北朝鮮の金正恩総書記が死亡? 同日、北朝鮮メディアは視察を報道【ファクトチェック】
北朝鮮の金正恩総書記 が死亡したという情報が、朝鮮中央テレビの画像とともにXで拡散しましたが、根拠不明です。添付された画像はAIで生成された可能性が高く、北朝鮮の国営メディアは投稿と同じ2026年10月20日、金正恩氏が娘のジュエ氏と展示会を視察したと報じています。
検証対象
拡散した投稿
2026年10月21日、「냉면 먹고 싶어~🚨緊急速報🚨『キム・ジョンウンが死亡しました』朝鮮中央テレビジョン」という投稿がXで拡散した。投稿には、「キム・ジョンウンが死亡しました」というテロップ入りの朝鮮中央テレビジョンとする画像も添付されている。

検証する理由
この投稿は3600件以上リポストされ、表示回数は1270万回を超えている。「急に動きが見えてきましたね」「マジかぁ」というコメントがある一方、「画像は生成aiかな」という指摘もあるため検証する。
検証過程
北朝鮮メディアは金正恩氏の視察を報道
2026年10月、金正恩氏の死亡説は海外のSNSなどで拡散した。しかし、北朝鮮の国営通信社「朝鮮中央通信」と朝鮮中央テレビは10月20日、金正恩氏が前日(19日)に平壌で開催された「全国被服・靴展示会2026」を娘のジュエ氏、妻の李雪主氏とともに視察したとする写真を公開した(中央日報日本語版.”金正恩委員長の脳出血死亡説が海外SNSで広がる…北朝鮮、家族と一緒の写真を公開")。
日本経済新聞は10月20日、「金正恩総書記が脳出血で昏睡状態に陥ったとの情報が流れているが、根拠は示されていない」と報じている(日本経済新聞.”金正恩氏「脳出血」、根拠示されず 北朝鮮国営メディアは視察報道")。
OpenAIの検証ツールでAI生成と判定
OpenAIは、画像がAIで生成されているかどうかを確認できる検証ツールを公開している。今回拡散した画像をアップロードしたところ「OpenAI由来のSynthIDウォーターマークが検出されました」と表示された。
2026年10月21日時点で金正恩氏の死亡を裏付ける情報、報道は存在しない。
同時期に「危篤説」も
金正恩氏の健康状態をめぐる偽・誤情報は1つだけではない。今回の死亡説の拡散と同時期に「ついに表のニュースでも報道を始めた 北朝鮮の金正恩氏、手術後、非常に危険な状態」という投稿も拡散した。
投稿は、日本テレビNNNが「金正恩氏が手術後『非常に危険な状態』」と2020年4月21日に報じた動画を引用している。動画は本物だが、2020年に報じられた古い映像だ。
判定
拡散した「キム・ジョンウンが死亡しました」という画像はOpenAIのツールで生成されたAI画像の可能性が高く、朝鮮中央テレビの実際の映像ではない。また、死亡説の拡散後に、朝鮮中央テレビなどの北朝鮮メディアは金正恩氏が視察する映像を公開している。死亡を裏付ける信頼できる情報、報道は2026年10月21日時点で確認できないことから、根拠不明と判定した。
あとがき
各国の首脳や著名人が「死亡した」「危篤になった」という情報は、ソーシャルメディアで繰り返し拡散します。国や当事者、関係者側からの発表や大手メディアの報道がないのに、ソーシャルメディアで拡散する「死亡説・危篤説」は、インプレッション狙いの偽情報の可能性があるため、注意しましょう。
出典・参考
中央日報日本語版.”金正恩委員長の脳出血死亡説が海外SNSで広がる…北朝鮮、家族と一緒の写真を公開".https://news.yahoo.co.jp/articles/9c6e206de0a12a3a16e037dcc6651e1c53f356af ,(閲覧日2026年10月21日)
日本経済新聞.”金正恩氏「脳出血」、根拠示されず 北朝鮮国営メディアは視察報道”.https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM207270Q6A021C2000000/ ,(閲覧日2026年10月21日)
検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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