外国人は6親等まで扶養控除があるのに日本人には無い? 控除の範囲は同じ【ファクトチェック】

税金の負担を軽くする扶養控除について、外国人は海外居住の6親等まで対象なのに、日本人の子どもには控除が無いという情報が拡散しましたが誤りです。日本人も外国人も納税者は、国籍に関係なく6親等までが対象です。
検証対象
2025年7月26日、「外国人は海外居住の6親等まで扶養控除があるのに日本人の子供には扶養控除がないのはなぜなのか!」という投稿が拡散した。
投稿には画像が添付され、「日本の子どもたちを税制で差別します 財務省」と書かれている。
7月28日現在、この投稿は2200件以上リポストされ、表示回数は134万回を超える。投稿について「制度設計したやつ馬鹿」「政府が日本人よりも外国人を優遇してる」というコメントの一方で「6親等は日本人も同じ」という指摘もある。
検証過程
前提として、出入国在留管理庁のウェブサイト「税金」によると、外国人でも、日本国内で働いて得た収入がある人は、原則として所得税を納める必要がある。
扶養控除とは
国税庁によると、扶養控除とは、納税の際に、扶養している家族(扶養親族)がいると受けられる所得控除のことだ。控除によって、課税対象となる所得額が減り、税金が少なくなる。控除額は扶養親族の年齢や、納税者と同居しているかどうかなどによって変わる。
扶養親族について、国税庁はその年の12月31日時点で、以下の4つの条件すべてを満たしている人を指すとしている(納税者が年内に死亡した場合や、納税管理人を届け出ずに国外転出した場合には、死亡または出国時点の状況で判断)。
(1)配偶者以外の親族(6親等以内の血族および3親等以内の姻族)、または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる「里子」)、市町村長から養護を委託された老人であること。
(2)納税者と「生計を一にしている」こと。「生計を一にする」とは、同居しているか、別居でも生活費や学費などの送金を継続的にしており、実質的に生活を共にしていると認められる関係。
(3)年間の合計所得金額が48万円以下であること(2019年分以前は38万円以下)(給与のみの場合は、給与収入が103万円以下)。
(4)青色申告者の「事業専従者」として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと。または、白色申告者の「事業専従者」でないこと。
(以上、国税庁”No.1180 扶養控除”)
国籍関係なく6親等まで扶養控除
拡散した投稿が主張する「海外居住の6親等まで扶養控除がある」の部分は事実だ。しかし、国籍による違いはない。日本人も外国人も、納税者であれば同じ扶養控除が適用される(国税庁.”No.1180 扶養控除”)。
国税庁がまとめた資料”国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)”にも「所得税法における『親族』は、民法の規定による親族、すなわち、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族とされています。これは、国外居住親族の場合も同じです」と書かれている。
添付された画像は加工
拡散した投稿に添付された画像には「令和5年度税制改正」とある。Googleで検索すると、財務省が2023年3月に発行した資料が見つかった(財務省.”「令和5年度税制改正」(令和5年3月発行)”)。
タイトルの「令和5年度税制改正」は同じだが、拡散した投稿にあるサブタイトル「日本の子どもたちを税制で差別します 財務省」などの文字は書かれていない。画像は加工されたものだ。
判定
扶養控除には、6親等以内の血族および3親等以内の姻族という条件があるが、国籍による条件の違いはない。納税者であれば、日本人も外国人も同じ条件だ。よって誤りと判定する。
出典・参考
出入国在留管理庁. “税金”. 公開日 2024年5月30日. https://www.moj.go.jp/isa/content/930004446.pdf , (閲覧日 2025年7月29日).
国税庁. “No.1180 扶養控除”. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm , (閲覧日 2025年7月29日).
国税庁. “国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)”. https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022009-107_02.pdf , (閲覧日 2025年7月29日).
財務省 主計局主税課. “令和5年度税制改正”. 公開日 2023年3月31日. https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei23.html , (閲覧日 2025年7月29日).
検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔
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