香川県知事選、開票前の当確は不正? ゼロ票打ちによるもの【ファクトチェック】
2026年8月30日に投開票があった香川県知事選挙で、報道機関が、投票が終わった直後に現職の池田豊人氏に「当選確実」と報じたことについて、不正選挙があったかのように主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。報道機関が投票を締め切った直後に「当確」と報じるのは、事前取材や有権者への調査などに基づくもので、一般的な手法です。
検証対象
拡散した言説
2026年8月30日、「うゎ…香川オワタ…これから開票所に投票用紙を運ぶのにもう「当確」って…
絶対おかしいだろ‼️💢」という投稿がXで拡散した。

検証する理由
9月1日現在、投稿は2400回以上リポストされ、表示は22万件を超える。
投稿には「なんでそれが不正選挙になるんですか?」「当確って、メディアが多分当選しますよって、宣言してるだけで、当選したではないんですよ」などの指摘もあるが、「開票せずに当確なんて、いつも思いますがおかしいです」「不正のにおいがプンプンします」など、真に受けた反応も多いため、検証する。
検証過程
拡散した画像の出典は
拡散した投稿には、瀬戸内海放送(KSB)の「【速報】香川県知事選 現職の池田豊人氏が再選」という記事のスクリーンショットらしい画像が付いている。
記事のタイトルで検索すると、KSBが8月30日に公開した「【速報】香川県知事選 現職の池田豊人氏(65)が再選 投票率は前回を上回る」という記事が見つかる。タイトルのすぐ下の「2026/8/30 20:00」から、公開時間は投票日の20時ちょうどだと分かる。
記事のリードには「任期満了に伴う香川県知事選挙の投票が30日に行われ、現職の池田豊人さん(65)が2期目の当選を決めました」、写真の説明には「【写真】再選を決めた池田豊人氏 30日午後8時すぎ」と書かれており、拡散した画像の内容と概ね一致する。
つまり、投票締め切りと同時に、開票作業が進んでいないのにKSBが池田氏が当選すると伝えたことは確かだ。しかし、これは不正の証拠ではない。
「当確」は選挙報道の一般的な手法
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、選挙のたびに同様の誤情報を検証し、「誤り」と判定してきた(JFC”大阪府知事選の当確が早すぎる、不正選挙?ゼロ票打ちによるもの【ファクトチェック】”2023年4月10日、”衆院補選「8時に当確はおかしい」「不正選挙だ」?【ファクトチェック】”2024年4月30日)。
報道各社が、開票率・得票率が0%の段階で「当選確実」と報じることを「ゼロ票当打ち」などと呼び、選挙結果の報道ではごく一般的な手法だ。まだ1票も開票されていない(開票率0%)段階で「当選確実」を報じるから「ゼロ票」と呼ぶ。
報道各社は、選挙前から、選挙区の情勢を細かく取材。さらに世論調査や期日前と当日の出口調査(投票所から出てきた人に聞き出す取材)などで、誰がどれだけリードしているかを予想し、逆転不可能なほどに差が開いている場合に、「ゼロ票当打ち」をする。衆院選や参院選などの国政選挙で、投票締切と同時に選挙結果の大勢が報じられるのはそのためだ。
ゼロ票当打ちの根拠となる「出口調査」は、報道機関の調査員が、投票を終えた人にどの候補に投票したのか、どんな政策を重視するのか、支持政党はどこか、などを聞くもので投票所の外(出口)で行われる。
こういった出口調査やゼロ票当打ちの舞台裏については、各メディアの選挙担当者や有識者らが語った舞台裏の記事なども多数出ている。
BuzzFeedJapan”なんで結果がわかる前なのに「当選確実」なの? 選挙報道の裏側を“プロ”に聞くと… その手法とは”
東洋経済オンライン”選挙速報が開票率0%でも「当確」出せる納得の訳 メディアの出口調査はどう活用されているのか”
読売新聞”なぜ午後8時に当選確実? 報道機関が「総合力」競う開票速報”
香川県知事選の結果は、香川県選挙管理委員会が8月30日午後11時50分に「開票状況確定」を発表しており、池田氏が得票数19万3244票、2位の姓納文彦氏の4万9296票と大きく引き離して当選が確定している(NHK”【選挙結果】香川県知事選挙 現職の池田豊人氏 2回目の当選”、朝日新聞”香川知事選の投票率、最低の前回から上昇 池田氏「発展の土台作る」”_香川県”香川県知事選挙及び香川県議会議員補欠選挙・投開票結果”)。
選挙で大差がつく場合、報道機関は「ゼロ票当打ち」をすることが多い。
判定
香川県知事選挙で、KSBが、投票終了直後に現職の池田豊人氏に「当確」と打ったことを不正選挙のように主張する投稿が拡散した。しかし、報道各社が事前取材・調査に基づいて投票締め切り直後に当確を報じるのは、今回のように大差がつく選挙では一般的な手法だ。よって誤りと判定する。
出典・参考
KSB.”【速報】香川県知事選 現職の池田豊人氏(65)が再選 投票率は前回を上回る”.2026/8/30.
https://news.ksb.co.jp/article/16847908,(閲覧日2026年9月1日).
JFC.”大阪府知事選の当確が早すぎる、不正選挙?ゼロ票打ちによるもの【ファクトチェック】”2023年4月10日.(閲覧日2026年9月1日).
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/osaka-prefectural-governor-election-early-certainty-not-fraudulent-zero-votes/,(閲覧日2026年9月1日).
JFC.”衆院補選「8時に当確はおかしい」「不正選挙だ」?【ファクトチェック】”2024年4月30日.
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/false-election-house-of-representatives-fraud/ (閲覧日2026年9月1日).
BuzzFeedJapan”なんで結果がわかる前なのに「当選確実」なの? 選挙報道の裏側を“プロ”に聞くと… その手法とは”.
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/vote-counting-news,(閲覧日2026年9月1日).
東洋経済オンライン”選挙速報が開票率0%でも「当確」出せる納得の訳 メディアの出口調査はどう活用されているのか”.
https://toyokeizai.net/articles/-/641470,(閲覧日2026年9月1日).
読売新聞”なぜ午後8時に当選確実? 報道機関が「総合力」競う開票速報”.
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20211030-OYT1T50200/ (閲覧日2026年9月1日).
NHK.”【選挙結果】香川県知事選挙 現職の池田豊人氏 2回目の当選”.
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260826de46506,(閲覧日2026年9月1日).
朝日新聞.”香川知事選の投票率、最低の前回から上昇 池田氏「発展の土台作る」”.
https://www.asahi.com/articles/ASV803Q0FV80PLXB004M.html,(閲覧日2026年9月1日).
検証:根津綾子
編集:古田大輔、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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