小泉進次郎氏の祖父は横須賀のヤクザで在日朝鮮人? 画像も経歴も無関係【ファクトチェック】

小泉進次郎氏の祖父は横須賀のヤクザで在日朝鮮人? 画像も経歴も無関係【ファクトチェック】

「小泉進次郎氏の祖父は横須賀のヤクザで在日朝鮮人」という情報が、刺青を入れた男性の画像と共に拡散しましたが、誤りです。画像も経歴も小泉家と関係のない人物です。

検証対象

2025年5月28日、「小泉進次郎のお爺さんは『刺青のマタちゃん』と呼ばれていた横須賀のヤクザで在日朝鮮人でした」という投稿が拡散した。投稿には、上半身が裸で刺青を入れた男性に「小泉又次郎」と書いた画像が添付されている。

投稿に添付されている画像

2025年6月3日現在、この投稿は1万件以上リポストされ、表示回数は995万回を超える。投稿について「小泉一族は売国奴」「まじか」というコメントの一方で、「デマはやめとき」という指摘もある。

検証過程

刺青の男性は彫師「彫千代」

拡散した男性の写真をGoogleレンズで検索すると、Wikimedia Commonsの写真と一致する。説明には「彫師『彫千代』のものと考えられている写真」と記されている。また、元の画像には「小泉又次郎」の文字はない。

この写真は長崎大学附属図書館 幕末・明治期古写真データベースに所蔵され、撮影者は鈴木真一(二代目)と明記されている。

なお、小泉又次郎氏は進次郎氏の祖父ではなく曾祖父で、小学校教員、新聞記者、横須賀市会議員・議長を経て1908年衆議院議員に当選。昭和初期に逓信大臣を務めた。写真も国立国会図書館のサイトで確認できるが、拡散した写真とはまったく異なる。(国立国会図書館「近代日本人の肖像」)。

近代日本人の肖像より

又次郎氏には刺青があり「刺青大臣」の異名をとっていたと伝えられている(小野友道著「いれずみ物語」)。

この画像はXなどでたびたび拡散している。日本ファクトチェックセンター(JFC)は2024年8月にも検証し、誤りと判定している。

JFC“小泉進次郎氏の祖父は朝鮮人?総裁選を前に誤情報が拡散【ファクトチェック】”

小泉進次郎氏の祖父は朝鮮人?総裁選を前に誤情報が拡散【ファクトチェック】
「小泉進次郎氏は、朝鮮人『小泉組・小泉純也』氏(写真)の孫」という言説が拡散しましたが、誤りです。小泉氏の祖父は防衛庁長官をつとめた小泉純也氏で、純也氏は朝鮮人ではありません。また添付画像の刺青をした男性は、純也氏とは別人です。 検証対象 2024年8月23日、上半身に刺青をした男性の写真とともに「小泉進次郎氏は、朝鮮人『小泉組・小泉純也』氏(写真)の孫」というX(旧Twitter)の投稿が拡散した。 8月26日現在で290万の閲覧数と3200のリポストがあり、「こんなの、絶対総理にしちゃいけない案件」といったコメントがあるほか、「印象操作」「一枚目の画像は別人です」という投稿への批判もある。 検証過程 小泉純也氏は朝鮮人なのか 衆議院議員の小泉進次郎氏の祖父の小泉純也氏(元総理大臣の小泉純一郎氏の父)は元衆議院議員。1960年代の池田勇人内閣、佐藤栄作内閣で防衛庁長官を務めた。 公職選挙法10条の規定で、国会議員になるには「日本国民」であることが条件なので、純也氏は朝鮮人ではない。 さらに小泉氏が日本国籍に帰化したかどうかを官報情報検索サービ

判定

拡散した画像の男性は彫師のものと考えられている写真で、小泉又次郎氏の画像ではない。また、経歴も異なる。よって誤りと判定した。

出典・参考

Wikimedia Commons. “File:Horichiyo.jpg”. https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Horichiyo.jpg, (閲覧日2025年6月3日).

長崎大学附属図書館 幕末・明治期古写真データベース. “刺青姿の男性 (1)”. http://oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/search/jp_detail.php?id=1755&prc=sch&of=&cl=&al=&cr=11&ar=&arc=&col=&mk=&slf1=&slf2=&slf3=&jp_cov=&kw=&list_type=th&pg=2, (閲覧日2025年6月3日).

国立国会図書館.”近代日本人の肖像 小泉又次郎”.https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/483/,(閲覧日2025年6月3日).

Kumamoto University Repository.”いれずみ大臣 : 小泉又次郎逓信大臣 (いれずみ物語 ; 20)”.https://kumadai.repo.nii.ac.jp/records/21388,(閲覧日2025年6月3日).

