スイスが世界で初めてマンモグラフィを禁止? 該当する発表はなく、当局は否定【ファクトチェック】

スイスが世界で初めてマンモグラフィを禁止? 該当する発表はなく、当局は否定【ファクトチェック】

乳房X線検査マンモグラフィを、スイスが世界で初めて禁止したと主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。そのような発表はなく、スイス当局はJFCの取材に対して「50歳以上の女性に対し推奨している」と述べています。

検証対象

拡散した言説

2026年6月3日、「速報:スイスが世界で初めてマンモグラフィ禁止の国になった―世界的な医療スキャンダルが白日の下にさらされた!」などと主張する英語の投稿がXで拡散した。

検証する理由

6月8日現在、投稿は7500回以上リポストされ、表示は59.4万件を超える。

投稿には「出典は?」や「スイスはマンモグラフィを禁止していません」などの指摘もあるが「神に感謝します。私は何年も前からこう言ってきました」「サーモグラムはマモグラムよりもはるかに安全」など真に受けた反応も多い。

同様の主張は、日本語でも拡散している(例1、2、3)ため検証する。

検証過程

拡散した投稿は

拡散した投稿の自動和訳は次の通りだ。

「🚨 速報: スイスがマンモグラフィを禁止する世界初の国に — 暴露されたグローバルな医療スキャンダル!ビデオ

🚨 速報: スイスが#mammographyを禁止する世界初の国となり、医療業界最大の詐欺の衝撃的な真実が暴露されました。マンモグラムが女性に害を及ぼす仕組み、最大60%の偽陽性、がんリスク、そして何百万人もの人々を搾取する利益優先のシステムについて知ってください。より安全で非侵襲的な代替手段の時が来ました!

🚨 マンモグラフィ: 女性の健康に対する体系的な攻撃

私をフォローして、次の情報は衝撃的です」

投稿には「ビデオ」という文言があるが、添付してあるのは乳がん検診のイメージ画像だけで、動画は添付されていない。

スイス連邦公衆衛生局が否定「50歳以上の女性に推奨」

スイスではマンモグラフィが禁止されたのか。政府の公的サイトなどにはそのような発表は見当たらない。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、スイス連邦公衆衛生局(Swiss Federal Office of Public Health)に取材した。

担当官は「スイスはマンモグラフィを禁止していません」と明確に否定したうえで、次のように回答した。

「スイスでは、マンモグラフィ検診プログラムは州レベルで導入・管理されています。マンモグラフィ検診は50歳以上の女性に推奨されており、多くの州で組織的な検診プログラムが提供されています」

スイスでがん検診を推進するSwiss Cancer Screeningのウェブサイトには、ドイツ語で「マンモグラフィは現在、乳がん早期発見に最も広く使われている方法である(Mammografie ist zurzeit die am häufigsten eingesetzte Methode zur Früherkennung von Brustkrebs)」と記載がある(Swiss Cancer Screening”Methoden zur Früherkennung von Brustkrebs” 最終更新:2026年6月2日)。

「マンモグラフィは女性に害」?

拡散した投稿は「マンモグラフィ: 女性の健康に対する体系的な攻撃」と主張している。マンモグラフィ検査には、放射線被ばくや偽陽性など、一定の不利益があることは事実だ。

日本では、厚生労働省のサイトに「がん健診には利益だけではなく、不利益があることも十分理解して、受診しましょう」「がんで亡くなることを防ぐためには、がん死亡を減らす効果が確実で、かつ、利益が不利益を上回る検診を受けることが大切です」と書かれている。

厚労省は乳がん検査について、40歳以上を対象に、2年に1回受診することを推奨している(厚生労働省”がん検診”)。

国立がん研究センターが運営するウェブサイト「がん情報サービス」は、マンモグラフィ検査について次のように説明している。

「受診時の年齢や頻度が適切であれば(40歳から2年ごとの受診)、放射線被ばくによる健康被害はほとんどありません。1回の撮影で乳房が受ける放射線量(0.05~0.15ミリシーベルト)は、一般の人が1年間に受ける自然放射線量(約2.4ミリシーベルト)よりはるかに低いです」(国立ガン研究センター”乳がん健診について”)。

過去にも繰り返し拡散

「スイスがマンモグラフィを禁止した」という主張は、世界中で繰り返し拡散している。各国の報道機関やファクトチェック団体も「誤り」と判定している(Reuters”Fact Check: Switzerland has not banned mammograms, contrary to online claims”2025年2月21日、Politifact”No, Switzerland didn’t ban mammograms”2024年7月16日)。

判定

スイスが世界で初めてマンモグラフィを禁止したと主張する英語の投稿が拡散した。しかし、スイス当局は否定しているため、誤りと判定する。

出典・参考

Swiss Cancer Screening.”Methoden zur Früherkennung von Brustkrebs” 最終更新:2026年6月2日.https://www.swisscancerscreening.ch/de/krebs-frueherkennung/brust/methoden-zur-frueherkennung,(閲覧日2026年6月5日).

Reuters.”Fact Check: Switzerland has not banned mammograms, contrary to online claims”.2025年2月21日.https://www.reuters.com/fact-check/switzerland-has-not-banned-mammograms-contrary-online-claims-2025-02-20/(閲覧日2026年6月5日).

Politifact.”No, Switzerland didn’t ban mammograms”.2024年7月16日.https://www.politifact.com/factchecks/2024/jul/16/instagram-posts/no-switzerland-didnt-ban-mammograms/(閲覧日2026年6月5日).

厚生労働省.”がん検診”.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html,(閲覧日2026年6月5日).

国立ガン研究センター.”乳がん健診について”.https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/breast.html,(閲覧日2026年6月5日).

検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔


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