はしか感染のデマ拡散/福島第一原発の誤情報対策は【注目のファクトチェック】

はしか感染のデマ拡散/福島第一原発の誤情報対策は【注目のファクトチェック】
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日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら

2024年3月11-17日のファクトチェック週報です。去年10月、「ウクライナから武器がハマスに流されている」というBBCニュースを装った動画が拡散しましたが、同じ手口の動画が再び拡散しました。ウクライナ政権に批判的な内容です。はしかの流行に合わせてワクチン否定の言説も拡散しました。

JFCのファクトチェック記事

河野大臣、山本太郎代表、福島党首など政治家の偽アカウント広がる 注意を呼びかけ

なりすましアカウントが広がる中、河野太郎デジタル相、山本太郎れいわ新選組代表、福島みずほ社民党党首のX(旧Twitter)の偽アカウントが相次いで現れました。本人が公式アカウントで注意喚起をするなどし、偽アカウントは凍結されましたが、こういった手口は尽きません。投資詐欺のサイトに誘導したり、個人情報を入手したりしようとするものもあり、今後も注意が必要です。

河野大臣、山本代表、福島党首など政治家の偽アカウント広がる 注意を呼びかけ
なりすましアカウントが広がる中、河野太郎デジタル相、山本太郎れいわ新選組代表、福島みずほ社民党党首のX(旧Twitter)の偽アカウントが相次いで現れました。本人が公式アカウントで注意喚起をするなどし、偽アカウントは凍結されましたが、こういった手口は尽きません。投資詐欺のサイトに誘導したり、個人情報を入手したりしようとするものもあり、今後も注意が必要です。 政治家のなりすましアカウントが広がる 2024年3月9日頃から、政治家の河野太郎氏、福島みずほ氏、山本太郎氏になりすましたアカウントが、X上に相次いで現れた。偽アカウントは、いずれも現在は凍結されているが、ネット上に残っている画像や、本人の公式アカウントなどから、なりすましがあったことが確認できる。 すでに凍結されている河野氏の偽アカウントの投稿には、不自然な日本語で以下のように書かれていた。 「ファンの皆さんに一名投資先生をお勧めします。最近彼が共有している株はすべて良い収益をあげていますよ。そして、料金はかかりません。お勧めの株も必ず上がる株です。彼について操作して利益を実現しました。この情報がみな

「(画像)オジマンディアス(ファラオ)に発行されたパスポート」は誤り

「オジマンディアス(ファラオ)に発行されたパスポート」だとする画像つきの言説が拡散しましたが誤りです。過去に何度も拡散した画像で、本物のパスポートではありません。

「(画像)オジマンディアス(ファラオ)に発行されたパスポート」は誤り 過去に何度も拡散【ファクトチェック】
「オジマンディアス(ファラオ)に発行されたパスポート」だとする画像つきの言説が拡散しましたが誤りです。過去に何度も拡散した画像で、本物のパスポートではありません。 検証対象 2024年2月28日、「オジマンディアスの遺体は今エジプトにあるんだけど、カビの除去でフランスに移送されたことがあって、そのときに正式なパスポートが発行された」として、ミイラのような顔写真やエジプトの国章を印刷したような画像が拡散した。 オジマンディアスとは古代エジプトの王(ファラオ)であるラムセス2世の別名だ。 2024年3月7日現在、このポストは6300件以上リポストされ、表示回数は160万件を超える。2024年2月29日に、ポストの投稿主がリプライに「この画像はどうやら実物ではなく、それの情報によって再現されたものだ」と釈明する追記をしている。 検証過程 この画像をGoogle画像検索すると、2018年ごろから繰り返し拡散している画像であることがわかる。 例えば、2018年10月1日に投稿されたアフリカに関するニュースを発信するFace2Face Africaの英文記事で

「NHKのリンクをクリックすると受信料が発生する恐れ」は誤り

「NHKのリンクをクリックすると受信料が発生する恐れ」という言説が拡散しましたが、誤りです。URLをクリックするだけでは受信料は発生しません。放送法改正案では、アプリのダウンロードやID入力などをして配信を受け始めた人に受信契約を求めることになる見込みです。

「NHKのリンクをクリックすると受信料が発生する恐れ」は誤り アプリのダウンロードやID入力など諸条件【ファクトチェック】
「NHKのリンクをクリックすると受信料が発生する恐れ」という言説が拡散しましたが、誤りです。URLをクリックするだけでは受信料は発生しません。放送法改正案では、アプリのダウンロードやID入力などをして配信を受け始めた人に受信契約を求めることになる見込みです。 検証対象 2024年3月2日、「【悲報】NHKのリンクをクリックすると受信料が発生する恐れ」という投稿が拡散した。 この投稿は2024年3月7日時点で900回以上リポストされ、表示回数は15万回を超えている。返信欄には「ワンクリック詐欺」「TLにNHKのツイートが流れてきただけでも受信料が発生しそう」との声が多くある。 検証過程 投稿にはまとめサイト「ツイッター速報」のURLが貼られており、リンク先の記事はNHKをめぐる放送法改正案を報じるニュースに関する5chの書き込みを引用している。 その中に「Webサイトや電子メール、SMSなどのメッセージに記載されたURLを一度クリックしただけで、一方的に、NHKの放送受信などの契約成立を宣言され、多額の受信料の支払いを求められるという詐欺」という書き込

