参院選開始、各社が続々とファクトチェック/検証5本・関連15本など【今週のファクトチェック】

参院選が始まりました。昨年の兵庫県知事選を受けて、多くの新聞やテレビなどの報道機関がファクトチェックの取り組みを始め、次々と記事が出ています。対象には、ネットに拡散している真偽不明の言説もあれば、候補者や政党の発信もあります。多くの研究によって、人は誤った情報を目にしてもそれが間違っていると気が付かないということがわかっています。誤った情報に基づいて投票したり、棄権したりすることは民主主義を歪めます。日本ファクトチェックセンターでも、積極的に検証・解説記事を出していきます。(古田大輔)
※冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。
JFCからのお知らせ
JFCファクトチェック講師養成講座はこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。
次回は初めての平日開催です。7月22日(火)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。

偽情報に官民連携でどう対抗するか ー 影響工作の最前線・台湾の実例から学ぶ ー:笹川平和財団、DSET,日本ファクトチェックセンター
偽情報の脅威への対応は、民主主義国にとって重要な課題です。政府の介入は表現の自由を脅かす懸念を招く一方、市民社会は十分な対策リソースを持たないのが現状です。外国からの情報操作の最前線に立つ台湾では、プラットフォーム、政府、市民団体が連携し、ファクトチェックやデジタル・リテラシーの推進などに迅速に対応する一方、連携や情報共有には依然として課題が残っています。
本シンポジウムは、笹川平和財団(SPF)と、台湾のシンクタンクであるDSET(科学技術、民主と社会研究センター)、そしてセーファーインターネット協会(SIA)/日本ファクトチェックセンター(JFC)の共催により開催され、DSETの最新レポートをもとに、両国の偽情報対策の現状を把握した上で、官民連携の構築、地域社会の積極的な関与、テックプラットフォームとの連携について、具体的な教訓を模索し、共有します。さらに、AIが情報空間をどのように変化させ、新たな偽情報戦術を可能にしているのかを探り、今後の国境を越えた協力の可能性について議論を深めます。
https://www.spf.org/seminar/list/20250711.html
今週のファクトチェック
都議選・八王子で開票に不正? 出口調査と投票結果は異なる
2025年6月22日に投開票があった東京都議会議員選挙の八王子選挙区で、参政党の候補者が落選したのは、不正があったからではないか、という主張がXで拡散しましたが、誤りです。根拠とされている情報は選挙で拡散しがちなもので、市選挙管理委員会は「不正はなかった」と説明しています。

万博を訪れた子どもたち、肺炎で学級閉鎖が相次ぐ? そのような事実は確認できない
「大阪万博の会場でレジオネラ菌入り殺虫剤をまいたため、子どもたちに肺炎の症状が出て学級閉鎖が相次いでいる」という情報が拡散しましたが、根拠不明です。会場で使われた殺虫剤にレジオネラ菌は含まれていません。また、体調不良を引き起こすほどのレジオネラ属菌は検出されておらず、大阪の学校で例年より多い学級閉鎖が起きているという事実も確認できません。

日本政府が75歳以上の中国人観光客に対するビザ申請要件を撤廃? 緩和の発表はあったが撤廃していない
2025年6月30日、「日本政府が中国人観光客に対する75歳以上のビザ申請要件を撤廃した」という投稿がXで拡散しましたが、誤りです。2024年12月、岩屋毅外務大臣が、中国人の観光ビザに関する発給要件を緩和すると発表したのは事実ですが、撤廃ではありません。また、2025年7月1日現在、緩和は始まっていません。

小泉進次郎氏が選挙期間ではないのにシートベルトなしで箱乗り? 動画は2024年の選挙期間のもの
自民党の小泉進次郎氏が選挙期間中ではないのにシートベルトをせずに車に乗っていたという動画が拡散しましたが、誤りです。動画は2024年の衆議院議員選挙中に撮影されたもので、選挙期間中、候補者はシートベルトを着用する義務が免除されるので違法にはなりません。ただし、車から体を乗り出す行為については危険視する自治体もあります。

大地震の前にトカラ地方で群発地震が発生する「トカラの法則」? 科学的根拠なし
鹿児島県・トカラ列島付近で群発している地震は大地震の予兆の「トカラの法則」だという情報がYouTubeなどで拡散していますが、誤りです。群発地震が大地震の予兆だという科学的根拠はありません。

今週の動画
65歳以上のバス代無料に?
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有権者へ必要な情報を積極的に 選挙報道で本社指針:日本経済新聞

“SNS時代”の選挙 正しい情報 見極めるには:NHK
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20250630/2000094977.html
フェイクニュースに適切な対処ができる高校生、前年度より増加~総務省「青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査」:INTERNET Watch
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b6ddad03940d2d041f0be842b7dd1b2a4e5ee5e
LINEヤフー、偽・誤情報に関するアンケート調査を実施 半数以上が「偽・誤情報の影響を受けている可能性があると感じる」と回答:PR TIMES

【解説】 「テレグラム」から親ロ派プロパガンダが広がる仕組み、ポーランドの事例:BBC

参院選 偽・誤情報への対応は 専門家「根拠や関連情報の確認を」:テレ朝NEWS

総再生回数4億回「切り抜き職人」に密着 選挙運動の現場とソーシャルメディアの世界で起きていること【選挙そのまえに】 :CBCニュース
Google quietly kills a key feature against misinformation:MALDITA.ES

Implementing the EU Code of Practice on Disinformation: An Evaluation of VLOPSE Compliance and Effectiveness (Jan–Jun 2024):EDMO
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<参院選>ファクトチェック 争点など言説の真偽を検証します:琉球新報デジタル

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判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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