立花氏の投稿削除と新聞のファクトチェック/コロナワクチン ロットによって接種者全員死亡?/拡散続く兵庫県知事選の偽情報【今週のファクトチェック】

立花氏の投稿削除と新聞のファクトチェック/コロナワクチン ロットによって接種者全員死亡?/拡散続く兵庫県知事選の偽情報【今週のファクトチェック】

元兵庫県議の急死をめぐる自らの投稿を立花孝志氏が投稿を削除しましたが、その背景に新聞によるファクトチェックがありました。去年11月の兵庫県知事選挙で、県警内部で斎藤氏以外の候補を応援するよう通達が出たという誤った情報を姫路市議が拡散させました。川田参院議員の発言で拡散したコロナワクチンの特定のロットで接種者全員が死んでいるという情報を検証しました。官民共同で偽・誤情報対策のためのリテラシー向上の啓発活動が始まることになりました。

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JFCからのお知らせ

セミナー「新たなテクノロジーと偽情報 -AIの脅威と活用-」中止

1月30日に予定していたセミナー「新たなテクノロジーと偽情報 -AIの脅威と活用-」(共催:日本ファクトチェックセンター(JFC)、Code for Japan、早稲田大次世代ジャーナリズム・メディア研究所、協力:アメリカ大使館)は、メインスピーカーのサミュエル・ウーリー氏の来日が取りやめとなったため、残念ながら中止とさせていただきました。

お申し込みいただいていた皆さま、誠に申し訳ありません。また、このような機会をつくっていきたいと考えております。

今週の解説

立花氏が「県警が否定」報道直後に投稿削除 新聞による「ファクトチェック」の効果と公的機関の発信の重要性

兵庫県の元県議急死に関して「昨年から県警の取り調べを受けていた」「逮捕が怖くて自ら命を絶った」などとソーシャルメディアで発言していた政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が、投稿を削除しました。産経新聞などが県警に取材し、捜査や逮捕を否定したと報じたことが影響したと見られます。

これまで日本の新聞やテレビなどの報道機関はインターネット上の偽・誤情報などの検証に消極的でした。しかし、YouTubeやTikTok、XやFacebookなどソーシャルメディアの影響力が増す中で、その姿勢に変化が見られます。日本ファクトチェックセンター(JFC)などのファクトチェック組織と違う報道機関ならではの検証の果たせる機能と公的機関の情報発信について解説します。

立花氏が「県警が否定」報道直後に投稿削除 新聞による「ファクトチェック」の効果と公的機関の発信の重要性
兵庫県の元県議急死に関して「昨年から県警の取り調べを受けていた」「逮捕が怖くて自ら命を絶った」などとソーシャルメディアで発言していた政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が、投稿を削除しました。産経新聞などが県警に取材し、捜査や逮捕を否定したと報じたことが影響したと見られます。 これまで日本の新聞やテレビなどの報道機関はインターネット上の偽・誤情報などの検証に消極的でした。しかし、YouTubeやTikTok、XやFacebookなどソーシャルメディアの影響力が増す中で、その姿勢に変化が見られます。日本ファクトチェックセンター(JFC)などのファクトチェック組織と違う報道機関ならではの検証の果たせる機能と公的機関の情報発信について解説します。 元県議をめぐる立花氏の投稿と削除 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する県議会調査特別委員会(百条委)の委員だった竹内英明元県議が1月18日に急死した。自殺と見られると報じられている(朝日新聞、産経新聞)。 これに対し、立花氏は19日にXで「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを

今週のファクトチェック

岩屋外相の報道が全くない?報道できない事情がある? 様々な記事が出ている

訪米中の岩屋毅外務大臣について「報道が全くない」という情報が拡散しましたが、誤りです。トランプ大統領の就任式に出席する様子やその後の会談など、岩屋外相の外交については多様な記事が出ています。

岩屋外相の報道が全くない?報道できない事情がある? 様々な記事が出ている【ファクトチェック】
訪米中の岩屋毅外務大臣について「報道が全くない」という情報が拡散しましたが、誤りです。トランプ大統領の就任式に出席する様子やその後の会談など、岩屋外相の外交については多様な記事が出ています。 検証対象 2025年1月22日、「岩屋大臣の報道が全くない。中国に行ったら直ぐに報道するくせに同盟国に行ったら完全無視か?それとも報道できない事情があるのか?」という情報が拡散した。 2025年1月24日現在、この投稿は6000件以上リポストされ、表示回数は59万回を超える。投稿について「何をしているか全くわからない」「ダンマリは奇妙」というコメントの一方で「ニュースでやってました」という指摘もある。 検証過程 2024年12月25日、岩屋外相は中国・北京を訪問して王毅外相らと会談し、「戦略的互恵関係」の推進などを確認した(外務省「日中外相会談及びワーキング・ランチ」)。中国人のビザ発給要件緩和を表明したことに関し、自民党内でも賛否が分かれていることなどが報じられている(NHK「自民 中国人の観光ビザ発給要件などの緩和方針 否定意見相次ぐ」)。 検証対象となって

