プレバンキング

プレバンキング(prebunking)は、誤情報に接する「前」に、その典型的な手口や内容を知らせておくことで、だまされにくくする予防的アプローチです。誤情報が広まった後に訂正する「デバンキング(事後検証)=ファクトチェック」と対をなす手法です。

選挙で拡散しやすい偽・誤情報の典型パターン 地方選固有の事例も【プレバンキング】

政治

選挙で拡散しやすい偽・誤情報の典型パターン 地方選固有の事例も【プレバンキング】

沖縄県知事選の投開票を前に、SNSでは立候補者に関する真偽不明の情報が多数拡散しています。日本ファクトチェックセンター(JFC)はこれまでも、選挙のたびに偽・誤情報を検証してきましたが、似た主張は形を変えて広がります。1議席をめぐって対立が激化しやすい首長選挙などに特徴的な語り口もあります。 この記事は、偽・誤情報の手口を知ることで、同様の情報を目にしたときに騙されにくくする「プレバンキング」という予防的な取り組みです。詳しくは、JFC用語「プレバンキング」をご覧ください。 過去に拡散した事例 たった1人の勝者を決める大統領選型の知事選で特に拡散しがちな偽・誤情報を分類しました。 1. 候補者をめぐる偽画像・動画 AIで誰でも簡単に偽画像・動画を捏造したり、加工したりすることができるようになりました。注目の選挙・候補者に関して、必ずと言っていいほど、実物と異なる演説画像や偽ポスターなどが出回ります。 2026年8月、沖縄県知事選に立候補している古謝玄太氏の顔写真とともに「国益にかなう沖縄をつくる」と書かれた選挙ポスター風の画像がSNSで拡散しました。

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
メガソーラーで地球温暖化? 典型的な拡散の5つの「型」【プレバンキング】

環境

メガソーラーで地球温暖化? 典型的な拡散の5つの「型」【プレバンキング】

「メガソーラーが地球温暖化を進めている」という投稿がSNSで繰り返し拡散します。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、国連や日本政府の報告、専門家への取材などを元に、こうした言説を「誤り」と判定してきました。それでも、似た主張は形を変えながら広がります。そこには、共通する語り口があります。  これは、偽・誤情報の手口を知ることで、同様の情報を目にしたときに騙されにくくする「プレバンキング」という予防的な取り組みの記事です。詳しくは、JFC用語「プレバンキング」をご覧ください。 過去に拡散した「メガソーラーで温暖化」の典型的なパターン 「メガソーラーで地球温暖化が進む」という投稿には、様々なパターンがあります(例1,2,3,4,5,6,7,8)。主なものを分類しました。 1.局所的な温度の上昇と地球規模の温暖化を混同 「ソーラーパネルは灼熱地獄」「植物の場合30℃以下だった表面が60℃になっている」など、ソーラーパネルが高温になると主張する投稿は多く見られます(例1,3)。 太陽光パネル表面の温度が高くなったり、

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
「地震雲」や「人工地震」は本当? 根拠のない情報に惑わされないために【プレバンキング】

災害

「地震雲」や「人工地震」は本当? 根拠のない情報に惑わされないために【プレバンキング】

2026年7月の熊本地震について、「人工地震だ」「雲がその証拠だ」というような投稿がSNSで多数拡散しました(例1,2,3,4)。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、これまでにもこれらの投稿を「誤り」と判定していますが、科学的な根拠のない話が、なぜ、毎回拡散するのでしょうか。そこには共通の語り口があります。 この記事は、偽・誤情報の手口を知ることで、同様の情報を目にしたときに騙されにくくする「プレバンキング」という予防的な取り組みです。詳しくは、JFC用語解説「プレバンキング」をご覧ください。 「雲が地震の前兆・人工地震の証拠」と拡散した事例 地震と雲を結びつけて「人工地震だ」と主張する誤情報には、いくつかの典型的な「型」があります。 1.「因果関係」のこじつけ 2026年7月に拡散した「雲が局所に変形して集まるのはHAARPによる人工地震の特徴」という投稿は、たまたま撮影された雲の形を地震と結びつけています。 けれども、雲と地震の関係について、気象庁や日本地震学会、専門家は「両者は全く別の現象」「地震研究者の間では一般に、

