北朝鮮が有田芳生氏の身分証明書を発行? 画像は渡航用のビザで日本国籍と明記【ファクトチェック】

北朝鮮が有田芳生氏の身分証明書を発行? 画像は渡航用のビザで日本国籍と明記【ファクトチェック】

立憲民主党の有田芳生衆院議員について「北朝鮮が発行した有田氏の身分証明書」という画像とともに、有田氏は北朝鮮国籍であるという情報が拡散しましたが、誤りです。実際は北朝鮮が発行した渡航用のビザ(査証)の画像で、日本国籍と明記されています。

検証対象

2024年12月2日、「有田芳生氏の身分証明 ご自由にに判断して下さい‼‼」との投稿が拡散した(その後削除)。

拡散した投稿には有田氏の顔写真が入り、「DEMOCRATIC PEOPLE’S REPUBLIC OF KOREA(朝鮮民主主義人民共和国)」との記載されたがある画像が添付されている。

このビザの画像はこれまでも「有田氏は北朝鮮国籍だ」という主張とともに繰り返し拡散している(例1例2)。

「公の場に勤める人達は 出自の公表が必要です」「スパイがすっぱ抜かれてやんの」などのコメントが多数つき、有田氏が北朝鮮国籍であるかのような主張がなされている。一方で、「これはビザですね」との指摘もある。

検証過程

元画像は有田氏本人が2015年に投稿

日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証対象に添付された画像を「Googleレンズ」で検索したところ、有田氏本人のX(旧Twitter)アカウントが2015年10月27日に投稿した画像が見つかった。

検証対象に添付された画像と通し番号などの記載内容が同一であることから、同じものを写した画像だとわかる。有田氏は2015年10月に拉致被害者の調査のため北朝鮮を訪問している(日本テレビ)。

2015年10月に有田氏本人が投稿したビザの画像

Googleレンズで有田氏の顔写真を除いて検索すると、同様に北朝鮮ビザの類似の投稿がみつかる。

北朝鮮から発行された「ビザ」、国籍欄には「日本」の記載

有田氏は投稿の中で「北京の北朝鮮大使館でビザを入手しました」と説明している。ビザは在外公館で発行され、その外国人が持っているパスポートが有効であるという「確認」と、ビザに記載された条件で入国することに支障がないという「推薦」の意味を持つ(出入国在留管理庁Q&A「ビザ(査証)とはなんですか」)。

一方、パスポート(旅券)は世界で通用する政府発行の身分証明書で、国籍や氏名、年齢を具体的に証明するものだ(外務省「旅券の基本情報」)。

有田氏が投稿した画像のビザには氏名や性別、生年月日や旅券番号の他、経由地などの情報に加えて、平壌を目的地に5日間滞在することが記載されている。また、国籍を意味する「국적/Natinoality」の項目には、「일본(日本)」と書かれている。

画像のビザは北朝鮮が有田氏の入国に際し、有田氏の持つ日本政府発行のパスポートの有効性を確認し、入国を許可したことを示すものだ。

これまでにも検証された偽情報

この画像を使って「有田氏は北朝鮮出身」という情報はこれまでにも何度も拡散し、検証もされている。

ファクトチェック団体「リトマス」大谷友也編集長は2019年11月20日にファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)で発表した「《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.7)」で、NHKから国民を守る党(当時)代表の立花孝志氏がこの画像をもとに「有田ヨシフ参議院議員は昔日本人ではなかったのか?」と述べたことに対し、「北朝鮮が他国民に発給するビザ」「かえって有田氏が日本国籍を有していることを証明する」と判定している。

判定

北朝鮮が発行した有田氏の身分証として拡散した画像は、2015年10月に有田氏が北朝鮮を訪問した際に発行されたビザ。この画像を根拠に有田氏が北朝鮮国籍とする主張は誤り。ビザには日本国籍であると明記されている。

検証:リサーチチーム
編集:宮本聖二、古田大輔、野上英文、藤森かもめ


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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