誤報を生む確証バイアス/JFC検証8本、動画など【今週のファクトチェック】

誤報を生む確証バイアス/JFC検証8本、動画など【今週のファクトチェック】

読売新聞が大誤報を出しました。日本維新の会の池下卓衆院議員による公設秘書給与の不正受給疑惑を東京地検特捜部が捜査しているというスクープ記事でしたが、捜査対象者を取り違えていました。

読売新聞の検証記事によると、担当記者の思い込みが原因で、取材相手が明確に認めたわけではないのに「肯定的な回答をした」と受け止め、また、別の関係者からは「誤報になるかもしれない」という助言があったにも関わらず、そういったマイナス情報は無視されました(読売新聞"マイナス情報を軽視、チェック機能働かず…東京地検捜査巡る誤報検証")。

人には「確証バイアス」があります。自分の考えに近い情報を「重要だ」と考え、そうではない情報を軽視・無視する傾向です。そして、意識的に自分の考えに近い情報ばかりを集めることを「チェリーピッキング」といいます。担当記者はまさにこれに囚われていたのでしょう。

偽情報や誤情報を「事実だ」と受け止めてしまう背景にも、バイアスがあります。日本ファクトチェックセンター(JFC)では、こういった内容を「ファクトチェック講座」で解説しています。無料ですので、ぜひ御覧ください。

フェイクニュースとバイアス 「私は大丈夫」が危ない 【JFCファクトチェック講座 理論編2】
日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 理論編の初回はファクトチェックの対象、偽・誤情報の定義や分類について解説しました。第2回は、なぜ人々が偽情報に騙されやすいのか、そしてその原因となる「認知バイアス」について説明します。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) 認知バイアスとは 認知バイアスとは、自分自身の経験などに基づいて無意識のうちに非合理な考えをしてしまうこと。誰しもが持っている偏りや先入観のことを指します。 騙す側は認知バイアスを意識的・無意識的に利用して偽情報を作るため、そのテクニックを知ることで騙されにくくなります。 ミュラーリヤーの錯視? 第0回で紹介したミュラーリヤーの錯視を覚えていますか?矢印が内向きになっている方が長く見える錯覚です。 💡しばらくこの図を見てから、下にスクロールしてください! この図をみた瞬間に「上の方が長く見えるけれど、同じ長さなんでしょ。そんなの知っているよ」と思いましたよね。 それがあなたのバイアスです。実はこれ、ひっかけ問題なんです。 わかり

捜査機関の情報を公開前に書くことを報道業界では「特ダネ」と呼びます。私も新聞記者時代には、特ダネを追いかけていました。しかし、誰かが逮捕されるという情報は、逮捕されたときには捜査機関から発表があります。

発表される情報を他の報道機関より少しだけ早く報じるよりも、正確な情報、発表されない情報を報じること。わかりにくい状況をわかりやすく解説すること。そして、誤った情報が拡散することをファクトチェックなどで防ぐことこそが、報道には求められていると考えています(古田大輔)。

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今週のファクトチェック

日本の4市がアフリカ諸国のものになり、移民が流入? 「ホームタウン」制度への誤解

山形県長井市など日本の4市がアフリカ諸国の「ホームタウン」に認定され、海外でも報道されたことをきっかけに「日本は山形県長井市をタンザニアに与える」「アフリカからの移民を日本に定住させるための特別ビザ制度を創設」などの情報が拡散しましたが、誤りです。「ホームタウン」認定は、交流強化を目指すものですが、特別にビザを発行したり、日本の土地や権利を譲渡したりするものではありません。

