クマが捨てられた食パンを食べる様子? AI動画【ファクトチェック】

クマが捨てられた食パンを食べる様子? AI動画【ファクトチェック】

鳥取県の大山隠岐国立公園で大量の食パンが不法投棄されたことに関連して、クマが並べられた食パンを食べる動画が拡散しましたが、AIで生成されたものです。動画には、AIで生成されたことを示す「Grok Imagineで作成されました」という表示があります。

検証対象

拡散した投稿

 2026年8月27日、「国立公園にパン39キロ放置…これはパンテロか!?」「クマを意図的に人里へ呼び寄せて住民や観光客を危険に晒す悪質なテロ行為の疑いも 」という動画付き投稿が拡散した。動画にはクマが道路上に等間隔に並べられた大量の食パンを食べる様子が映っている。投稿は8月31日時点で削除されている。

検証する理由

この投稿は190件リポストされ、表示回数は2万回を超えている。「生態系崩して逃げるのは質が悪い」「外国人による日本人を貶める犯行か」と、真に受けたようなコメントもあるため、検証する。

検証過程

大山での食パン不法投棄は事実

鳥取県の大山隠岐国立公園の県道に、大量の食パンが捨てられた問題は、実際に発生している。

複数の報道によれば、2026年8月14日から20日にかけて、県道のガードレール沿いに食パンが間隔をあけて捨てられていた。20日までに回収した食パンは計39kgに上り、鳥肉が捨てられている日もあったという。 

石原宏高環境相は25日の閣議後記者会見で「クマを誘引する危険な行為」と非難している(産経新聞."鳥取・大山の国立公園に食パン39キロを点々と投棄 石原環境相「クマ誘引、危険な行為」"47News.”食パン39キロ投棄、誰がなぜ 鳥取・大山、知事「やめて」”)。

動画はGrok Imagineで生成

動画は10秒。路上にパンが並べられている。2秒付近でクマが現れ、並べられたパンを食べる様子が映っている。産経新聞が掲載している自然公園財団鳥取支部が撮影したパンの画像と、動画の開始時点のパンが並べられている画はパンの並び方、汚れ、画角が一致している。

一方で、拡散した投稿の左下には、「Grok Imagineで作成されました」と表示されている。Grok Imagineとは、X(旧Twitter)が提供するAIで画像や動画を生成する機能だ(Grok.”Grok Imagine — AI Image & Video Generator”)。

また、拡散した動画は高画質カメラで撮影したかのように鮮明で、しかも、複数の角度から熊を正確に捉えている。本物の映像だとしたら、高度な撮影技術だ。

クマが並べられた食パンや鶏肉を見ている動画が出回っていることについて、鳥取県の平井伸治知事は「クマはパンを食べに来ていません」と否定している。県は投稿の削除要請をすると述べた(山陰中央新報."食パン不法投棄事件 AI生成で、偽の画像や動画の拡散相次ぐ")。

判定

鳥取県の大山隠岐国立公園で、クマが並べられた食パンを食べる動画が拡散した。8月に大量のパンが捨てられていたことは事実だが、拡散した動画にはXのAIラベルで「Grok Imagineで作成されました」と表示されており、AIで生成されたものだ。鳥取県知事も「クマはパンを食べに来ていません」と否定している。よってAIによって生成されたものであると判定した。

あとがき

動物の映像はAIでつくる画像・動画(ディープフェイク)の中で人気のジャンルです。可愛らしい様子、人を助ける動物などの様々なパターンがあります。悪意がなくとも、現実の映像だと誤解を招く事例もあります。

質の低いディープフェイクは歪みや不自然な描写がありましたが、最近の質の高いものは、逆にまるで映画のように鮮明に映りすぎている点なども違和感を持つきっかけとなります。

出典・参考

産経新聞."鳥取・大山の国立公園に食パン39キロを点々と投棄 石原環境相「クマ誘引、危険な行為」".https://www.sankei.com/article/20260825-AOUQUKCVFFBPLGK2B5E3OY2EBI/  ,(閲覧日2026年8月31日)

47News.”食パン39キロ投棄、誰がなぜ 鳥取・大山、知事「やめて」”.https://www.47news.jp/14862917.html ,(閲覧日2026年8月31日)

Grok.”Grok Imagine — AI Image & Video Generator”.https://grok.com/supergrok/imagine ,(閲覧日2026年8月27日)

山陰中央新報."食パン不法投棄事件 AI生成で、偽の画像や動画の拡散相次ぐ".https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/1067534 ,(閲覧日2026年8月31日)

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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