在留外国人の検挙割合は日本人の約2倍? 元資料の注釈を省略【ファクトチェック】

在留外国人の検挙割合は日本人の約2倍? 元資料の注釈を省略【ファクトチェック】

参政党の神谷宗幣代表が「在留外国人の検挙割合は日本人の約2倍だ」とする画像をXに投稿して拡散しましたが、ミスリードで不正確です。画像は警察庁の資料をもとにしていますが、警察庁は日本ファクトチェックセンター(JFC)の取材に「外国人と日本人を正確に比較できる統計の特定は困難」と説明しています。警察庁は神谷氏から求めがあったため、注釈付きで「統計を便宜的に分母・分子に当てはめて算出した数値を提供した」と話しています。拡散した画像は、そういった注釈を省き、単純に比較できないデータを並べています。

検証対象

拡散した言説

2025年9月20日、神谷氏が「大量の移民の受け入れは治安の維持にも影響します。警察や入管の体制ももっと強化せねば、今のやり方は必ず問題を大きくします」という文言とともに、「外国人の検挙割合は、日本人の約2倍」と書かれた画像を投稿した。

検証する理由

政党代表の投稿であり、2025年10月16日現在、この投稿は1.2万回以上リポストされ、表示回数は238万回を超える。投稿について「ほんとこれ」「移民はいったんストップして欲しい」というコメントの一方で「ミスリードです」というコミュニティノートもついている。

検証過程

画像の元資料は警察庁のもの

神谷氏は3月18日に次のようなコメントとともに、警察庁からもらったという資料をXに投稿している。

「警察庁から外国人の犯罪検挙数と日本人と比べた場合の比率を示す資料を出してもらいました。検挙数は増えていますが、比率は下がっていました」

(神谷氏Xアカウントより)

画像の「検挙人員 国籍別比較(2024年)」という表を見ると、「検挙計」の「日本人を『1』」という欄に書かれている数値が、今回拡散した画像の「日本人を”1”とした場合」という数値と、四捨五入をすれば一致する。

元資料の注釈が抜けている

警察庁の元資料と今回拡散した画像には、異なる点もある。元資料には以下のような注釈がある。

「外国人と日本人に係るお尋ねの数値を正確に比較することができる統計数字を特定することは困難であると考えている」「短期滞在の外国人については、表『①検挙人員合計』には含まれるが、『②在留外国人数』には含まれない」「同様に『③来日の検挙人員』には含まれるが、『④来日人口』には含まれない」

つまり、旅行などを含む短期滞在中に検挙された人は「検挙人員」として数えられているが「在留外国人」には数えられていない。その結果、「検挙人員」を「在留外国人」で割った数字が、実態よりも大きく見える。

拡散した画像には注釈が付けられていないために、そのような計算上の問題があることが伝わらなくなっている。

警察庁「正確に比較できる統計を特定することは困難と説明」

JFCは、警察庁に取材した。警察庁は神谷氏が3月に投稿した資料について「神谷議員からの求めに応じて警察庁が作成して提供したもの」と認めた上で「警察庁として公開はしていません」と説明した。

単純な比較が難しい数値を並べた理由を質問したところ、次のように回答した。

「外部からお尋ねがあった際には、外国人と日本人とを正確に比較することができる統計数字を特定することは困難である旨説明しているところです。それでもなお資料を求められた場合には、そのお求めに応じ、警察庁及び関係省庁が保有する統計数字を便宜上、分母、分子として計算した結果を提供することがあります」

警察庁は神谷氏に「外国人と日本人を正確に比較できる統計を特定するのは難しい」と説明していた。そのうえで、注釈付きで資料を提供したが、神谷氏が今回投稿した画像からはその注釈が省かれていた。

判定

拡散した画像の表は、「短期滞在の外国人」の数値を分子に含み、分母には含まない形で計算したデータだ。この手法だと、外国人の検挙割合が実態よりも過大に見える。元となった資料は警察庁が作成したものだが、警察庁は神谷氏に「外国人と日本人を正確に比較できる統計を特定するのは難しい」と説明した上で、注釈付きの数値を提供した。しかし、今回拡散した画像では、注釈が省かれており、単純な比較が難しいことが伝わらない。よって、ミスリードで不正確と判定した。

あとがき

2025年7月の参院選でも「外国人の犯罪が急増している」「不起訴が多い」などの主張が参政党やその支持者を中心に拡散し、JFCなどが検証しました。その多くは誤りやミスリードなどと判定されています(JFC”5倍に増えた日本のファクトチェック、最も誤りを指摘されたのは参政党 誰の何が検証されたのか【参院選ファクトチェック解説】”)。

犯罪に関するデータは法務省の犯罪白書などで確認できます。ただし、今回の事例のようにデータの成り立ちを無視して単純計算すると実態と違うものになりかねません。

今回の元資料を神谷氏に提供した警察庁は、この資料を自ら公開しているわけではありません。「正確な比較をする統計数字の特定は困難」と理解しているからです。そのうえで、有権者に選ばれた議員の求めに応じて、単純比較をすることができないことがわかる注釈付きで提供していました。

そのような前提条件抜きで、実態と異なる数字を提供することは、ミスリードであると判定しました。

出典・参考

JFC”5倍に増えた日本のファクトチェック、最も誤りを指摘されたのは参政党 誰の何が検証されたのか【参院選ファクトチェック解説】”https://www.factcheckcenter.jp/explainer/politics/upper-house-election-2025-fact-check-list/ ,, (閲覧日 2025年10月17日).

検証:木山竣策
編集:古田大輔、藤森かもめ


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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