Meta社は詐欺広告から多額の売上を得ている/JFC検証など5本/ファクトチェック選手権、参加者募集【今週のファクトチェック】
FacebookやInstagramを運営しているMetaは年間売上の約10%にあたる160億ドル(約2兆4000億円)を、詐欺などの不正な広告から得ていると推計していた--。関連記事にも取り上げたロイターの報道が話題です。
Meta社は報道にある10%という推計について「大まかで過度に包括的」であり、「数字はもっと低かったと判明した」と反論しています。しかし、具体的な数字は示していません。
10%より低かったとしても、Metaが詐欺広告の存在を把握したうえで、どれだけ積極的に対策をとっていたのかが問題です。
今週の検証記事でも、高市早苗首相の映像を使った詐欺広告がありました。ソーシャルメディア上に大量の詐欺広告が溢れていることは事実であり、被害額は日本だけでなく世界でも増える傾向にあります。
ファクトチェックの実践やメディアリテラシーの普及といった情報の受け手側からの対策だけでなく、そもそも詐欺広告が投稿されることを防がなければ、被害を減らしていくことは難しいでしょう。(古田大輔)
JFCからのお知らせ
JFCファクトチェック講師養成講座はこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。
次回は11月28日(金)午後5時~6時30分で、お申し込みはこちら。
ユースファクトチェック選手権2025開催へ 申し込みはこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は11~12月、中学生〜大学生を対象に情報を検証するスキルを競うイベント「ユースファクトチェック選手権2025」をオンライン開催します。2〜3人でチームを組み、国内大会を勝ち抜くと世界大会でアジア各国のチームと決勝を争います。
大会の日程(日本)
キックオフイベント(オンライン) 11月22日(土) 14:00-16
全国大会(オンライン)11月29日(土) 14:00-16
国際大会(オンライン) 12月13日(土) 時間未定
キックオフイベントを含めた大会への申込みはこちら(応募締切は11月17日)

今週のファクトチェック
ビル・ゲイツ氏が気候変動対策から撤退? 撤退ではなく新たな方法論を提言
マイクロソフト社の共同創業者ビル・ゲイツ氏が、気候変動対策から撤退するかのような投稿が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。ゲイツ氏は「気候変動は重要な問題だが、気温上昇の抑制を最優先にするのではなく、人類の福祉を向上する施策の一環と位置付けるべき」と述べており、気候変動対策からの撤退を表明したという事実はありません。

高市首相の偽広告、警察庁などが注意喚起 投資を促す典型的なオンライン詐欺
高市早苗首相が投資を促す偽広告がインターネット上で拡散していると、自民党や警察庁が注意喚起をしています。ソーシャルメディア上の広告機能を使った典型的なオンライン詐欺の手口です。

クマによる人身被害は増えていないのに騒いでいる? 死者数はすでに過去最多
クマによる人身被害の数を示すグラフとともに「報道が過熱している」という趣旨の情報が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。拡散したグラフの2025年度分の数値は9月末までの6か月分のデータです。2025年4~10月のクマ被害による死者は過去最多の12人。人身被害者数も過去最多の2023年度と同水準で、被害や目撃情報の増加とともに報道も増えています。

在日朝鮮人の生活保護に年間2兆3千億円? 外国籍の受給世帯は2.8%
在日朝鮮人の生活保護に年間で2兆3千億円が使われているかのような言説が拡散しましたが、誤りです。日本全体の生活保護の総額は、近年、約3.5兆〜3.7兆円で推移しています。2兆3千億円だと全体の6割超ということになりますが、世帯主が外国籍の受給世帯数は全体の約2.8%にとどまります。

今週の動画/ポッドキャスト
Japan’s new PM, Sanae Takaichi created a “ministry” for mass deportation?
※高市首相が外国人を大量に国外退去させる省庁を作ったという偽情報が英語でも拡散していたので英語でファクトチェックしています。
ビル・ゲイツ氏が気候変動対策から撤退? 米トランプ大統領「サナエをイジメた奴はアメリカを敵に回す」と野党に警告? ~JFC週刊ポッドキャスト2025年11月7日号~
日本ファクトチェックセンター(JFC)がお届けする週刊ポッドキャスト、AIキャスターが話題になった誤情報のファクトチェック記事のポイントを1週間分まとめて解説します!
その他の関連記事
札幌のインターナショナルスクール計画 SNSで誤情報拡散、説明会に反対派 不安解消求める地元:47NEWS

「フェイクニュースをリアルに動画化」Sora2が8割で生成、7,200万回再生のフェイク動画も:新聞紙学的
https://kaztaira.wordpress.com/2025/11/04/sora2-generates-fake-videos-at-an-80-percent-rate/
Claim Dismissed as ‘Mountain of Garbage’ Links Vaccines to Autism:NewsGuard's Reality Check
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/claim-dismissed-as-mountain-of-garbage
【解説】「SNSが拡散するニセ情報と社会の分断」ノーベル平和賞受賞者マリア・レッサ氏に聞く「SNSとの共存方法」:FNNプライムオンライン

フィンランドの「メディアリテラシー教育」に注目 偽情報対策に効果:朝日新聞

「韓国で下半身だけの遺体37体」 日本語で虚偽情報を流布した韓国人ユーチューバー捜査:chosunonline.com

From climate science to economic fear: Prebunking the narratives aiming to delegitimize COP30:spotlight.ebu.ch

Denmark eyes new law to protect citizens from AI deepfakes:AP News
alt+Ignite: Fuel Curiosity, Elevate Your AI Literacy:Poynter

EU plans hub to tackle disinformation threat from Russia and others:the Guardian

米メタ、詐欺広告などで巨額収益か 1日150億件表示=内部文書: ロイター
https://jp.reuters.com/markets/global-markets/6YOFDGODVFMYZEG2M4S7O5LEVU-2025-11-08/
Cooperating with fact-checkers, civil society, media and academia:European Commission

X is using AI fact-checkers: Columbia Journalism Review

The UK’s fact-checkers are sending their AI to help Americans cover elections - Poynter

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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