検証:木山竣策
編集:古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら。

もっと見る

毎年拡散するインフルエンザ誤情報/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

毎年拡散するインフルエンザ誤情報/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

あるニュースが注目を集めると、それにまつわる偽・誤情報が必ず拡散します。地震、台風、インフルエンザもその一つです。季節の話題のように、毎年、流行のタイミングで、手口が似通った偽情報が拡散する。プレバンキング記事で予習をしておくと良いでしょう。 今週のファクトチェックまとめです。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週のお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は10月24日(土)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。 日本ファクトチェックセンター(JFC) ファクトチェック講師養成講座 10月24日(土)開催分日本ファク

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
日高村がバングラデシュ人を1000人受け入れる? 村は否定【ファクトチェック】

日高村がバングラデシュ人を1000人受け入れる? 村は否定【ファクトチェック】

高知県日高村が「バングラデシュ人1000人を受け入れる」という投稿が拡散しましたが、誤りです。日高村は「特定の国籍の方を対象とした集団的な移住事業や計画は行っていない」と公式に否定しています。民間の交流団体の会長は「1000人」と話していますが、村の施策とは無関係です。 検証対象 拡散した言説 2026年10月1日、「高知県の日高村という人口4577人の村で、バングラデシュ人1000人受け入れるみたいだが…」という投稿がXで拡散した。 検証する理由 この投稿は9000件以上リポストされ、表示回数は839万回を超えている。「地元の人達は知ってるの?」「5人に1人がバングラデシュ人になってしまう!」というコメントがあるため検証する。 検証過程 出入国在留管理庁のウェブサイトによると、2025年末現在、高知県に住むバングラデシュ人は107人だ(出入国在留管理庁”令和7年末現在における在留外国人数について”)。 「1000人受け入れ」は村の計画ではなく民間団体の発言 「バングラデシュ人を1000人受け入れ」はどこからの情報か。Meltwaterで

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
インフルエンザの偽・誤情報は毎年、形を変えて広がる 国内外の検証に見る5つの手口【プレバンキング】

インフルエンザの偽・誤情報は毎年、形を変えて広がる 国内外の検証に見る5つの手口【プレバンキング】

秋が深まり、インフルエンザワクチンの接種シーズンが始まりました。この時期は、ワクチンや流行をめぐる偽・誤情報も毎年のように広がります。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、インフルエンザワクチンに関する投稿を繰り返し検証してきました。似たような主張は、海外でも拡散しています。今回は、海外の事例も合わせて、5つの「手口」を紹介します。 この記事は、偽・誤情報の手口を知ることで、同様の情報を目にしたときに騙されにくくする「プレバンキング」という予防的な取り組みです。詳しくは、JFC用語解説「プレバンキング」をご覧ください。 広がりやすい5つの手口 1. 本物の資料の一部分を切り出して「危険」と主張 本物の医薬品の添付文書や研究論文の一部を切り取って、「危険だ」と主張する投稿です。 2025年9月、点鼻ワクチン「フルミスト」の添付文書に「劇薬」「ミトコンドリア脳筋症の症状悪化」と書かれていることを根拠に、「子供の命が危険」だという主張が拡散しました。記載は事実ですが、そもそもワクチンは原則「劇薬」に指定されています。「劇薬は用法・用量に注意が必要だ」とい

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
大谷翔平選手に関するニュースを装った偽サイトが拡散 投資に勧誘【詐欺注意】

大谷翔平選手に関するニュースを装った偽サイトが拡散 投資に勧誘【詐欺注意】

2026年10月ごろから、「大谷翔平氏がシカゴでのカブス戦後に片山さつき財務相との握手を拒否した」とするNHK風の偽記事がインターネット上で拡散しています。リンクをクリックすると投資サービスの宣伝に誘導されるので注意が必要です。 2026年10月ごろから、ドジャースの大谷選手の写真とともに「先日の出来事は、日本中に衝撃を与えました」「最新情報はWebサイトに掲載しています」などと書かれたリンクが添付された投稿が多数投稿されている(例1、例2)。 10月5日現在、投稿したアカウントの一部は凍結されている。 リンク先に飛ぶと(現在は削除済み)、NHKのロゴがある記事のようなページが表示される。見出しは「大谷翔平、シカゴでのカブス戦後に片山氏との握手を拒否。その背後にある驚くべき理由とは — NHK」。ロゴやレイアウトなどは、実際のNHKのニュースサイトに似せて作られている。 しかしページのURLは「affectmeridian.world」で、NHK(https://www.nhk.or.jp/)とは関係のないドメインだ。NHKのサイトには同じ記事が存在しない。

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は10月24日(土)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。 日本ファクトチェックセンター(JFC) ファクトチェック講師養成講座 10月24日(日)開催分日本ファクトチェックセンター(JFC)による講師養成講座です。 講師養成講座(オンラインで90分)を受講いただいた後、修了課題を提出された方には、教室や職場などで利用可能な教材の提... powered by Peatix : More than a ticket.Peatix 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤っ

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験

JFCファクトチェッカー認定試験

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や騙されない人の行動

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)