日本は「報道の自由度」117位? 2026年は62位 「ジェンダーギャップ」と混同か【ファクトチェック】
高市早苗首相が米ニューヨークの国連総会で演説をしている画像とともに「日本のテレビ局や新聞社はこんな映像を流せない。(報道の自由度117位)」という文言を付けた投稿が拡散しましたが、誤りです。NGO「国境なき記者団(RSF)」が発表している報道の自由度ランキングで、2026年の日本は180か国中62位でした。
検証対象
拡散した言説
2026年9月26日、「Good angle NHKを筆頭に日本のテレビ局や新聞社はこんな映像(写真)を流せない。(報道の自由度117位)」という文言が付いた画像がXで拡散した。

検証する理由
9月30日現在、投稿は9700回以上リポストされ、表示は144万件を超える。
拡散した投稿には「各国首脳の演説は日程が分散しているから時間帯によって空席が多いのは普通の事なので流す必要がないんですよ」などの指摘もあるが、「高市首相の国連演説。ガラガラ。テレビはスルー。さすが報道の自由度117位の日本」「絶対に日本のメディアは出さないアングル さすが報道の自由度117位の我が国日本 政権の不都合を隠蔽するな」など、日本が報道の自由度117位だと真に受けた反応が多いため検証する。
検証過程
拡散した画像は
拡散した投稿は、別の投稿のスクリーンショットを添付している。
スクリーンショットには「高市首相の国連演説。聴衆はどれ位いたでしょう。(写真:ガーディアン紙)」という文言と、会議場で演説している高市早苗首相を横から撮った画像が添付してある。
「Guardian UN Japanese PM Takaichi」でGoogle検索すると、複数の記事が表示される。
その中に、英紙ガーディアンが2026年9月25日に公開した「満員御礼:国連本会議場を『超満員』にした首脳は誰?ー写真特集」という写真集がある(the Guardian”Full house: which world leaders got bums on seats at the UN? – in pictures”)。拡散した画像は、この写真集の1枚と一致した。
写真集では、国連グテレス事務総長と、ブラジルのルラ大統領、米トランプ大統領など10か国11人の首脳がひとりずつ演台に立ち、会議場の聴衆に向けて演説している様子を横から撮影した写真が11枚掲載されている。
いずれもほぼ同じ画角で撮られており、首脳と聴衆席の双方が写っているため、どの首脳の演説に多くの聴衆がいたかが一目で分かる。ガーディアンは、それぞれの写真を次のように説明している。
1枚目「火曜日に行われたアントニオ・グテレス国連事務総長による開会演説には、かなり多くの人が出席した
2枚目「そして、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領の演説にも、かなりの人が集まった…」
3枚目「…しかし、彼は単なるドナルド・トランプの前座に過ぎなかったのだろうか?」
4枚目「フランスのエマニュエル・マクロン大統領の演説を聞くために、その場に残った人はそれほど多くなかった」
5枚目「そして、カウンターパートである韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領の演説となると、残っていた人はさらに減った」
6枚目「日本の高市早苗首相の演説の際も、会場に残っていた人数はかなり少なかった」
確かに、1枚目から3枚目まではほぼ満席だが、4枚目以降は空席が目立つ。拡散した投稿は、高市首相の演説は、他国の首脳の演説と比べて聴衆が少なかったことを、日本のメディアは報道できない、と示唆していると考えられる。
日本の「報道の自由度ランキング」は62位
拡散した投稿は日本が「報道の自由度117位」と書いている。
報道の自由度ランキングとは、NGO国境なき記者団(RSF)が毎年発表している、世界180の国と地域を対象にした順位だ。メディアの独立性やジャーナリストの安全性など、報道を取り巻く状況を様々な観点から評価している(RSF”The World Press Freedom Index What is it?”)。
2026年の日本は180か国中62位、2025年は66位だった(RSF”Japan”)。
総評には、次のように書いてある。
「日本は、メディアの自由と多元性の原則が概ね尊重されている議会制民主主義国家だ。しかし、伝統的な利害やビジネス上の利害関係、政治的圧力、そしてジェンダーの不平等が、ジャーナリストが社会の監視役としての役割を十分に果たすことをしばしば妨げている」(RSF”Japan”)
62位は、G7の中でアメリカに次いで低い順位だ。日本は「特定秘密保護法がジャーナリストの活動を阻害し続け、情報源の秘匿と、編集の独立性を守るための安全策が不十分だ」と指摘された(RSF”Analysis 2026 ASIA-PACIFIC From terrorism charges to cybersecurity laws, authoritarian regimes exploit legal tools to terrorise the press”)。
ジェンダーギャップ指数の117位と混同?
「日本が117位」という順位には、世界経済フォーラム(WEF)が9月16日に発表した2026年版のジェンダーギャップ報告書がある。
日本は調査対象145か国のうち117位(WEF”Global Gender Gap Report 2026 INSIGHT REPORT SEPTEMBER 2026”)。
日本がこのランキングで117位になったことは、複数の報道機関が伝えており、政治や経済分野で後れをとっていることなどが原因だとしている(朝日新聞”男女平等、日本は117位 高市首相誕生で1つ上昇、G7では最下位”、時事通信”男女平等、日本117位 G7最下位続く―国際調査”)。
拡散した投稿は、この「ジェンダーギャップ指数」と「報道の自由度ランキング」を混同した可能性がある。
判定
国連本部で高市首相が演説している画像に、「日本のテレビ局や新聞社はこんな映像(写真)を流せない。(報道の自由度117位)」という文言を付けた投稿が拡散した。しかし、RSFの「報道の自由度ランキング」では、2026年の日本は180か国中62位だ。よって、誤りと判定する。
出典・参考
the Guardian.”Full house: which world leaders got bums on seats at the UN? – in pictures”.https://www.theguardian.com/world/gallery/2026/sep/25/un-general-assembly-world-leaders-bums-on-seats-in-pictures,(閲覧日2026年9月30日).
RSF.”The World Press Freedom Index What is it?”.https://rsf.org/en/world-press-freedom-index,(閲覧日2026年9月30日).
RSF.”Analysis 2026 ASIA-PACIFIC From terrorism charges to cybersecurity laws, authoritarian regimes exploit legal tools to terrorise the press”.https://rsf.org/en/classement/2026/asia-pacific,(閲覧日2026年9月30日).
WEF.”Global Gender Gap Report 2026 INSIGHT REPORT SEPTEMBER 2026”.https://reports.weforum.org/docs/WEF_GGGR_Report_2026.pdf,(閲覧日2026年9月30日).
朝日新聞.”男女平等、日本は117位 高市首相誕生で1つ上昇、G7では最下位”.https://digital.asahi.com/articles/ASV9J215MV9JUHBI01KM.html,(閲覧日2026年9月30日).
時事通信.”男女平等、日本117位 G7最下位続く―国際調査”.https://www.jiji.com/jc/article?k=2026091601114&g=int,(閲覧日2026年9月30日).
検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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