日本の4市がアフリカ諸国のものになり、移民が流入? 「ホームタウン」制度への誤解 【ファクトチェック】(追記あり)
山形県長井市など日本の4市がアフリカ諸国の「ホームタウン」に認定され、海外でも報道されたことをきっかけに「日本は山形県長井市をタンザニアに与える」「アフリカからの移民を日本に定住させるための特別ビザ制度を創設」などの情報が拡散しましたが、誤りです。「ホームタウン」認定は、交流強化を目指すものですが、特別にビザを発行したり、日本の土地や権利を譲渡したりするものではありません。 検証対象 8月24日、「日本は、山形県長井市をタンザニアに与える」「外務省は、長井市ほか3つの市をアフリカ人に与えることを提案」という投稿が拡散した。 投稿には「THE TANZANIA TIMES」「Japan Dedicates Nagai City To Tanzania」と書かれたスクリーンショットが添付されている。 8月25日現在、この投稿は2万件以上リポストされ、表示回数は403万回を超える。投稿について「外国人に譲らないで頂きたい」「本当にふざけている」というコメントの一方で「長井市がタンザニアになるわけないでしょ」という指摘もある。 千葉県木更津市についても、BBCの

殺人事件の谷本容疑者は元中国籍? 投稿者は様々な事件事故に「関係者」としてコメント

神戸市のマンションで24歳の女性が刺殺された事件で、逮捕された谷本将志容疑者が元は中国籍だったという投稿がXで拡散しましたが、根拠不明です。谷本容疑者の国籍に関する情報は報道や公式発表などでは確認できません。また、拡散したアカウントはこれまで別の事件事故などでも関係者を名乗って根拠不明の情報を投稿し続けています。

殺人事件の谷本容疑者は元中国籍? 投稿者は様々な事件事故に「関係者」としてコメント【ファクトチェック】
神戸市のマンションで24歳の女性が刺殺された事件で、逮捕された谷本将志容疑者が元は中国籍だったという投稿がXで拡散しましたが、根拠不明です。谷本容疑者の国籍に関する情報は報道や公式発表などでは確認できません。また、拡散したアカウントはこれまで別の事件事故などでも関係者を名乗って根拠不明の情報を投稿し続けています。 検証対象 8月23日、「私は彼(谷本容疑者)と同じ会社で働いています」「もともと中国籍で谷将(コクショウ)と名乗ってました 10年ほど前に日本に帰化し現在の名前となってます」などと主張する投稿がXで拡散した。 8月26日現在、投稿は6100回以上リポストされ、表示は538.7万件を超える。投稿には「中国籍、韓国籍犯罪率高すぎ。要らん」「簡単に帰化出来るのも問題だけど やはり通名制度は狂っている!」や、「この人の他のポスト見たけど嘘っぽい気がする。疑った方が良いと思う」などの指摘もある。 検証過程 谷本容疑者が元中国籍という情報はない 神戸市のマンションで24歳の女性が刃物で刺されて殺害された事件で、8月22日、35歳の会社員・谷本将志容疑

プレジデントが「コロナワクチンで50万人死んでいる」と掲載? 記事の内容は正反対

プレジデント社が「コロナワクチンで50万人死んだ」と報じたと主張する投稿がXで拡散しましたが、誤りです。記事は、SNSで拡散したワクチン反対派の意見を検証し、専門家の「論理の飛躍がある」「科学的根拠が不十分」などの意見を元に、拡散した投稿と正反対の内容です。

プレジデントが「コロナワクチンで50万人死んでいる」と掲載? 記事の内容は正反対【ファクトチェック】
プレジデント社が「コロナワクチンで50万人死んだ」と報じたと主張する投稿がXで拡散しましたが、誤りです。記事は、SNSで拡散したワクチン反対派の意見を検証し、専門家の「論理の飛躍がある」「科学的根拠が不十分」などの意見を元に、拡散した投稿と正反対の内容です。 検証対象 8月25日、「プレジデントによるとコロナワクチンで50万人死んでる!すごい猛毒を日本政府が勧めた!」という投稿がXで拡散した。 8月27日現在、投稿は3300回以上リポストされ、表示は38.4万件を超える。投稿には「毒殺が普通に行われるのか 普段食べてるものも怪しい」「ワクチン2回打ちましたが、3回目打ったら死ぬんじゃないかと思い辞めました」や「文章読めます?内容真逆ですけど」という指摘もある。 検証過程 拡散した投稿のリンクはPRESIDENT Onlineが2025年1月18日に公開した記事だ(PRESIDENT Online”『コロナワクチンで50万人が死亡』『日本で人体実験している』…反ワク派の主張を専門家と徹底検証した結果”)。 SNSで拡散した「超過死亡数の大半はワクチンが