村上世彰氏の偽アカウントが多数出現 著名人を装う偽アカウントに注意

投資家の村上世彰氏の偽アカウントが多数出現しています。旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスが「村上世彰は個人的なSNSを開設しておらず、また投資の助言や勧誘を行うことも一切ございませんので、ご注意ください」と呼びかけています。

村上世彰氏の偽アカウントが多数出現 著名人を装う偽アカウントに注意
投資家の村上世彰氏の偽アカウントが多数出現しています。旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスが「村上世彰は個人的なSNSを開設しておらず、また投資の助言や勧誘を行うことも一切ございませんので、ご注意ください」と呼びかけています。 X(旧Twitter)上に多数の偽アカウント X(旧Twitter)で「村上世彰」と検索すると村上世彰氏を名乗るアカウントが多数ヒットする。複数の偽アカウントが同じアイコンや同じプロフィール文を使用しているという特徴があり、2024年3月14日時点でフォロワー数が1.9万を超えるアカウントも存在する。 Facebookで「村上世彰」と検索するとXと同様に村上氏を名乗るアカウントが多数ヒットし、フォロワー数が9000人を超えるアカウントも存在する。 偽アカウントによる投資勧誘等を拡散しない 村上氏の偽アカウントの1つは投資に関する助言のような文面を数多く投稿している。「X投稿と同じ文言を掲示板にも投稿している?」というリプライに対して「これは偽物です」と注意を促すような投稿をしている場面も確認できる。 このよう

「(動画)前ウクライナ軍司令官ザルジニー氏が退職金5300万ドルを受け取ったとBBCが報道」は誤り

ウクライナ軍の前司令官ヴァレリー・ザルジニー氏が5300万ドルの退職金を受け取ったとBBCが報じているような動画が拡散しましたが、誤りです。BBCは報じておらず、情報の出所とされた報道機関も内容を否定しています。

「(動画)前ウクライナ軍司令官ザルジニー氏が退職金5300万ドルを受け取ったとBBCが報道」は誤り 【ファクトチェック】
ウクライナ軍の前司令官ヴァレリー・ザルジニー氏が5300万ドルの退職金を受け取ったとBBCが報じているような動画が拡散しましたが、誤りです。BBCは報じておらず、情報の出所とされた報道機関も内容を否定しています。 検証対象 ソーシャルメディアや動画プラットフォーム上でBBCのロゴ付きでザルジニー氏が多額の退職金を受け取ったかのようなニュース風の動画が拡散した。このうちYouTubeの動画は2024年3月9日にアップロードされていた。 1分20秒間の映像の内容は「ザルジニー氏が5300万ドルの退職金を受け取って駐英大使になる」「ザルジニー氏に政治的野心を放棄させるためのゼレンスキー大統領との密約によるもの」というものだ。これらの情報は「(調査報道機関)べリングキャットの専門家が確認した」と説明している。 ロシア系メディア「プラウダ」もこの動画を公開し、「BBCが報じた」と記事にしている。 検証過程 べリングキャットが否定 映像の中でニュースソースとされたべリングキャットの創業者エリオット・ヒギンズ氏は3月9日、次のように否定した。 「またもやべリ

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はしか(麻疹)感染の症状を軽視 SNSで誤った情報広がる WHOも注意喚起 “公的機関の情報確認を”

国内ではしかの感染が発生したと報道された直後から、「はしかには自然に感染して免疫を獲得した方がいい」、「ビタミンをとっていればワクチンは必要ない」という言説が拡散しました。はしかは極めて感染力が強く、感染して重症化すると死に至ることもありうる病気だとしてNHKが警鐘を鳴らす記事を出しました。

はしか(麻疹)感染の症状を軽視 SNSで誤った情報広がる WHOも注意喚起 “公的機関の情報確認を” | NHK
【NHK】はしかに感染した人が各地で相次いで確認されていますが、SNSで広がっている誤った情報にも注意が必要です。はしかに感染した場合の症状を軽視し、ワクチンによる予防を否定する誤った情報が広がっています。

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【NHK】13年前の東日本大震災では電話が使われなくなった地域での救助や支援の要請などでSNSが注目されましたが、能登半島地震では…

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【NHK】偽の救助要請や偽の寄付サイト、偽のニュースサイト…。東日本大震災や能登半島地震のような災害時、混乱に便乗したフェイク情報の拡散が相次いでいます。中には、誤った情報を信じ込ませて詐欺を働くケースも。平常時からフェイク情報にだまされない方法を学ぶ必要性が指摘される一方、こんな声も。「大事だけど自分ごとと思えない」「退屈で学ぶ気にならない」。そんな中、大学生3人組が開発した、ある「謎解きゲーム」が注目を集めています。参加者は「楽しかった」と口々に話しながら、フェイクを見抜く方法を学んでいました。

IAEA事務局長“処理水放出の誤情報への対処法は情報の透明性”

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【NHK】12日来日したIAEA=国際原子力機関のトップ、グロッシ事務局長がNHKのインタビューに応じ、東京電力・福島第一原発の処…

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