日本への侵略もついにここまで来たか」という文言とともに、「#初詣に行くことは差別につながる」「初詣に行くことは、絶対ダメです」というテロップが入ったニュース番組風の画像がXで拡散しましたが、AIで生成されたものです。画像にはOpenAIのツールで生成されたことを示すSynthID(電子透かし)が含まれています。

「初詣に行くことは差別につながる」というニュース? AIで作成【ファクトチェック】
「ムスリムによる日本への侵略もついにここまで来たか」という文言とともに、「#初詣に行くことは差別につながる」「初詣に行くことは、絶対ダメです」というテロップが入ったニュース番組風の画像がXで拡散しましたが、AIで生成されたものです。画像にはOpenAIのツールで生成されたことを示すSynthID(電子透かし)が含まれています。 検証対象 拡散した投稿 2026年5月22日、「ムスリムによる日本への侵略もついにここまで来たか」「日本人全員で声をあげないと自分達の文化が根こそぎ消されるよ」という投稿が画像とともにXで拡散した。 画像には外国人風の男性と共に「#初詣に行くことは差別につながる」「神社に初詣に行くと行かれない人が出てくる。可哀そうだ。差別だ」「初詣に行くことは、絶対ダメです。一人ひとりの配慮が、誰も傷つけない社会をつくります」などと書かれている。 この投稿は、6月10日時点で非公開にされた。 検証する理由 この投稿は1600件リポストされ、表示回数は111万回を超えている。「意味が全く理解できない」「単純に日本を潰しに来ただけだろう」とい

外国人が日本で昼間に強盗? クウェートで起きた事件の動画

日本で外国人が昼間に強盗をしている様子だと示唆する動画が拡散しましたが、誤りです。動画は6月上旬にクウェートの両替所で起きた強盗事件のもので、撮影場所は日本ではありません。

外国人が日本で昼間に強盗? クウェートで起きた事件の動画【ファクトチェック】
日本で外国人が昼間に強盗をしている様子だと示唆する動画が拡散しましたが、誤りです。動画は6月上旬にクウェートの両替所で起きた強盗事件のもので、撮影場所は日本ではありません。 検証対象 拡散した言説 2026年6月5日、「今、日本で始まってます💦」「白昼に強盗…」「外国人は何でもあり。」などという文言とともに、店に銃のようなものを持った男が押し入る動画がXで拡散した。 検証する理由 6月10日現在、投稿は3100回以上リポストされ、表示は19.3万件を超える。 投稿には「デマはいかん 2026年6月3日、クウェート・アルシャアブ地区の両替所で起きた武装強盗の防犯カメラ映像だ」という指摘もあるが、「他国でこんな事をする野郎は即日死刑でいい」「受入推進派は全員日本の敵です」など、日本で起きた事件だと受け止めている反応も多いため検証する。 検証過程 動画の内容は 添付動画は21秒。屋内に銃のようなものを持った人が押し入り、中にいる人達を殴りつけて物色し、紙幣のような物を袋に詰めて持ち去る様子が映っている。 BGMはあるが、声は入っていない。

今週の動画

インドで巨大な「雹(ひょう)」が降った? 動画は生成AI

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伊勢神宮近くで起きた火事はイスラム教徒によるもの? 警察「裏付けはない」【ファクトチェック】

伊勢神宮近くで起きた火事はイスラム教徒によるもの? 警察「裏付けはない」【ファクトチェック】

2026年8月31日に三重県伊勢市の明倫商店街で火災が起きたことについて、イスラム教徒が放火したと主張する投稿が拡散しましたが、根拠不明です。9月8日午前9時現在、火災の原因は調査中で、伊勢警察署は、日本ファクトチェックセンター(JFC)の取材に「(イスラム教徒によるものだという)裏付けはない」と答えています。 検証対象 拡散した言説 2026年8月31日、「とうとう、イスラムどもが、伊勢神宮を燃やしにきましたね」という投稿がXで拡散した。 検証する理由 9月7日現在、拡散した投稿は3800回以上リポストされ、表示は157万件を超える。 同様の投稿は他にも拡散している(例)。 投稿には、「犯人はまだ逮捕されていないのに、犯人がイスラム教徒だと決めつけるのか」「イスラムがやった証拠あるんでしたっけ」などの指摘もあるが、「イスラム駆逐デモやらないかな?行くんだけど」「更地になったらモスク建設でしょうか?」など真に受けた反応も多いため検証する。 検証過程 拡散した投稿は 拡散した投稿は、NHKが8月31日に公開した「三重 伊勢神宮近くの商店街