兵庫県知事選 県警が斎藤氏以外を応援するように通達?県警は否定、拡散した市議は根拠示さず(追記あり)

兵庫県姫路市の高見千咲市議が、2024年11月の県知事選に関して県警内部で斎藤元彦知事以外の候補を応援するよう通達されたと聞いたとXに投稿しましたが、誤りです。日本ファクトチェックセンター(JFC)の取材に対して、県警はこの情報を否定し、高見市議は根拠を示していません。

兵庫県知事選 県警が斎藤氏以外を応援するように通達?県警は否定、拡散した市議は根拠示さず【ファクトチェック】
兵庫県姫路市の高見千咲市議が、2024年11月の県知事選に関して県警内部で斎藤元彦知事以外の候補を応援するよう通達されたと聞いたとXに投稿しましたが、誤りです。日本ファクトチェックセンター(JFC)の取材に対して、県警はこの情報を否定し、高見市議は根拠を示していません。 検証対象 2025年1月20日、高見市議がXに「兵庫県警の内部では知事選において、特定候補(斎藤知事ではない)の応援をするように通達されていたと聞いたんですけど、だとしたらまあ今回の常任委員会でのやりとりも納得できる話」と投稿した。 この投稿は1月24日現在、23万を超える閲覧と370以上のリポストがあり、「県警と戦う覚悟がある人以外、斎藤知事を支えることはできないことに…」というコメントのほか「それはいつ、誰から聞いたんですか? 今デマについてシビアな時期だと思うので是非教えて下さい」と疑問を投げかける人もいる。 検証過程 警察官の選挙運動(選挙において、特定の候補者の当選を目的として、投票を得る、または得させるために直接または間接に必要かつ有利な行為)は公職選挙法136条で禁止され

川田議員「コロナワクチンで接種者全員が亡くなったロットがある」? そのようなデータはない

新型コロナワクチンをめぐって「ロットによって接種者全員が亡くなっているショックな統計がある」と川田龍平参議院議員(立憲民主)が投稿しましたが、誤りです。厚生労働省はワクチン接種者のロットごとの死亡件数を公表していますが、特定のロットで全員が死亡した記録はありません。川田議員の事務所は「静岡県御殿場市のデータ」だと説明しましたが、御殿場市に情報開示請求した結果、そのようなデータはありませんでした。

川田議員「コロナワクチンで接種者全員が亡くなったロットがある」? そのようなデータはない【ファクトチェック】
新型コロナワクチンをめぐって「ロットによって接種者全員が亡くなっているショックな統計がある」と川田龍平参議院議員(立憲民主)が投稿しましたが、誤りです。厚生労働省はワクチン接種者のロットごとの死亡件数を公表していますが、特定のロットで全員が死亡した記録はありません。川田議員の事務所は「静岡県御殿場市のデータ」だと説明しましたが、御殿場市に情報開示請求した結果、そのようなデータはありませんでした。 検証対象 2024年12月17日、川田議員がXに「ロットによって接種者全員が亡くなっているショックな統計すらある」と投稿した。川田議員は、同じ内容について2024年12月17日の参議院予算委員会でも発言している。 2024年1月22日現在、この投稿は1700件以上リポストされ、表示回数は180万回を超える。投稿について「残念です」「取り上げて頂きありがとうございます」というコメントの一方で「接種者全員亡くなったという統計結果はどこにありますか?」と疑問を投げかける指摘も多い。 検証過程 参議院予算委員会での発言 川田氏が投稿したのは2024年12月17日の

立憲民主・野田代表「弱い人を助けるための政治はもう終わり」と発言? 切り取りでミスリード

立憲民主党の野田佳彦代表が「弱い人を助けるための政治はもう終わり」と話したかのような情報が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。発言の一部を切り取って原文と異なる印象を与えています。

立憲民主・野田代表「弱い人を助けるための政治はもう終わり」と発言? 切り取りでミスリード【ファクトチェック】
立憲民主党の野田佳彦代表が「弱い人を助けるための政治はもう終わり」と話したかのような情報が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。発言の一部を切り取って原文と異なる印象を与えています。 検証対象 2025年1月22日、「もう政治家やめてくれ」という文言と共に、立憲民主党の野田代表が「弱い人を助けるための政治はもう終わり」と発言しているような画像が拡散した。 2025年1月24日現在、この投稿は1.3万回以上リポストされ、表示回数は270万回を超える。投稿について「弱い人を助けるのが、政治の役目だろ」「こんな奴を代表にするな」というコメントの一方で「切り取りだね、これ」という指摘もある。 検証過程 画像の左上には「MBS NEWS」、右上には「立憲野田新代表選出『政権をとりにいく』」という文言がある。 毎日放送報道情報局が運営するYouTubeチャンネル「MBS NEWS」を確認すると、文言が一致する動画「『打倒自民党。戦いの準備を進めていきます』立憲新代表の野田佳彦氏 27日には自民党総裁選(2024年9月23日)」が見つかる。 2024年9月に投

厚労省審議会の委員に年間1845万円の報酬?常勤の特別職と混同(修正あり)

