外国人は社会保障にただ乗り? 国保負担の比率は給付を上回る【#衆院選ファクトチェック】(追記・修正あり)

外国人は社会保障にただ乗り? 国保負担の比率は給付を上回る【#衆院選ファクトチェック】(追記・修正あり)

外国人が国民健康保険や生活保護などの社会保障にただ乗りしている、という言説が多数拡散していますが、不正確です。厚生労働省によると、国保に加入する外国人は2023年度で97万人で全体の4%ですが、総医療費に占める割合は1.39%。支給よりも負担の比率が大きくなっています。日本人よりも未納率が高い問題はありますが、よく話題になる生活保護も外国人世帯はごく一部です。

検証対象

拡散した投稿

「許せないのは、日本にたかりにきた外国人にタダ乗りされること」「生活保護・国民健康保険等は外国人に適応…自国民が困窮しているのに外国人に対し厚遇」といった、日本人が負担している社会保障制度を外国人に適応させてタダ乗り状態になっている、と指摘する言説がXなどに多く投稿されている(例1、例2)。

2026年1月26日には日本保守党・法律顧問の北村晴男参院議員が「日本の社会保障制度も守れないですよ。タダ乗りめちゃくちゃですから」と発言する動画もXに投稿され、1100件以上リポストされている。

(4月22日追記)この動画は北村議員のYouTubeでの発言の一部を切り抜いて作っており、元動画では北村議員はこの発言に続いて「そうすれば大部分の真面目な外国人を守ることができる」と述べています。(追記ここまで。詳細は記事下部に)

検証する理由

投稿について「社会保障は、高市総理が言うようには使われていません」「だから高いんだ」というコメントが多くついている。

外国人の受け入れは選挙の争点の一つでもあり、検証する。

検証過程

「社会保障へのタダ乗り」とは

日本の社会保障は医療や年金や介護などの社会保険、児童・高齢者福祉、生活保護などからなる。財源は保険料や税金で賄われる(厚生労働省”社会保障とは何か”)。

「外国人が社会保障にタダ乗り」という批判は、保険料や税金を負担せずに医療保険や福祉や生活保護などの恩恵を受けているという指摘だ。これは事実なのか。

国民健康保険の在留外国人の比率

国民健康保険制度は、他の医療保険制度(被用者保険、後期高齢者医療制度)に加入していない全ての住民を対象とした医療保険制度だ(厚生労働省.”国民健康保険制度”)。

外国人の場合、住民登録があり、在留期間が3か月を超えていれば国民健康保険に加入する(小金井市.”外国人の方の国民健康保険の加入について”、さいたま市”外国人の方の国民健康保険の加入について”、神奈川県”県内に居住している外国人の方へ”)。

在留外国人の医療保険適用について、厚生労働省は2025年10月、「在留外国人の医療保険適用の課題と対応」という資料を公開している。

資料によると、国民健康保険における外国人被保険者数は、2023年度時点で97万人、全体の4%にあたる。一方で、総医療費に占める外国人の割合は1.39%、高額療養費支給額は1.21%だ。 

加入者は4%いるにもかかわらず、支給額のシェアは1%台と低い。これは加入する在留外国人は日本人と比較して若い世代が多く、主な支給対象である高齢者が少ないからだ。

つまり、外国人は「タダ乗り」どころか、日本人と比較して負担の割合が大きい。厚労省は上記の資料で「外国人被保険者に対する国内の診療実績は、必ずしも被保険者に占める外国人の割合に比して大きいとは言えない」と指摘している。

保険料収納率は日本人よりも低い

一方で、納付率についての問題がある。 

厚労省が集計した約150自治体の外国人の保険料収納率は63%、同じ約150自治体の日本人も含めた全体の収納率は93%、全国の日本人も含めた全体の収納率は94%だった(2024年12月末時点、自治体により異なる場合がある)。

つまり、納付率で見ると、外国人は日本人よりも明らかに低い。

未納問題について、厚労省は2025年10月、外国人に国民健康保険料を前納させることができるよう、関連する条例の改正案などを示した通知を自治体に出した(読売新聞.”国民健康保険の加入時、外国人らの保険料『前納』可能に…未払い防止へ厚労省通知”)。

東京都新宿区は2026年度から国保料の前納制を導入する(日経新聞.”東京都新宿区、国民健康保険料の前納制導入へ 外国人の未納問題で”)。

生活保護の外国人割合は3.25%

生活保護法は、日本国民のみを対象としている。一方で、適法に日本に滞在し、活動に制限を受けない永住、定住等の在留資格を有する外国人については「人道上の観点から行政措置として生活保護法の取扱いに準じた保護」をしている(厚生労働省.”生活保護における外国人の取扱いについて”)。

