安倍元首相が日本の年収を下げていた? グラフの読み間違い【ファクトチェック】

安倍元首相が日本の年収を下げていた? グラフの読み間違い【ファクトチェック】

「安倍元首相が日本の年収を下げていた」という文言とともにグラフ付きの画像が拡散しましたが、誤りです。グラフで年収が下がっていると強調されている時期は小泉純一郎政権です。第一次や、第二次安倍政権発足以降の年収はともに上昇傾向にありました。

検証対象

2025年10月27日、「【悲報】安倍晋三、凄まじい勢いで日本人の平均年収を下げていたことが判明wwww」という画像つき投稿が拡散した。

10月30日現在、この投稿は削除されているが、同じ画像を使った投稿が拡散している。

検証過程

画像のグラフは

画像のグラフをGoogleレンズで検索すると、2011年3月2日に「ITmedia ビジネスオンライン」が投稿した「コツコツお金を貯める人が、減っている理由」という記事がみつかる。拡散したグラフは、この記事に添付された内容と同じだ。

記事は「1998年を境に日本の平均年収が減少し、コツコツと貯金する人も減っている」と書いている。拡散したグラフは「ビジネスパーソンの平均年収(横軸は年、出典:年収ラボ)」というタイトルで記事内で紹介され、1998年以降にビジネスパーソンの収入が減少していく様子を分かりやすく示したものだ。

(ITmedia ビジネスオンライン.”コツコツお金を貯める人が、減っている理由”より)

グラフが下がっているのは小泉政権期

グラフには「横軸は年」と書いてあるだけで、西暦なのか元号なのかが書かれていない。しかし、記事には「1998年(平成10年)を境に平均年収が下がり始めている」とあり、グラフの横軸が10から平均年収が下がり始めていることから、「10」は「平成10年」を指していることがわかる。

安倍晋三氏は2006(平成18)年9月26日に内閣総理大臣に就任し、2007(平成19)年9月26日に健康上の理由で退任した。2012(平成24)年12月26日に首相に返り咲くと、デフレ脱却を目指す経済政策「アベノミクス」を推進し、2020(令和2)年9月16日に再び退任した(首相官邸. “歴代内閣”.)。

拡散した投稿はグラフが下降している2003年ごろを強調している。しかし、その時期は小泉純一郎氏が総理大臣だった。グラフによると、第一次安倍政権下の2006年〜2007年は平均年収が増加している。

第二次安倍政権でも平均年収は上昇

拡散したグラフは2009年までとなっているため、第二次安倍政権以降の数値がない。ITmedia ビジネスオンラインが参照している年収ラボの新たなデータは確認できなかった。

代わりに国税庁の民間給与実態統計調査をもとに日本ファクトチェックセンター(JFC)が作成したグラフは以下の通りだ。

第二次安倍政権が発足した2012年以降、2018年まで平均年収は上昇傾向にあった。2019年に再び減少しているが、第二次安倍政権発足時の水準を上回っている。

判定

拡散した画像のグラフは2003年の平均年収に着目しているが、当時、安倍氏はまだ総理大臣に就任していない。グラフによると、第一次安倍政権下の2006年〜2007年にかけて平均年収は増えている。また、国税庁の民間給与実態統計調査によると、第二次安倍政権以降も増加傾向だ。よって、誤りと判定した。

出典・参考

ITmedia ビジネスオンライン.”コツコツお金を貯める人が、減っている理由”.https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1103/02/news006.html ,(閲覧日 2025年10月30日)

首相官邸. “歴代内閣”. 首相官邸. https://www.kantei.go.jp/jp/rekidainaikaku/ ,(閲覧日 2025年10月30日)

国税庁."民間給与実態統計調査".https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/toukei.htm ,(閲覧日 2025年10月30日)

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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