イオンモール熊本の爆発は「ガスコージェネレーション」が原因? 経産省「設置していない」【ファクトチェック】
熊本地震後にイオンモール熊本で発生した爆発について、「ガスコージェネレーションシステムが原因だ」とする投稿がXで拡散しましたが、誤りです。経済産業省は「ガスコージェネレーションやガス発電機は設置していないことを確認している」と発表し、LPガスが原因だった可能性が高いと説明しています。またイオンは5日、事故原因を調べる事故調査委員会を設置すると発表しました。
検証対象
拡散した投稿
イオンモール熊本で発生した爆発を受けて、Xでは、都市ガスを燃料としてガスエンジンやガスタービンで発電し、排熱を冷暖房などに利用する「ガスコージェネレーション」が原因だとする投稿が拡散した(例1、例2)。

検証する理由
ソーシャルリスニングツールMeltwaterで調べると、これらの投稿の表示回数は少なくとも合計194万回を超えている。爆発の原因をめぐって、さまざまな根拠不明の情報が飛び交っているため検証する。
検証過程
イオンモール熊本の爆発
2026年7月28日午後16時27分ごろ、熊本県で震度7の地震が発生した。午後6時ごろ、嘉島町のショッピングセンター「イオンモール熊本」で爆発が起きた。7人が死亡した(NHK."イオンモール熊本 7人死亡 5人けが 捜索続く 熊本県"、首相官邸”熊本県熊本地方を震源とする地震についての会見”2026年7月28日” )。
イオンの吉田昭夫社長は29日、熊本市内で記者会見を開き「ガス爆発の可能性が高い」と述べた。ただし「消防から正式な見解が出ておらず、原因を確定することはできない」とも語った(ロイター."イオン社長、ガス爆発の「可能性は非常に高い」 イオンモール熊本の事故で"、朝日新聞.”【29日の詳報】イオン爆発で犠牲者 社長会見「深く深くおわび」”)。
ガスコージェネレーションとは
一般社団法人日本ガス協会のサイトによると、1つのエネルギーから複数のエネルギーを同時に取り出すシステムを「コージェネレーションシステム」と呼ぶ。
ガスコージェネレーションシステムは、都市ガスを燃料としてガスエンジン、ガスタービン、燃料電池で発電し、この時に生じる排熱で蒸気や温水を発生させ、生産プロセス・給湯・冷暖房などに利用するしくみのことだ(一般社団法人日本ガス協会”ガスコージェネレーションシステムの概要”)。
経産省「設置していない」
SNSで、「イオンモール熊本の爆発は、ガスコージェネレーションが原因」という投稿が拡散していることをうけ、経産省は3日、公式Xアカウントで「ガスコージェネレーションやガス発電機は設置していないことを確認しています」と投稿。ガスコージェネレーションやガス発電機は設置していなかったと否定した。

経産省「LPガスの可能性が高い」
8月5日、経産省は公式サイトで事故概要についてニュースリリースを公表した。要点を下記に抜粋する。
「事業者からの報告によれば、令和8年熊本地震発生により、何らかの要因で建物内のLPガス配管が損傷しガス漏洩が起こり、滞留したLPガスに着火した可能性があるとのことですが、現時点では原因の特定には至っていません。詳細については、現在、調査中です」(経済産業省”[LPガス]熊本県内で発生した爆発事故(死者7名、軽傷者5名)について事業者から報告がありました”2026年8月5日)
つまり、爆発はLPガスの漏洩による可能性があるが、現時点では原因は特定されていない。
イオンモール熊本にLPガスを供給していた福岡県久留米市の事業者「福岡酸素」は5日、熊本県を通じて、九州産業保安監督部へ事故を報告した(福岡酸素株式会社”イオンモール熊本の爆発事故について”、産経新聞”イオンモール熊本の爆発「配管が損傷しガス漏れ、着火した可能性」福岡酸素、経産省に報告”2026年8月6日)。
経産省は同日、学校や病院、劇場といった不特定多数の人が利用する建物へのLPガス供給設備の技術基準が適合しているかなどを確認するよう業界団体を通じて事業者に要請した。引続き原因究明を実施する(経産省”[LPガス]熊本県内で発生した爆発事故(死者7名、軽傷者5名)について事業者から報告がありました”2026年8月5日、読売新聞”「イオンモール熊本」爆発の原因は漏れたLPガスか…経産省、全国の大規模施設でガス供給設備の点検要請”2026年8月5日、産経新聞”イオンモール熊本の爆発「配管が損傷しガス漏れ、着火した可能性」福岡酸素、経産省に報告”2026年8月6日)。
イオンが事故調査委員会の設置を決定
イオンは5日、爆発事故の原因究明と再発防止のため、弁護士や爆発・防災・ガス設備・建設耐震などの分野の外部専門家で構成する事故調査委員会の設置を決めた。(イオン."イオンモール熊本の爆発事故について(第4報)「事故調査委員会」設置のお知らせ")。
原因の詳細については、今後の調査結果を待つ必要がある。
判定
経産省は、イオンモール熊本にはガスコージェネレーションもガス発電機も設置されていないことを確認したと発表している。また、原因についてはLPガスの可能性が高いとも発表。事故調査委員会の設置も決まり、原因究明はこれからだ。よって「ガスコージェネレーションが原因」とする投稿は誤りと判定した。
出典・参考
NHK."イオンモール熊本 7人死亡 5人けが 捜索続く 熊本県".https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015190461000 ,(閲覧日2026年8月6日)
ロイター."イオン社長、ガス爆発の「可能性は非常に高い」 イオンモール熊本の事故で".https://jp.reuters.com/economy/NN6RDHEBVFK3TLWLPWVCVJN37M-2026-07-29/ ,(閲覧日2026年8月6日)
朝日新聞.”【29日の詳報】イオン爆発で犠牲者 社長会見「深く深くおわび」”.https://www.asahi.com/articles/ASV7Z02R4V7ZDIFI00NM.html ,(閲覧日2026年8月6日)
資源エネルギー庁."コジェネについて".https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/other/cogeneration/ ,(閲覧日2026年8月6日)
経済産業省."〔LPガス〕熊本県内で発生した爆発事故(死者7名、軽傷者5名)について事業者から報告がありました".https://www.meti.go.jp/press/2026/08/20260805001.html ,(閲覧日2026年8月6日)
イオン."イオンモール熊本の爆発事故について(第4報)「事故調査委員会」設置のお知らせ".https://www.aeonmall.com/wp/wp-content/uploads/2026/08/cb330c71f5e8ac8bbadcdb15eaa36edf.pdf ,(閲覧日2026年8月6日)
検証:木山竣策、根津綾子
編集:古田大輔、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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