厚労省の資料によると、2023年度に生活保護を受けた人は全国で約202万人。そのうち、世帯主が日本国籍を有さない世帯の被保護人数は全体の3.25%の6万5683人だ。

(4月22日追記)一方、別の数値もある。日本人を含む総人口に占める、生活保護を受けている人の割合は最新の2024年度で1.62%(2023年度も1.62%)。また、「世帯主が外国籍の人」で生活保護を受けている人の割合は在留外国人のうち1.72%だ(同1.93%)。(2024年度、厚生労働省”生活保護における外国人の取り扱いについて”)(追記ここまで、詳細は記事下部)

「社会保障にタダ乗り」と言えるか

確かに保険料の未納問題は存在する。しかし、全体を見ると、若者世代が多い在留外国人の保険料の納付によって、高齢者層が多い日本人は支給の面で恩恵を受けているとも言える。また、生活保護に関しては外国人世帯で対象となっているのは、全体のごく一部だ。

「外国人が社会保障にタダ乗りしている」という言説は繰り返しネットで拡散しており、JFCなど、多くの報道機関が検証している。

JFC.”生活保護世帯数の33%が外国人世帯? 根拠の数字に誤り【#参院選ファクトチェック】

JFC.”中国人の生活保護が5年で2倍に急増? 増加率は4.5%【#参院選ファクトチェック】

JFC.”在日朝鮮人の生活保護に年間2兆3千億円? 外国籍の受給世帯は2.8%【ファクトチェック】

東京新聞.”データが打ち消す「外国人は社会保障ただ乗り」説 「負担の割に受益少なく」 市長選で注目・川口市の事情は”

判定

「社会保障に外国人がタダ乗りしている」という投稿は繰り返し拡散している。確かに未納問題はあるが、国保に加入する外国人には若い世代が多く、支給よりも負担の方が大きくなる。また、生活保護の対象になる外国人は限られている。よって、不正確と判定した。

追記に関して(4月22日)

北村議員の発言について

この記事の検証対象は「外国人が社会保障にタダ乗りしている」という広く拡散した言説です。同様の言説が多数投稿されている中で、北村晴男参院議員が「日本の社会保障制度も守れないですよ。タダ乗りめちゃくちゃですから」と発言している動画も取り上げています。

この動画は北村議員のYouTube動画での発言の一部を切り抜いたものです。元動画では、北村議員がこの発言に続いて「そうすれば大部分の真面目な外国人を守ることができる」と述べています。当初の記事ではその点に触れていなかったため、北村議員の発言をより明確に伝えるため、この点を追記いたします。

外国人の保護率について

検証の参考にした資料には外国人世帯の「保護率」に関するデータもありました。当初の記事では、このデータは掲載していませんでした。しかし、検証をより多角的にするためには、外国人世帯の方が保護率が高いというデータは重要だという指摘があり、追記します。

ただし、このデータの解釈には注意が必要です。1.62%と1.72%を単純に「総人口に占める保護率」と「外国人の保護率」のように比べることはできません。世帯主が外国籍で配偶者や同居人が日本人の事例や、その逆もあるからです。戦後に国籍を剥奪されて年金や医療保険制度などから排除され、生活保護に頼らざるを得なかった在日朝鮮人の存在など歴史的経緯もあります。

一方、「1.72%」という数値は、世帯主が外国籍の被保護世帯の人が在留外国人全体に占める割合です。在留外国人にはそもそも生活保護の対象外の人(就労が前提の滞在者など)も含まれており、それだけ分母は膨らんでいます。

修正

追記において、当初は「在留外国人にはそもそも生活保護の対象外の人(就労が前提の滞在者や短期滞在者など)」と記していましたが、短期滞在者は在留外国人に含まれていないため、修正しました(2026年5月15日)。

出典・参考

厚生労働省.”国民健康保険制度”.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/index_00002.html ,(閲覧日2026年2月5日)

小金井市.”外国人の方の国民健康保険の加入について”.https://www.city.koganei.lg.jp/kurashi/427/shikaku/gaikokujinnseido.html ,(閲覧日2026年2月5日)

厚生労働省.”「在留外国人の医療保険適用の課題と対応”.https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001616165.pdf ,(閲覧日2026年2月5日)

厚生労働省.”生活保護における外国人の取扱いについて”.https://www.mhlw.go.jp/content/001547739.pdf ,(閲覧日2026年2月5日)

東京新聞.”データが打ち消す「外国人は社会保障ただ乗り」説 「負担の割に受益少なく」 市長選で注目・川口市の事情は”.https://www.tokyo-np.co.jp/article/464319 ,(閲覧日2026年2月5日)

検証:木山竣策
編集:古田大輔


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