世界のファクトチェック団体の苦境と成長/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】
毎年恒例の国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の「ファクトチェッカー実態リポート」。トランプ政権からの逆風で、状況は厳しくなると予想されていた通りの結果が出ています。
資金面で67.2%が「脆弱」と答え、8.8%は半年以内に閉鎖されるかもしれない「危機的」な状況にあります。詳しくはリンクから読んでみてください。
ファクトチェックは偽・誤情報対策として十分ではありませんが、必要不可欠です。誤った情報が無尽蔵に拡散することを留めるだけでなく、根拠を明示してわかりやすく書かれたファクトチェック記事を読むこと自体に教育的な効果や予防効果もあるからです。検証ツールの開発や法的規制の議論の土台ともなります。
そして、そういったファクトチェック記事をコツコツと積み上げているのが、各国で活動している数少ないファクトチェック団体です。レポートでは苦しい経済状況だけでなく、動画や音声への展開、多言語発信、他業界とのコラボなどを通じた成長にも触れています。
残念ながら日本ファクトチェックセンター(JFC)もこの実態レポートのアンケート調査に財務状況は「脆弱」と回答しました。同時にJFCでも動画や音声発信に取り組み、多言語発信やコラボやコミュニティ育成をしています。
逆境の中でも、必要とされる活動をより強化し、かつ、そのための経済的支援を広く求めていきたいと考えています。(古田大輔)
今週の解説・コラム
76%が資金難で「脆弱・危機的」、それでも広がる読者とコラボ IFCN報告書から見える世界のファクトチェックの現状
国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)が、業界の現状をまとめた「ファクトチェッカー実態レポート」2025年版を公開しました。
IFCNの加盟団体を対象に2026年2月にアンケート、71カ国141団体から回答を得ました。回答率はIFCN加盟団体の77.5%。毎年恒例の公開で、過去分は2024年版で解説しています。
2025年は、多くのファクトチェック団体の資金源となっていたMetaの第三者ファクトチェックプログラムのアメリカでの廃止、米国際開発庁(USAID)の閉鎖など、業界を揺るがす出来事が相次ぎました。レポートからは、資金難がさらに深刻化し、スタッフを減らさざるを得ない団体が増えた一方、読者層は広がり、他団体との協力やAIの活用は加速している複雑な姿が浮かび上がります。

京都・南丹市の男児遺体遺棄事件で拡散した偽・誤情報:無関係な人の容疑者扱いや根拠のない国籍情報など、ビュー集めや詐欺に注意を
京都府南丹市の山林に男子児童の遺体が遺棄された事件で、SNS上では大量の偽・誤情報があふれています。注目を集める事件・事故が起きた時にSNSで流れがちな偽情報の典型的な手口と、事実かどうかを確認するポイントについて解説します。

今週のファクトチェック
ウクライナのゼレンスキー大統領はモサドのエージェントだった? 画像に多くの矛盾
ゼレンスキー大統領が、イスラエルのモサドのエージェントだったことを示すパスポートだという画像が拡散しましたが、偽画像で誤りです。画像の氏名はつづりが間違えており、国籍の表記にも矛盾があります。

ヨーロッパでワクチンの強制接種が進められている? 4年前の記者会見の恣意的切り抜き
「ヨーロッパで今、強制ワクチン接種が強引に進められている」と主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。投稿には欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が「ワクチンの義務化について議論することは理解できる」などと述べている動画が添付されていますが、この動画はコロナ禍の2021年12月の記者会見から文脈を無視して切り抜いたものです。

2026年4月の三陸沖地震での津波? 2011年の東日本大震災の動画
2026年4月20日に発生した三陸沖の大地震を受け、「日本のために祈る」などと文言をつけた津波被害動画が拡散しましたが、今回の地震の映像ではありません。拡散した動画の元動画が2011年にYouTubeに公開されており、東日本大震災の津波を映したものです。

今週の動画/ポッドキャスト
アルテミスⅡ乗組員が撮影した動画? 実際に撮影された動画ではない
京都・南丹市の男児遺体遺棄事件で拡散した偽・誤情報の手口は?ヨーロッパでワクチンの強制接種が進められている? ~JFC週刊ポッドキャスト2026年4月24日号~
日本ファクトチェックセンターがお届けする「JFC Weekly Podcast」です。AIパーソナリティがわかりやすく解説していきます。
今回のトピックは、以下の通りです!
ヨーロッパでワクチンの強制接種が進められている? 4年前の記者会見の恣意的切り抜き【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/health/no-move-toward-mandatory-vaccination-in-eu/
76%が資金難で「脆弱・危機的」、それでも広がる読者とコラボ IFCN報告書から見える世界のファクトチェックの現状【解説】
https://www.factcheckcenter.jp/explainer/others/fact-checkers-report-2026/
ウクライナのゼレンスキー大統領はモサドのエージェントだった? 画像に多くの矛盾【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/international/president-zelenskyys-fake-passport/
京都・南丹市の男児遺体遺棄事件で拡散した偽・誤情報:無関係な人の容疑者扱いや根拠のない国籍情報など、ビュー集めや詐欺に注意を
https://www.factcheckcenter.jp/explainer/lifestyle/nantan-incident-fake-news-verification-tips/
その他の関連記事
5つの主要AIの医療回答、49.6%で「問題あり」、誤情報増幅のリスクも:新聞紙学的
https://kaztaira.wordpress.com/2026/04/20/half-of-ai-generated-medical-responses-contain-errors/
Fractured reality: how algorithms fuel polarisation and affect democracy:Joint Research Centre

Safeguarding Information Integrity When Vulnerabilities Peak: EDMO Launches Taskforce for Elections and Crisis-Related Disinformation:EDMO
「地方自治・民主主義の確立に向けた研究会」に係る要請活動:全国知事会

Lecture | @Grok Is this True? Performative Fact-Checking During Contested Events in Polarized Digital Spaces:Freie Universität Berlin

Fact check: When AI plays doctor :DW News

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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