日本は世界一の重税国? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】
日本は世界一の重税国だという投稿が拡散しましたが、誤りです。国民所得で割った租税負担率や社会保障も加えた国民負担率は、OECD加盟国の中でも比較的低い水準にとどまります。同様の誤った言説は、過去に何度も拡散しています。
検証対象
検証する投稿
2025年11月27日、「日本は世界一の重税国です。皆さん知ってますか?日本は世界一の重税国です。その税金は正しく使われてません。」という投稿が拡散した。

検証する理由
12月1日現在、この投稿は5500件以上リポストされ、表示回数は27万回を超える。投稿について「使い方の説明と改善をしてほしい」「その通りです」というコメントの一方で「OECD平均以下の負担率で助かる」という指摘もある。
検証過程
日本の税負担は諸外国と比べて重いのか。国税や地方税を合計した租税収入金額を国民所得で割った「租税負担率」だけでなく、租税負担に年金や国民健康保険などの社会保障負担を加えた「国民負担率」の両方を比べた。
経済発展や途上国援助などを目的とした国際機関「経済協力開発機構(OECD)」などのデータをもとに、財務省は「国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国)(各国データは主に2022年)」という資料を作っている。

棒グラフの青色が租税負担率、黄色が社会保障負担率を示し、その合計が国民負担率だ。
2022年の日本の租税負担率は29.4%で36か国中28位。国民負担率は36か国中24番目に高い48.4%だ。ともに中程度の水準に留まる(OECD加盟国は38か国だが、コロンビアとアイスランドは、国民所得の計数が取得できないため除外)。
過去に何度も拡散
日本は世界で最も税負担が重たいという主張は、過去に何度も拡散している。日本ファクトチェックセンターでも検証し、誤りと判定している。
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/false-japan-number2-heaviest-tax/
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/economics/false-japan-heaviest-tax-country/
判定
日本の租税負担率はOECD加盟36カ国中28位で、特に税負担が重い国とは言えない。社会保障負担を含めた国民負担率で見ても、順位は中程度にとどまる。よって「日本は世界一の重税国」は誤りと判定した。
出典・参考
厚生労働省.社会保障とは何か.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21479.html ,(閲覧日2025年12月1日).
財務省.国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国).https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/238.pdf ,(閲覧日2025年12月1日).
検証:木山竣策
編集:古田大輔、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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