「日本は世界第2位の重税国」と海外一流メディアが評価? OECD諸国の中で負担は比較的低い【ファクトチェック】(修正あり)

「日本は世界第2位の重税国」と海外一流メディアが評価? OECD諸国の中で負担は比較的低い【ファクトチェック】(修正あり)

日本が海外の一流メディアから世界第2位の重税国家と評価された、という情報が拡散しましたが、誤りです。根拠とされた英語のニュースサイトの2015年の記事はデータの出典がなく、誤りを含んでいます。また、日本の国民負担率は、OECD加盟国の中で比較的低い水準です。

検証対象

2025年5月26日、「日本 海外の一流メディアから『世界第2位の重税国家』との評価をいただく」という投稿がXやYouTube、TikTokなどで拡散した(例1,例2,例3)。

X投稿は2025年6月2日現在、1.4万回以上リポストされ、表示は810万件を超える。投稿には「ここまで人様のカネをむしり取る国家は他にない」や「数字だけを見たら2位だけど、税金の使われ方や福利厚生を見たらやっぱワースト1位なんじゃない?」などのコメントのほか、「ただし2015年のデータなのは注意が必要かも」という指摘が寄せられた。

検証過程

ネタ元は海外のニュースサイト「ABC News Point」

拡散した投稿には、まとめサイト「News Everyday」の記事へのリンクがついている。

News Everydayの記事は「税金が高い国ランキング発表 日本は世界で2番目」という別の記事へのリンクが付いており、その中に英語のニュースサイト「ABC News Point」がまとめた税金が高い国ランキングが記されている。

ABC News Pointはサイトに「当サイトに掲載された情報は一般的な情報提供を目的としたものであり、内容の正確性・完全性・信頼性について一切保証しない」と書いている。「日本、海外の一流メディアから『世界第2位の重税国家』との評価をいただく」というのは、ネット掲示板のスレッド名で、「海外の一流メディアが評価した」という事実はない。

ABC News Pointのランキング方法は

ABC News Pointの元記事は「各国の税制は複雑で、税負担のかかり方も国によって異なるため、単純に『税金が高い国』を比較するのは難しい」と前置きしたうえで「法人税、給与税、個人所得税、消費税」の4つでランキングをまとめたと説明している。

このランキングでは、1位がカリブ海にうかぶオランダ領アルバで、2位が日本となっている。日本に関する説明では「世界で最も税負担の高い国のひとつで、法人税は最大38.01%、個人所得税は最低15%、最大で50%、給与税25.63%、消費税(売上税)8%が課されている」と書いている。ただし、データの出典は書いていない。

2015年頃の日本の税率は

ABC News Pointの記事の公開日は7月14日とあるが、公開年は書いていない。HTMLソースコードで確認すると「2015年7月14日」の記載があり、記事URLの末尾も2015であることから、記事公開は2015年7月14日とわかる。

その前後の日本の法人税、個人所得税、給与税、消費税の4つの税について調べた。

<法人税>
「法人税 38.01% site:go.jp」で検索すると、総務省の「法人実効税率関係資料」が1位に表示される。

資料23ページの「法人所得課税の実効税率の国際比較」というグラフに、日本(東京都)の2012~2014年の税率が38.01%という数字がある(総務省「法人実効税率関係資料」)。しかし、38.01%は国税に地方税を足した東京都の「実効税率」であり、「日本全国の法人税が38.01%」ではないため、不正確だ。

<所得税>
日本の個人にかかる所得税の税率は、2007~2014年は5%~40%、2015年分以後が5%~45%(財務省「もっと知りたい税のこと3.『所得税』を知ろう」)。

ABCNewsPointの「最低15%」は誤りだ。

(【追記・修正2025年6月8日】同じく所得にかけられる税金として、地方に納める「住民税」が存在し、税率は所得の10%です。これを合わせるとABCNewsPointの最低15%は誤りではないことになります)

<給与税>
「給与税」は日本ではあまり聞かない言葉だが、OECDの定義は次の通りだ。

「給与に対する税とは、雇用者、被雇用者または自営業者が、給与の割合として、または一人当たりの固定額として支払う税金であり、社会保障給付の受給資格を与えないものと定義される」(OECD「Tax on Payroll」)

日本の制度では比較が難しい。

<消費税>
2015年の消費税率は8%で、この点はABC NewsPointの記事が正しい。

つまり、ABCNewsPointが日本について言及した4つの税のうち、消費税については2015年時点で正しいが、法人税は不正確、所得税については誤りだ。

日本の税負担率はOECD加盟国中低い水準にとどまる

日本の税負担は諸外国と比較して重いのか。財務省は、OECDのデータ等を元に「国民負担率」の国際比較を公表している(各国のデータは主に2021年のもの)。

財務省「負担率に関する資料

この比較では、国税や地方税を合計した「租税負担率」と、これに年金や国民健康保険などの社会保障負担を加えた「国民負担率」の両方を確認できる。

グラフでは、青い部分が租税負担率、黄色い部分が社会保障負担率を示しており、あわせて国民負担率となる。

日本の租税負担率は28.9%で36か国中29位、国民負担率は48.1%で36か国中22位だ。ともに中程度の水準に留まる(OECD加盟国は38か国だが、コロンビアとアイスランドは、国民所得の計数が取得できないため除外)。

判定

日本が海外の一流メディアから世界第2位の重税国家と評価された、という情報が拡散したが、誤り。根拠とされたデータは英語のニュースサイトが出した海外のもので2015年の記事でデータの出典は示されておらず、不正確な内容を含んでいる。また、国民所得で割った租税負担率や社会保障も加えた日本の国民負担率は、OECD加盟国の中でも低い水準にとどまる。

修正

検証過程の「所得税」の項目に以下の修正を入れています。(同じく所得にかけられる税金として、地方に納める「住民税」が存在し、税率は所得の10%です。これを合わせるとABCNewsPointの最低15%は誤りではないことになります)。判定結果は変わりませんが、判定の「誤りを含んでいる」を「不正確な内容を含んでいる」に修正します。(2025年6月8日)

出典・参考

総務省."法人実効税率関係資料".https://www.soumu.go.jp/main_content/000278665.pdf,(閲覧日2025年5月30日).

国税庁."No.1000 所得税のしくみ”.令和6年4月1日現在法令等".https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1000.htm, (閲覧日2025年5月30日).

財務省."もっと知りたい税のこと令和4年6月 3.「所得税」を知ろう".https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei0406/03.htm,(閲覧日2025年5月30日).

OECD. "Tax on payroll".https://www.oecd.org/en/data/indicators/tax-on-payroll.html,(閲覧日2025年5月30日).

財務省."負担率に関する資料 国民負担率の国際比較(OECD加盟36か国)"https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a04.htm,(閲覧日2025年5月30日).

厚生労働省."社会保障とはか”.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21479.html,(閲覧日2025年5月30日).

経済産業省."OECD(経済協力開発機構)".https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/oecd/index.html,(閲覧日2025年5月30日).

検証:根津綾子
編集:古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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