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
イラン戦争の偽・誤情報まとめ:知っておけば対策できる典型的な6つの手口と確認のポイント

国際

イラン戦争の偽・誤情報まとめ:知っておけば対策できる典型的な6つの手口と確認のポイント

アメリカ・イスラエルによる攻撃で始まったイラン戦争では、これまで以上に大量の偽・誤情報が氾濫しています。中でもショート動画は生成AIの発達と普及で現実と見分けがつかない「ディープフェイク(AI製の偽画像・動画)」が無数に拡散し、検証が追いつかない状況です。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は個別の検証をしていますが、それだけでは偽・誤情報の拡散を止められません。一人ひとりが、予備知識を持ち、耐性をつけることが大切です。偽・誤情報の典型的な手口と、簡単に実践できる確認のポイントについて解説します。 情報開示:世界中で拡散する膨大な偽・誤情報の分類と分析には、AI「Claude」を活用しました。記事にする際には、実際の検証事例を集め、その内容は全て人間のファクトチェッカーが確認しています。 手口① 生成AIによるディープフェイク画像・動画 生成AIツールを使い、現実ではない画像や動画=ディープフェイクを作る手口です。かつては「指が6本ある」「背景が歪んでいる」といった画像の不自然さで見分けがつきましたが、今や専門家でも、目視での判別が難しいレベルに達して

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
地震のたびに拡散する「人工地震説」や「地震予知」は何が間違っているのか 専門家が解説

災害

地震のたびに拡散する「人工地震説」や「地震予知」は何が間違っているのか 専門家が解説

大きな地震が起きるたびにインターネット上では「人工地震だ」とか「予知されていた」「次の地震は〇月〇日」などの情報が拡散します。科学的な根拠はなく、これまでに日本ファクトチェックセンター(JFC)は何度も「誤り」と検証してきました。次の拡散を防ぐために、JFCは東京大学地震研究所/情報学環・学際情報学府の酒井慎一教授に改めて解説してもらいました。 地震予知は可能? Q「30年以内に地震が発生する確率は何十%」といった長期的な予測は政府も公表します。一方で、大きな地震が起きると「巨大地震は予知されていた」とか「次の地震は〇月〇日」など、日付や場所を特定した「予言」が拡散します。このようなピンポイントの地震予知は現代の科学で可能なのでしょうか。 できません。地震のメカニズムは、今でも多くのことが分かっていません。多くの人はプレート(岩盤)同士が押し合い、跳ね返ったり壊れたりして地震が起こると考えていますが、実際はもっと複雑です。地震は地下にある断層面にそって、岩盤同士が急激にズレることで起こります。断層面はでこぼこしており、触れ合っている岩盤と岩盤が摩擦力で固着し

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
災害時に広がる偽情報5つの類型 地震や津波に関するデマはどう拡散するのか

その他

災害時に広がる偽情報5つの類型 地震や津波に関するデマはどう拡散するのか

地震や津波、洪水など大きな災害が発生すると、偽情報や根拠のない情報が拡散します。事実と異なる投稿や不確かな救助要請は、本当に助けを必要としている人たちへの支援を遅らせたり、妨げたりする恐れがあります。拡散しがちな偽情報・誤情報のパターンを知って、支援を妨げないようにしましょう。 災害時の偽情報の5類型 実際と異なる被害投稿 災害時に最も多く見られるのが、偽の被害報告だ。2024年1月1日の能登半島地震では、2011年の東日本大震災の津波の映像を使って、まるで能登半島地震の被害のように投稿する事例が相次いだ(例1、例2、例3、例4、例5 、例6)。 例2と例3を投稿した2つのアカウントは添付動画は異なるが、投稿文言は同じで「津波到達になった瞬間NHKのアナウンサーがすごい怒鳴ってる!危機感の伝わってくるアナウンスなので北陸新潟能登半島の方逃げてください」と書かれている。投稿内容をコピーしたと見られる。 例5の投稿は「石川県能登に大津波警報逃げろ」という文言に「#東日本大震災」というハッシュタグもついている。映像は東日本大震災のものだと示唆しているように読

By 古田大輔(Daisuke Furuta)