まとめサイトの問題を知る/JFC検証6本、コラムなど【今週のファクトチェック】

まとめサイトの問題を知る/JFC検証6本、コラムなど【今週のファクトチェック】

日本ファクトチェックセンター(JFC)の記事は「まとめサイト」をきっかけに拡散した情報を検証しているものが多く、今週も2本あります。

「まとめサイト」とは、新聞やテレビなどの記事をネタにして、「ネット上の反応」としてソーシャルメディアやネット掲示板の投稿などをまとめ、刺激的な見出しをつけた記事を公開するメディアです。

問題は、その内容の信頼性が著しく低いことです。まとめサイトは、ネタにしている記事の内容を捻じ曲げ、著名な政治家が発言していないことを捏造したり改変したりし、しかも、それを見出しにすることで注目を集めています。

恐ろしいのは、こんな単純な手法のまとめサイトの記事が、大量に拡散し、多くの人がいいねやシェアをしていることです。ソーシャルメディア上の拡散量を調べるツールで計測すると、新聞やテレビなどの報道機関の記事よりも人気のものが少なくありません。

まとめサイトが運用するソーシャルメディアアカウントは、これらの問題ある記事を投稿し続けています。信頼性が著しく低いことを知っておく必要がありますし、いいねやシェアはその拡散を助けていると知っておくべきです。(古田大輔)

✉️
日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら

JFCからのお知らせ

JFCファクトチェック講師養成講座はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。

次回は8月23日(土)午後2時~3時15分で、お申し込みはこちら

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は5月18日(日)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei0518.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのよう

今週の解説・コラム

海外にまたがる検証ーー当事者や公的機関に広く確認しても、突破できなかった壁とは【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証作業の舞台裏を語るコラム。第4回は、取材先が国内外にまたがり、検証が難しかった事例を紹介します。どうやって公開にこぎつけたのか、なぜ記事に出来なかったのかを振り返ります。

海外にまたがる検証ーー当事者や公的機関に広く確認しても、突破できなかった壁とは【ファクトチェックの舞台裏】
日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証作業の舞台裏を語るコラム。第4回は、取材先が国内外にまたがり、検証が難しかった事例を紹介します。どうやって公開にこぎつけたのか、なぜ記事に出来なかったのかを振り返ります。 大使館から学校まで個別に当たって記事に 2023年4月、「朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる」という投稿が拡散しました。 JFC ”朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる?【ファクトチェック” JFCは、米国大使館や米国務省に投稿の真偽を聞き、法律や制度も含めて取材しましたが、はっきりとした回答は得られませんでした。そこで、北朝鮮の団体や学校関係者にも取材したところ、神奈川朝鮮中高級学校では、過去10年間に少なくとも4人が米国に留学していることがわかりました。 「アメリカに留学できなくなる」という投稿を「誤り」と判定することも検討しましたが、学校が取材に対して「理由の詳細はわからないが、ビザが下りなかったケースもある」とも説明したため、「不正確」と判定しました。 検証をする時、公的機関などへ取材するだけではわ

今週のファクトチェック

石破首相が4万円給付を中止? まとめサイトによるもの

石破茂首相が参院選の公約に掲げた最大4万円の現金給付を中止すると表明したかのような言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿のリンクはまとめサイトで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。7月28日現在、石破氏がそのような表明をしたという情報はありません。

石破首相が4万円給付を中止? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破茂首相が参院選の公約に掲げた最大4万円の現金給付を中止すると表明したかのような言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿のリンクはまとめサイトで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。7月28日現在、石破氏がそのような表明をしたという情報はありません。 検証対象 7月27日、「なんでも白紙にするのが得意な石破総理/ジャポニカ自由帳かよ。/石破、4万円給付中止」という投稿がXで拡散した。 7月28日現在、投稿は7000回以上リポストされ、表示は260万回を超える。投稿には「こうなると思ってたよね〜笑」「やっぱり自民党は公約を守らない」というコメントや、「これデマだよね?」「4万円給付中止とは書いてないような」などの指摘が寄せられている。 検証過程 まとめサイトと添付記事の内容が不一致 検証対象のリンクは、まとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。タイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「石破、4万円給付中止」で、Yahoo!ニュースが2025年7月20日に配信した共同通信の記事「

石破首相「いざとなったら衆議院解散します」と発言? まとめサイトによるもの

石破茂首相が「いざとなったら衆議院解散します」と表明したかのような言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントからで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。7月29日現在、石破氏がそのように表明したという情報はありません。