「日本の治安が世界33位に急落」? 2023年の海外アンケートでの東京の順位

「日本の治安が世界33位に急落した」という投稿がXで拡散しましたが、ミスリードで不正確です。海外企業のアンケート調査に「33位」という数字はありますが、最新のものではなく、東京を対象としたもので「急落」はしていません。

「日本の治安が世界33位に急落」? 2023年の海外アンケートでの東京の順位【ファクトチェック】
「日本の治安が世界33位に急落した」という投稿がXで拡散しましたが、ミスリードで不正確です。海外企業のアンケート調査に「33位」という数字はありますが、最新のものではなく、東京を対象としたもので「急落」はしていません。 検証対象 2025年8月25日、まとめサイト「NewsSharing」のXアカウントが「【悲報】日本の治安が世界33位まで急落…移民政策を推進する自民党が日本を破壊している。石破首相には辞任してほしい」と投稿した。 8月27日現在、投稿は9256回以上リポストされ、表示は123.3万件以上だ。投稿には「治安をかえせ😇」「解散総選挙を要求する」や「いや、12位でしょ?2024年の17位から5ランクUPでは??」という指摘もある。 検証過程 引用元は治安と無関係の画像 「NewsSharing」のまとめ記事が引用した投稿は、次のように主張している。 「日本は治安がいいが有名だったのに 世界33位に急落」「なぜか私たちの知らないうちに、移民受け入れによりアフリカの故郷にされてる」「このIQスコアの人々が日本でまともに働けるのでしょうか

参政党の神谷代表と堀江貴文氏が投資を勧めるAI偽広告に注意

参政党の神谷宗幣代表と、実業家の堀江貴文氏が投資を促す動画広告がFacebookなどで出回っています。画像はAIによる動画改変と自動読み上げで作成されています。参政党の公式Xアカウントが注意喚起しています。

参政党の神谷代表と堀江貴文氏のAI偽広告に注意
参政党の神谷宗幣代表と、実業家の堀江貴文氏が投資を促す動画広告がFacebookなどで出回っています。画像はAIによる動画改変と自動読み上げで作成されています。参政党の公式Xアカウントが注意喚起しています。 Facebook広告に政治家と著名人の偽広告 拡散している動画広告では、神谷氏と堀江氏が「今のような厳しい時代に誰でも安定した収入を得られるのは大きな希望です」「始めるのは簡単です。公式ページから登録し4万円を入れるだけ。今の行動がこれからの生活を変えます。1日10万円の収入でももう夢ではありません。迷わず始めてください」などと話している。 しかし、「多くの方(かた)」と読むべきところで「多くの方(ほう)」と読んでいたり、字幕に「むずらしく」と書かれているなど、AIで作ったコンテンツによくある違和感のある日本語だ。 動画を投稿したアカウントを確認すると、以前は韓国語でITに関する投稿をしていた。2019年以降は更新を停止していた。2025年になって、突然神谷氏と堀江氏の動画を投稿している。 参政党の公式Xアカウントが注意喚起 2025年8月22日

自民党が結党以来初めて衆参両院で過半数を割った? 実際は過去3回

参政党が発表した「終戦80年談話」で「自民党が結党以来初めて衆参両院で過半数を割った」と記しましたが、誤りです。自民党は衆参両院で、過去に3回、過半数割れをしています。参政党は公式サイト上では「与党として」過半数を割ったと修正しましたが、8月29日正午現在、X上の投稿はそのまま残っています。

