クマによる人身被害は増えていないのに騒いでいる? 死者数はすでに過去最多【ファクトチェック】

クマによる人身被害は増えていないのに騒いでいる? 死者数はすでに過去最多【ファクトチェック】

クマによる人身被害の数を示すグラフとともに「報道が過熱している」という趣旨の情報が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。拡散したグラフの2025年度分の数値は9月末までの6か月分のデータです。2025年4~10月のクマ被害による死者は過去最多の12人。人身被害者数も過去最多の2023年度と同水準で、被害や目撃情報の増加とともに報道も増えています。

検証対象

拡散した言説

2025年11月4日、「マスコミの報道が今年だけ過熱していないか?」という文言とともに「クマ類による人身被害」というグラフが付いた投稿がXで拡散した。

検証する理由

この投稿を引用している人の中には「やっぱりそうだったか。テレビ見てると今年だけ異常に熊被害が多いように感じるが、実際はそうじゃない。報道が多いだけ」や「メディアにとって、人々の関心をクマに向けておきたい何かがあるのだろうね」など、2025年度のクマの被害が少ないかのような反応が多数ある。

検証過程

グラフは2025年9月末時点までの数字

拡散した棒グラフには「Yahoo!ニュースオリジナル」「出展:環境省(2025年10月制作)」という文字が入っている。

Googleレンズでこの棒グラフを検索すると「Yahoo!ニュースオリジナルThePage」の記事が表示される。2023年11月29日に配信された「【図解】クマ類による人身被害」という記事だ。「環境省の情報を基にYahoo!ニュースが制作したもの」という説明書きがある(Yahoo!ニュースオリジナルThePage”【図解】クマ類による人身被害”)。

記事は、ツキノワグマやヒグマなどのクマ類は森林生態系の重要な構成種だが、農作物被害や人身被害など、人のあつれきは深刻な問題となっている、と短く伝えており、拡散したグラフが記事の中心だ。「10月22日、図解内容の一部を修正しました」という但し書きもある。

グラフの2025年度の数字は108人とある。棒グラフの増減だけを見ると、確かに2023年や2020年と比べ被害が減っているように見えるが、黄色の吹き出しにある通り、2025年度の108人は「9月末時点」の人数だ。2024年以前は4月から翌年3月までの合計値のため、単純比較するのはミスリードだ。

2025年4~10月のクマによる死亡者数は過去最多

10月30日付の環境省のデータによれば、2025年4~10月のクマによる死亡者数は12人で過去最多、人身被害者数は4~9月で108人。過去最多を記録した2023年度における4~9月の109人と同水準だ(環境省”クマ被害対策等について”p2,3)。

人身被害だけではなく、目撃情報も相次いでいるため、報道も増えている。

判定

2025年度のクマ被害の数が一見増えていないように見えるグラフとともに、「クマに関する報道が今年だけ過熱している」という情報が拡散した。実際にはグラフの2025年度分は9月末時点の数で、2024年度以前は年間を通じた数のため、比較にならない。また環境省によると、2025年4~10月のクマによる死亡者数は過去最多の12人で、人身被害者数も過去最多を記録した2023年度と同水準だ。被害の多さにともなって報道も増えている。よって、ミスリードで不正確と判定する。

出典・参考

Yahoo!ニュースオリジナルThePage.”【図解】クマ類による人身被害”.https://news.yahoo.co.jp/articles/92334796db8ebce7f97847c03b61c75f1d9de4b1,(閲覧日2025年11月6日).

環境省.”クマ被害対策等について”.https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kumahigai_taisaku/dai1/shiryo1.pdf,(閲覧日2025年11月6日).

検証:根津綾子
編集:古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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