石破首相「いざとなったら衆議院解散します」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破茂首相が「いざとなったら衆議院解散します」と表明したかのような言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントからで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。7月29日現在、石破氏がそのように表明したという情報はありません。 検証対象 7月27日、「石破『いざとなったら衆議院解散します』」という投稿がXで拡散した。 7月28日現在、投稿は1900回以上リポストされ、表示は172万回を超える。投稿には「解散してくれ」「さっさとやれよ」などのコメントや「肩書が元幹事長だけどいつの話なの」という指摘が寄せられている。 検証過程 まとめサイトと添付記事の内容が不一致 検証対象のリンクは、まとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。タイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「石破『いざとなったら衆議院解散します』」で、Yahoo!ニュースが2025年7月26日に配信した共同通信の記事「首相退陣要求、地方でも拡大 『辞任必要なし』幹部3人のみ」へのリンクが貼られている。

外国人は6親等まで扶養控除があるのに日本人には無い? 控除の範囲は同じ

税金の負担を軽くする扶養控除について、外国人は海外居住の6親等まで対象なのに、日本人の子どもには控除が無いという情報が拡散しましたが誤りです。日本人も外国人も納税者は、国籍に関係なく6親等までが対象です。

外国人は6親等まで扶養控除があるのに日本人には無い? 控除の範囲は同じ【ファクトチェック】
税金の負担を軽くする扶養控除について、外国人は海外居住の6親等まで対象なのに、日本人の子どもには控除が無いという情報が拡散しましたが誤りです。日本人も外国人も納税者は、国籍に関係なく6親等までが対象です。 検証対象 2025年7月26日、「外国人は海外居住の6親等まで扶養控除があるのに日本人の子供には扶養控除がないのはなぜなのか!」という投稿が拡散した。 投稿には画像が添付され、「日本の子どもたちを税制で差別します 財務省」と書かれている。 7月28日現在、この投稿は2200件以上リポストされ、表示回数は134万回を超える。投稿について「制度設計したやつ馬鹿」「政府が日本人よりも外国人を優遇してる」というコメントの一方で「6親等は日本人も同じ」という指摘もある。 検証過程 前提として、出入国在留管理庁のウェブサイト「税金」によると、外国人でも、日本国内で働いて得た収入がある人は、原則として所得税を納める必要がある。 扶養控除とは 国税庁によると、扶養控除とは、納税の際に、扶養している家族(扶養親族)がいると受けられる所得控除のことだ。控除によっ

Mrs. GREEN APPLEのライブの音漏れ映像? 音声が加工された動画

バンド「Mrs. GREEN APPLE」のライブ騒音問題に関連して、「ミセスの音漏れが想像を超えてくる」という動画が拡散しましたが、実際の映像ではなく、誤りです。音漏れがあったことは事実ですが、音声が加工された動画が実際の映像のように拡散しています。

Mrs. GREEN APPLEのライブ音漏れ映像? 音声が加工された動画【ファクトチェック】
バンド「Mrs. GREEN APPLE」のライブ騒音問題に関連して、「ミセスの音漏れが想像を超えてくる」という動画が拡散しましたが、実際の映像ではなく、誤りです。音漏れがあったことは事実ですが、音声が加工された動画が実際の映像のように拡散しています。 検証対象 2025年7月29日、「ミセスの音漏れめっちゃ聞こえた」という動画付き投稿が拡散した。 動画には会場は映っていないが、夜景の中で大音量の曲が響いている。2025年7月29日現在、この投稿は300件以上リポストされ、表示回数は144万回を超える。 投稿について「そりぁ問題になるわ」「いくら何でもやばすぎじゃない?」というコメントの一方で「違う動画見たけどこんなに聴こえてない」という指摘もある。 検証過程 Mrs. GREEN APPLEのライブと騒音 2025年7月26、27日に横浜市の横浜山下ふ頭特設会場でバンド「Mrs. GREEN APPLE」のライブが開催され、会場から漏れた音が問題視された。 所属事務所は28日に「当日の風向きにより想定以上に広範囲に音が拡散し、周辺にお住まいの

カムチャツカ地震による日本の津波の映像? 2017年南アフリカで撮影

2025年7月30日にロシアのカムチャツカ半島沖で発生した地震に関連し、「日本の津波だ」という動画が拡散しましたが、誤りです。この動画は2017年、南アフリカ共和国で撮影されたものです。