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
災害や事件の際のディープフェイク?/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

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ネパールの土石流や、島根県の路上に捨てられたパンを食べに来るクマ――。AIによる画像や動画、いわゆるディープフェイクが拡散しました。中にはディープフェイクかはっきりしないが、少なくともその事件や災害のものではない過去の映像もあります。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週のお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は9月27日(日)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。 日本ファクトチェックセンター(JFC) ファクトチェック講師養成講座 9月27日(日)開催分日本ファクトチェックセンター(JFC)による講師養成講座です

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
ネパールの洪水で象が人を助ける? 洪水の前から投稿されていた動画【ファクトチェック】

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2026年8月26日にネパールと中国の国境地帯で大規模な土石流が発生したことを受けて、洪水から象が人を助けているという動画が拡散しましたが、誤りです。今回拡散したのと同じ動画は、少なくとも今回の洪水が起きる前の2026年8月9日に、すでに公開されています。 検証対象 拡散した言説 2026年8月26日以降、「ネパールの洪水から象が人を助けている」という動画がSNSで多数拡散した(例1,2)。 検証する理由 「動画はフェイクです」「別の動画」などの指摘もあるが、「このぞうさんすごいね」など真に受けた反応も多いため、検証する。 検証過程 拡散した動画の内容 拡散した複数の動画は、どれも濁流で動けなくなっている人に象が近づいていき、人が象の頭によじ登って助かる様子が映っている(例1,2)。動画の編集やテロップは異なるが、象が人を助ける映像部分は同一だ。 元動画は今回の洪水以前のもの この動画をGoogleレンズで検索すると、多数の動画が表示される。その中には、公開日が今回のネパールの土石流発生以前のものもある。 例3はバングラデシュのメデ

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
選挙で拡散しやすい偽・誤情報の典型パターン 地方選固有の事例も【プレバンキング】

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沖縄県知事選の投開票を前に、SNSでは立候補者に関する真偽不明の情報が多数拡散しています。日本ファクトチェックセンター(JFC)はこれまでも、選挙のたびに偽・誤情報を検証してきましたが、似た主張は形を変えて広がります。1議席をめぐって対立が激化しやすい首長選挙などに特徴的な語り口もあります。 この記事は、偽・誤情報の手口を知ることで、同様の情報を目にしたときに騙されにくくする「プレバンキング」という予防的な取り組みです。詳しくは、JFC用語「プレバンキング」をご覧ください。 過去に拡散した事例 たった1人の勝者を決める大統領選型の知事選で特に拡散しがちな偽・誤情報を分類しました。 1. 候補者をめぐる偽画像・動画 AIで誰でも簡単に偽画像・動画を捏造したり、加工したりすることができるようになりました。注目の選挙・候補者に関して、必ずと言っていいほど、実物と異なる演説画像や偽ポスターなどが出回ります。 2026年8月、沖縄県知事選に立候補している古謝玄太氏の顔写真とともに「国益にかなう沖縄をつくる」と書かれた選挙ポスター風の画像がSNSで拡散しました。

By 根津 綾子(Ayako Nezu)

ファクトチェック講座

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は9月27日(日)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。 日本ファクトチェックセンター(JFC) ファクトチェック講師養成講座 9月27日(日)開催分日本ファクトチェックセンター(JFC)による講師養成講座です。 講師養成講座(オンラインで90分)を受講いただいた後、修了課題を提出された方には、教室や職場などで利用可能な教材の提... powered by Peatix : More than a ticket.Peatix 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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JFCファクトチェッカー認定試験

JFCファクトチェッカー認定試験

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や騙されない人の行動

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