自衛隊ヘリが中国軍に撃墜された? 過去の誤情報の再拡散【ファクトチェック】

自衛隊ヘリが中国軍に撃墜された? 過去の誤情報の再拡散【ファクトチェック】

自衛隊ヘリが中国海軍に撃墜されたかのような投稿が拡散しましたが、誤りです。墜落は2024年3月に発生した事故で、陸上自衛隊はエンジンの出力低下が原因と発表し、防衛省も中国軍の関与を否定しています。

検証対象

2025年6月5日、「自衛隊ヘリが墜落 近くに中国海軍空母が航行 撃墜されたか」という投稿が拡散した。

この投稿は2025年6月9日現在、207万回以上の閲覧回数と5300件以上のリポストを獲得している。投稿について「これかなりまずくない?」「本当ならマジ許せん」というコメントの一方で「これはデマです」という指摘もある。

検証過程

情報はまとめサイトの発信

検証対象のリンクは、まとめサイト「TweeterBreakingNews-ツイッ速!」の記事だ。タイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「自衛隊ヘリが墜落 近くに中国海軍空母が航行 撃墜されたか(画像あり)」で、記事の元スレッドには画像が添付されている。

画像3枚目をGoogleレンズで検索すると、2023年4月6日に陸上自衛隊ヘリコプターが沖縄・宮古島周辺で消息を絶った事故のニュース映像からの切り抜きであると分かった(テレ朝NEWS「陸自ヘリ不明 当該機の映像か 事故直前に撮影」)。

当時、防衛省が中国軍の関与を否定

事故当日の6日に中国軍の情報収集艦が沖縄本島と宮古島間を通過したことから、SNS上では事故と中国軍の活動を関連づける投稿が拡散した。

これらの情報に関して防衛省の青木健至報道官は11日の会見で「事故に関連する中国軍の動向は確認していない」と否定し、航行は6日未明で「事故発生の時間とは大きく異なる」と指摘した。

また、吉田圭秀統幕長も13日の記者会見で「事故発生時に、(中国軍の)特異な海上航空における動向は認知していない」と述べた(以上、琉球新報読売新聞)。

事故の原因はエンジンの出力低下

2024年3月14日に陸上自衛隊が発表した調査結果は、事故の原因について以下のように述べている(陸上自衛隊「UH-60JAの航空事故調査結果について」)。

(1)原因
第2エンジンの出力が緩やかに低下し出力を喪失。それに引き続き、第1エンジンの出力も低下するという、これまでに報告事例がない事象が生起し、高度保持が困難となり、墜落

(2)第2エンジンの出力の緩やかな低下の要因
「ロールバック」という取扱書に記載のない非常に稀な事象。この要因は、エンジン制御系統又はそれに関連する空気圧ラインの一時的な異常(漏れ・詰まり)と推定

(3)第1エンジンの出力低下の要因
エンジンのエンジン制御に影響を与える部位の異常、機体のエンジン出力に影響を与える部位の異常及び搭乗員の出力調整レバー(PCL)操作による出力抑制のいずれも示す証拠はなく、要因の特定には至らず

画像はアメリカのミサイル駆逐艦

また、投稿に添付されている画像をGoogleレンズで検索すると、2021年12月に個人がXに投稿した同じ画像が見つかった。

投稿によると、画像はアメリカ海軍のミサイル駆逐艦ズムウォルトで、中国海軍の空母ではない。

判定

事故は2024年に発生したもので、陸上自衛隊が発表した調査結果によると、原因はエンジンの出力低下だった。当時も中国軍の関与を疑う情報が拡散したが、防衛省が否定した。1年以上前に否定された誤情報をまとめサイトが再び拡散させている。よって、誤りと判定した。

出典・参考

テレビ朝日. "陸自ヘリ不明 当該機の映像か 事故直前に撮影". https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000294707.html, (閲覧日2025年6月9日)

琉球新報デジタル. "ネット上で「中国軍撃墜か」投稿続く 宮古沖陸自ヘリ事故 レーダー消失時間とズレある写真も拡散 防衛幹部は異例の言及". https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1694468.html, (閲覧日2025年6月9日)

読売新聞. "陸自ヘリ事故と中国軍の関連、防衛省幹部「何らかの攻撃受けた痕跡ない」と否定". https://www.yomiuri.co.jp/national/20230414-OYT1T50094/, (閲覧日2025年6月9日)

陸上幕僚監部. "UH-60JAの航空事故調査結果について". https://www.mod.go.jp/gsdf/news/press/2024/pdf/20240314.pdf, (閲覧日2025年6月9日)

検証:リサーチチーム
編集:古田大輔


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