カムチャツカ地震による日本の津波の映像? 2017年南アフリカで撮影【ファクトチェック】
2025年7月30日にロシアのカムチャツカ半島沖で発生した地震に関連し、「日本の津波だ」という動画が拡散しましたが、誤りです。この動画は2017年、南アフリカ共和国で撮影されたものです。 検証対象 7月30日、「Tsunami in Japan(日本の津波)」という動画がThreadsで拡散した。 投稿には海岸に波が押し寄せ、人が避難する様子が映っている。7月31日現在、この投稿は6000件以上のいいねを獲得し、表示回数は71万回を超える。 検証過程 7月30日午前8時25分ごろ、ロシアのカムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.7の巨大地震が発生した。気象庁は北海道から和歌山県にかけての太平洋沿岸に津波警報を発表した(気象庁. “令和7年7月30日08時25分頃のカムチャツカ半島付近の地震について”)。 動画は2017年に南アフリカで撮影 拡散した動画をGoogleレンズで検索すると、2017年に南アフリカ共和国のダーバンで発生した津波の映像が見つかる。建物の位置、木の位置などが拡散した動画と一致している。 この動画は、2023年にも

横浜市長会見の過去映像は1年分しか保存しないように改悪された? 3か月→1年に延長

「横浜市長の定例記者会見の過去映像が1年分しか視聴できないように改悪された」という情報が拡散しましたが、不正確です。以前は3か月分しか視聴できませんでしたが、2022年4月から過去1年分に期間を延長しています。

横浜市長会見の過去映像は1年分しか保存しないように改悪された? 3か月→1年に延長【ファクトチェック】
「横浜市長の定例記者会見の過去映像が1年分しか視聴できないように改悪された」という情報が拡散しましたが、不正確です。以前は3か月分しか視聴できませんでしたが、2022年4月から過去1年分に期間を延長しています。 検証対象 7月28日、「横浜市長記者会見の過去映像が『直近1年』しか視聴できないように改悪されている」という投稿がXで拡散した。 8月1日現在、投稿は400回以上リポストされ、表示は2.7万件を超える。 投稿には「え!なんの告知もなく⁉️また隠蔽か」「スゲーな (褒めてませんよ)」というコメントや「最近ではなく、だいぶ前からアーカイブ残らない仕様です」「隠蔽なのか容量の問題なのか…」という指摘が寄せられている。 検証過程 公開されている記者会見映像は1年前まで 横浜市は月2回のペースで市長会見を開き、映像は公式サイトで開示している。サイトには「録画中継は、おおむね1年前の会見まで掲載しています。それ以前の会見の模様は『会見記録』をご覧ください」と書かれている(横浜市”市長記者会見インターネット中継”)。 「録画中継を視聴」をクリックする

今週の動画

出口調査と結果が違うのは、選挙で不正があったから?

その他の関連記事

オーストラリア、子どものYouTube利用を禁止へ 年内に法施行:日経新聞

オーストラリア、子どものYouTube利用を禁止へ 年内に法施行 - 日本経済新聞
【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリア政府は、年内に施行予定の子どものSNS(交流サイト)利用を禁止する法律を巡り、動画共有サイト「YouTube」を禁止対象に含めると決定した。運営する米グーグルは強く反発しており、法的紛争に発展する可能性もくすぶる。アルバニージー首相は30日、記者会見で「SNSは社会的な害を及ぼしている。豪州政府は若い豪州人を守るための措置を講じる。SNS企業には社会的な責

選挙介入はあると考えよう 偽情報にだまされないために:日経新聞

選挙介入はあると考えよう 偽情報にだまされないために - 日本経済新聞
帰宅時の夕方の電車の中ではよほど混んでいない限り、ほぼ全員がスマートフォンをのぞき込んでいる。仕事中にあった出来事の確認、ゲーム、友人とのやりとりといった、たわいのない目的の人がほとんどだろう。しかし、その人たちをめがけてニュースは送り出される。よいニュースもあれば悪いニュースもある。そして、意図的に誤解させるニュースや、噓を信じさせようとするニュースもある。陰謀論はいつの時代も人気だ。生活に

参院選「SNSのロシア介入疑惑」分析から見えたもの:NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250726/k10014874061000.html

イルカやクジラ漂着は地震の前兆ではありません…関係性を大調査:NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/select-news/20240415_01.html

Google backs away from search result snippets that address falsehoods:Poynter

Google backs away from search result snippets that address falsehoods - Poynter
The company retires its ClaimReview program, removing visual cues that helped users identify verified information.

