小池都知事を批判したカンニング竹山氏が番組から降ろされた?【ファクトチェック】

小池都知事を批判したカンニング竹山氏が番組から降ろされた?【ファクトチェック】

TBS系の情報バラエティー「アッコにおまかせ!」で、お笑い芸人のカンニング竹山隆範氏が小池百合子都知事の答弁拒否問題や学歴詐称疑惑などを取り上げました。その結果、翌週の放送から降ろされたという言説が拡散しましたが誤りです。竹山氏は月1回程度で出演する準レギュラーで、本人も「降ろされていない」と否定しています。

検証対象

2024年6月30日、「カンニング竹山が先週の『アッコにおまかせ』で小池都知事の答弁拒否問題や経歴疑惑等を取り上げていた」「案の定、今週降ろされました…」という動画つき言説が拡散した。

動画では竹山氏が「都政でこの8年間何が行われたか分かっていない」「都知事の答弁拒否という問題があります」「マスコミの取材の仕方、リモートで記者クラブの人だけ当てて、フリーの人とかがいろいろ質問したいけど当てない」「経歴の疑惑とか」などと発言している。

投稿は2024年7月4日時点で1.5万件以上リポストされ、表示回数は1300万件を超える。投稿について「権力者への忖度」「テレビの現実」というコメントが付く一方で「カンニング竹山さんはアッコにおまかせは月1の出演」といった指摘もある。

検証過程

カンニング竹山氏がラジオで否定

竹山氏は7月1日、文化放送のラジオ「くにまる食堂」に出演して疑惑を否定した。日本ファクトチェックセンター(JFC)は配信アーカイブ「radiko」で竹山氏の発言を確認した。

放送の15分ごろから都知事選の話題になる。17分ごろ、竹山氏が「個人的なことで自分の口で言っておきますけど、誤解を生じているものがある」と自身が放送から降ろされたという言説が広まっていることに触れた。

竹山氏は、6月30日放送の「アッコにおまかせ」に出演していないことについて「元々僕月1だから、出れた時月1、出れなかった時は2か月に1回もあります。あれは準レギュラーって名前だから、そもそも今週出ないんです」「インターネットの情報にみんな騙されちゃダメ」「レギュラーじゃないし、仕事もしてるし」などと重ねて疑惑を否定。「選挙戦が始まっているからそういうこともあるとも思うんだけど、嘘のまま広まっちゃうから、皆さん自分で気をつけながら、自分自身がどう思うかの一票ですから」と話している。

カンニング竹山氏のこれまでの出演状況は

JFCは「アッコにおまかせ!」への竹山氏のこれまでの出演状況を確認した。

番組公式サイトでは「出演者紹介」の欄に和田アキ子氏、峰竜太氏、宇内梨沙アナウンサーの3人のみ記載している。その他の出演者は「準レギュラー」と呼び、番組公式Xのポストで放送日の前の金曜日に出演者を告知している。

番組公式Xによれば、2024年に入ってから「アッコにおまかせ!」は1月に3回、2月に3回、3月に5回、4月に4回、5月に4回、6月に5回の計24回放送された。このうち竹山氏が出演したのは1月21日、2月25日、3月31日、4月14日、5月5日、6月23日の計6回。間隔にばらつきはあるものの、1カ月に1回の出演で、ラジオ番組で竹山氏が説明した通りだった。

メディアも反応、投稿者は訂正して謝罪

言説の拡散や前述のラジオ番組での竹山氏の否定を受けて、一部メディアが竹山氏が「アッコにおまかせ!」から降ろされたことを否定する発言をしたという記事を配信した(東スポWebスポニチAnnex)。

投稿者も言説へのリプライという形で「竹山氏は月1の出演みたいでした。謝罪いたします。申し訳ありませんでした」と訂正し謝罪した。

判定

TBS系のテレビ番組「アッコにおまかせ!」で小池都知事の答弁拒否問題や学歴詐称疑惑などを取り上げたカンニング竹山氏が翌週の放送から降ろされたという言説が拡散したが、本人が毎週のレギュラー出演をしていないと否定しており、実際に出演実績は月1回程度。番組も「準レギュラー」としている。言説の投稿者も訂正して謝罪しており、誤りと判定する。

検証:木山竣策、リサーチチーム
編集:宮本聖二、野上英文、藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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