厚生労働省の社会保障審議会の委員の報酬が年間で1845万円だという情報が拡散しましたが、誤りです。この審議会の委員は非常勤で会議開催ごとに謝金が支払われ、その額は1日最大1万9700円です。

厚労省審議会の委員に年間1845万円の報酬?常勤の特別職と混同(修正あり)【ファクトチェック】
厚生労働省の社会保障審議会の委員の報酬が年間で1845万円だという情報が拡散しましたが、誤りです。この審議会の委員は非常勤で会議開催ごとに謝金が支払われ、その額は1日最大1万9700円です。 検証対象 2025年1月20日、厚労省の社会保障審議会年金部会の委員一覧表と国家公務員特別職の給与一覧とともに「本当に日本政府はクソだな なんで社会保障を審議する委員が年に1845万ももらえるんだ?都合の良い事をいってもらう為だろ?」という情報が拡散した。 この投稿は、59万以上のインプレッションのほか、1500以上のリポストがあり「こいつらの報酬だけで4億円かかってるってこと? こんなのが無数にあるんだからいくら税金あってもたりないよな」「一般市民でこんなに年収もらえる人、どんなに真面目に働いても極々僅かですわ…」といったコメントがついていたが、22日夜この投稿は削除された。 この投稿に対して、委員一覧の中で赤い線が引かれていた委員の1人たかまつなな氏は、Xに誤りだとして、削除と訂正を求める投稿をした。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)が拡散し

トランプ米大統領「まず潰すべき国はメキシコ、カナダ、中国、そして日本だ」と発言? まとめサイトによるもの

トランプ米大統領が「まず潰すべき国はメキシコ、カナダ、中国、そして日本だ」と発言したとする投稿が拡散しましたが、誤りです。トランプ大統領の実際の発言ではありません。掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。

トランプ米大統領「まず潰すべき国はメキシコ、カナダ、中国、そして日本だ」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
トランプ米大統領が「まず潰すべき国はメキシコ、カナダ、中国、そして日本だ」と発言したとする投稿が拡散しましたが、誤りです。トランプ大統領の実際の発言ではありません。掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。 検証対象 2025年1月21日、「🚨トランプ「まず潰すべき国はメキシコ、カナダ、中国、そして日本だ」/🔥🔥🔥日本🇯🇵ランクイン🔥🔥🔥」というポストがX上で拡散した。このポストは2025年1月24日現在、405.9万回以上の表示回数と3100件以上のリポストを獲得している。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)が「トランプ氏の発言」として拡散した「まず潰すべき国はメキシコ、カナダ、中国、そして日本だ」をGoogle検索で調べたところ、掲示板サイト5ちゃんねるのスレッドのタイトル「トランプ『まず潰すべき国はメキシコ、カナダ、中国、そして日本だ』」と完全に一致した。 拡散した投稿とこのスレッドはともに2025年1月21日に投稿されている。このスレッドには以下のスクリーンショットが添付されている。 「トランプ氏の

今週のJFC動画

フロリダ州の調査でコロナワクチンが生物兵器と判明?

アメリカ・フロリダ州の調査で新型コロナワクチンが生物兵器だと判明したという情報が拡散しましたが、誤りです。ニュースは共和党員からワクチンが生物兵器であると違法にするよう州知事に訴える動きがあることを伝えたものです。

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【NHK】インターネット上での偽情報や誤情報の拡散などを防ぐため、SNSを運営するプラットフォーム事業者と総務省などが共同で、利用…

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高市氏を「褒める」偽・誤情報、今後どう変わるか/JFC検証など7本【今週のファクトチェック】

高市氏を「褒める」偽・誤情報、今後どう変わるか/JFC検証など7本【今週のファクトチェック】

政治に関する偽・誤情報には、対象となっている政党や政治家にとってプラスになるものもあれば、マイナスになるものもあります。単純に言えば、「褒める」か「貶す」のどちらかです。 自民党の高市早苗新総裁は、ネット上でも人気が高かった安倍晋三元首相の路線の継承者を辞任し、高市氏自身もネットで人気の高い保守系政治家です。総裁に選ばれて注目度がさらに上がったことで、当然、偽・誤情報が流れています。 現在のところ、「褒める」傾向の拡散が多いのが特徴です。日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証したまとめサイトからの偽・誤情報の見出しの冒頭に「朗報」とついているところが象徴的です。「貶す」方向性であれば、これが「悲報」になりがちです。 公明党が連立離脱を発表し、高市氏はいきなり厳しい立場に立たされています。少数与党で政権運営に苦労すれば、支持率が伸び悩み、批判も増えてくるでしょう。そうすると、偽・誤情報は「貶す」方向に転じていきます。その方が拡散するからです。 褒める内容であれ、貶す内容であれ、間違っているものは間違っています。まずは、事実関係の確認が不可欠です。(古田大輔)

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
総理大臣が高市氏に代わるからトランプ政権が態度を変えた? 軽減措置など総裁選前から報道【ファクトチェック】

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は10月18日(土)午後2時~3時15分で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei1018.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にど

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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