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら

もっと見る

東京都はムスリム園児の給食に月9000円を支給?対象や用途は限定されず 【ファクトチェック】

東京都はムスリム園児の給食に月9000円を支給?対象や用途は限定されず 【ファクトチェック】

「東京都がムスリムの園児1人につき毎月9000円を給食のために支給している」という趣旨の投稿が多数拡散していますが、ミスリードで不正確です。東京都が外国人児童を受け入れる施設に対して、園児1人につき毎月9000円を助成しているのは確かですが、対象はムスリム(イスラム教信者)に限りません。また、補助は給食に限らず、言語コミュニケーションや宗教、文化などへの配慮に対して交付されます。 検証対象 拡散した言説 「東京都がムスリム園児の給食に毎月9,000円を支給している」という趣旨の投稿がX、YouTube、TikTok、Instagramなど複数のプラットフォームで拡散している(例1、例2、例3、例4)。 例1は2025年9月22日にXへ投稿され、11月14日現在、表示は110万件を超え、1.3万回リポストされている。例2は例1を引用投稿し、表示は25.7万件、リポストは5900回以上。例3、例4の動画では「イスラム教の園児に毎月9000円あげるとは憲法違反」「都民の税金から出すとはありえない」「日本人の家庭は給食費を自分で払っている」などと主張している。

By リサーチ チーム
広がり続けるディープフェイク/JFC検証など5本/ファクトチェック選手権、参加者募集【今週のファクトチェック】

広がり続けるディープフェイク/JFC検証など5本/ファクトチェック選手権、参加者募集【今週のファクトチェック】

今週のファクトチェック動画でも紹介していますが、クマの被害が広がるに連れて、生成AIで作ったクマに関する偽動画=ディープフェイクが増えています。 誰でも簡単に動画を作れるようになった上に、質も向上しています。スマホでパッと見ただけだと、本物の映像と区別がつきにくくなっています。クマによる被害が注目を集めている中で、車を壊したり、スーパーに侵入したりする映像には思わず見入ってしまいます。 いまのソーシャルメディアのアルゴリズムだと、シェアやいいねのボタンを押さなかったとしても動画を視聴するだけで、その動画は人気の動画だと判断され、リーチが伸びていきます。 こういったアルゴリズムの特性を知ったうえで、以下を心がけてください。 ・動画や画像や音声が本物とは限らないのですぐに信じない。 ・生成AIで作ったことを知らせるマークが入っていないか確認する。 ・発信源・根拠・関連情報を確認する。 そして、発信する側は、たとえそれが冗談で作ったものだとしても、誤解や混乱を社会に広げる危険性があることを理解しましょう。 今週からは「用語解説」もつけています。こちらも活用してください

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
ファクトチェックとは【JFC用語解説】

ファクトチェックとは【JFC用語解説】

ファクトチェックとは「事実の検証」を意味します。政治家や著名人の発言、ソーシャルメディア上で拡散する真偽不明の情報などを対象に、客観的・科学的な根拠に基づいて、事実かどうかを検証します。 詳しくはこちら ファクトチェックとは 定義・ルール・手法を解説ファクトチェックとは「事実の検証」を意味します。不確かな情報、根拠のないデマ、陰謀論などが広がる中で、客観的・科学的な根拠に基づいて事実を確認し、拡散している言説が正確かどうかを判定します。 「意見は人それぞれ」「何が事実かを誰かが決めて良いのか」などの批判もあります。ここではファクトチェックとは何かについて、国際ファクトチェックネットワーク( International Fact-checking Network, IFCN)などの規定も参考にしつつ解説します。 ファクトチェックの国際的なルール ファクトチェックは世界中で実施されており、国際的に認められた一定のルールが存在します。 世界のファクトチェックをリードするIFCN IFCNは世界最大のファクトチェック団体の連合組織で、米ジャーナリズム研究機関ポインター研究所に本拠を置いてい

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
中国人ビザが無効に?強制送還作戦の開始? 情報はソーシャルメディアのみ【ファクトチェック】

中国人ビザが無効に?強制送還作戦の開始? 情報はソーシャルメディアのみ【ファクトチェック】

48時間で中国人のビザ4万2千件が無効になり、「大規模な強制送還作戦が始まった」などと主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。政府は、外国人のビザ発行手数料を値上げする方針だと報じられていますが、中国人のビザを取り消すという発表も報道もありません。 検証対象 拡散した言説 2025年11月11日、「わずか48時間で4万2千件の中国人ビザが無効化に!! 日本史上最大の強制送還作戦が始まった!!」などと主張する投稿がThreadsで拡散した。 検証する理由 11月13日現在、投稿には4万の「いいね」が付き、表示は38万回を超える。 投稿には「フェイクニュースやめてほしい」などの指摘もあるが、「ガンガン送り返して欲しいし生活保護とかも打ち切りでお願いしまーす!」や「素晴らしいことです。激しく支持致します!」など、同調するコメントが多い。 検証過程 同様の情報はソーシャルメディアの投稿のみ 拡散した投稿は「わずか48時間で4万2千件の中国人ビザが無効」などと主張している。 「48時間 4万2千 中国人 ビザ」でGoogle検索すると、最上位に「

By 根津 綾子(Ayako Nezu)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は11月28日(土)午後5時~6時30分で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei1128.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にど

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験

JFCファクトチェッカー認定試験

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)