自民党が結党以来初めて衆参両院で過半数を割った? 実際は過去3回【ファクトチェック】
参政党が発表した「終戦80年談話」で「自民党が結党以来初めて衆参両院で過半数を割った」と記しましたが、誤りです。自民党は衆参両院で、過去に3回、過半数割れをしています。参政党は公式サイト上では「与党として」過半数を割ったと修正しましたが、8月29日正午現在、X上の投稿はそのまま残っています。 検証対象 2025年8月15日、参政党の公式アカウントが「終戦80年談話」として「自民党が、結党以来初めて衆参両院で過半数を割りました」とXに投稿した。 8月29日現在、この投稿は1万件以上リポストされ、表示回数は708万回を超える。投稿について「日本の誇りを今こそ取り戻しましょう!」「涙した」というコメントの一方で「国政政党なのに虚偽情報はダメ」という指摘もある。 検証過程 自民党の単独議席数の変遷 1955年に結党した自民党の単独の議席数が衆議院、参議院の両院で同時に過半数を下回ったのは、1993年、2009年、2024年の3回ある(日本経済新聞.”衆議院選挙と参議院選挙、議席の攻防史”)。 最初に過半数を下回ったのは衆議院。1976年の衆院選で、定数5

JICAと三条市が外国人定住の協定? 対象は日本人の協力隊員

国際協力機構(JICA)が日本の4市をアフリカの「ホームタウン」に認定した件をめぐって、新潟県三条市とJICAが外国人を定住させる協定を結んだと思わせるような主張が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿に添付されている画像は別の事業の資料で、定住促進の対象は日本人の地域おこし協力隊員です。

JICAと三条市が外国人定住の協定? 対象は日本人の協力隊員【ファクトチェック】
国際協力機構(JICA)が日本の4市をアフリカの「ホームタウン」に認定した件をめぐって、新潟県三条市とJICAが外国人を定住させる協定を結んだと思わせるような主張が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿に添付されている画像は別の事業の資料で、定住促進の対象は日本人の地域おこし協力隊員です。 検証対象 三条市を含む4市とアフリカ諸国の「ホームタウン」認定をめぐって、外国人の移住が増えるのかと話題になる中、2025年8月26日、「三条市とJICAで『定住と定着の促進』ってハッキリ書いてあります」という投稿が資料のスクリーンショットと共に拡散した。 添付画像のタイトルは「三条市・国際協力機構・慶應義塾大学SFC研究所が 『地域おこしと国際協力の研究開発と推進に関する連携協定』を締結」。協定の概要6には「三条市の地域資源を活用した地域活性化を図るとともに、三条市への定住・定着の促進に関すること」と書かれている。 8月29日現在、投稿は3.2万件以上リポストされ、表示回数は1267万回を超える。反応には「どう考えても外患誘致だろ」や「アフリカ移民の故郷になって、地元

米トランプ大統領「日本政府は助けるつもりはないが日本国民は助けるつもり」と発言? 発言の記録なし

米トランプ大統領が「私は日本政府は助けるつもりはないが、日本国民は助けるつもりだ」と発言したかのような投稿がXで拡散しましたが、根拠不明です。ホワイトハウスからもトランプ氏からもそうした発表はありません。

米トランプ大統領「日本政府は助けるつもりはないが日本国民は助けるつもり」と発言? 発言の記録なし【ファクトチェック】
米トランプ大統領が「私は日本政府は助けるつもりはないが、日本国民は助けるつもりだ」と発言したかのような投稿がXで拡散しましたが、根拠不明です。ホワイトハウスからもトランプ氏からもそうした発表はありません。 検証対象 2025年8月28日、米トランプ大統領が「私は日本政府は助けるつもりはないが、日本国民は助けるつもりだ」と発言したかのような投稿がXで拡散した。 8月29日現在、投稿は2万回以上リポストされ、表示は988.7万件を超える。 投稿には「これが事実ならありがたい事だが、正直言って情けない事この上ない」「日本政府から日本国民を助けてください。もうめちゃくちゃですわ」や「これ本当に言ったのか??」などの指摘もある。 検証過程 投稿は2枚の画像付きだ。1枚目は演説するトランプ氏の静止画に日本語で「私は日本政府を助けるつもりはないが、日本国民を助けるつもりだ」というテロップが付いている。 2枚目は米ホワイトハウスの公式アカウントが8月27日に投稿したトランプ氏と政権幹部らとの集合写真の引用だ。「史上最高の内閣(The Greatest Cabine

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日本の4市がアフリカ諸国のものになり、移民が流入?「日本の治安が世界33位に急落」? JFC週刊ポッドキャスト2025年8月22日号

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は9月20日(土)午後2時~3時15分で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0920.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどの

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理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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