有田芳生氏が小学生への性的行為を認める発言? 投稿画像は捏造【ファクトチェック】

有田芳生氏が小学生への性的行為を認める発言? 投稿画像は捏造【ファクトチェック】

立憲民主党の有田芳生氏が小学生への性的行為を認める投稿をしたような画像が拡散しましたが、捏造によるもので誤りです。有田氏がそのような投稿をした事実はありません。

検証対象

2024年10月8日、有田氏のX(旧Twitter)アカウントが「もちろん同意が必要だけど/年齢なんてのは人が勝手に決めたただの概念であって/女子小学生でも乳がぷっくり出始めればもうご賞味あれ!って/合図なんじゃないかな」と投稿したかのような画像を添付したXの投稿が拡散した。

この投稿は2024年10月10日現在、96万回以上の閲覧回数と900回以上のリポストを獲得している。

検証過程

画像は2024年1月末には存在

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、拡散した画像を検索した。Google画像検索の結果、2024年1月30日の画像や2024年6月29日の画像などが「完全に一致した画像」としてヒットした。少なくとも、2024年1月末には拡散した画像が存在したことがわかる。

ただし、TinEyeでは該当の画像はヒットせず、Factcheck exploreでも最も古い画像がいつから存在するかは把握できなかった。

また、この発言は有名芸能人によるラジオ番組での発言だという指摘もあるが、JFCでは当時のオリジナル音声を確認できなかった。

有田氏は画像のような投稿をしていない

拡散した画像にあるXアカウントのIDは有田氏のアカウントと同じものだ。JFCは、有田氏の過去の投稿を確認した。

画像の日付は「2024年1月6日の投稿」であることを示している。しかし、有田氏の2024年1月5日から1月7日までの間に該当する投稿はなかった。また、本人が削除したとしても、関連する投稿が他のアカウントで残っているはずだが、それもなかった。

JFCが有田氏の事務所に問い合わせたところ、そうした投稿をした事実はないと否定したうえで以下のような回答があった。

「有田芳生の人生において、そのような価値観を持ったことはなく、不適切な言葉を使用したこともただの一度もございません。そのため、ご指摘のような事実はそもそもありえません」

判定

立憲民主党所属の有田芳生氏が小学生への性的な行為を肯定するような投稿画像が拡散したが、誤り。画像は有田氏のアカウントのアイコンとIDを使って捏造したもので、有田氏がそのような投稿をした事実はない。

あとがき

有田氏は、10月27日投開票の衆議院選挙に立憲民主党から立候補することを表明しています。

選挙が近づくと、政党や候補者を貶めたり、その公約を歪めたり、発言を切り取ったりして異なる文脈を加えるなどした大量の偽・誤情報が拡散します。誤った情報を信じて投票してしまうことになれば、選挙結果に影響を与え民主主義そのものを毀損しかねません。

JFCの選挙時の偽・誤情報に関する解説記事も参考にしてください。

選挙で拡散する偽・誤情報、AIの影響は? 標的は候補者だけでなく民主主義【解説】
石破茂首相は2024年10月に解散総選挙を実施すると宣言しました。選挙は偽・誤情報の標的になります。2024年は世界中で国政選挙が実施され、生成AIによる混乱も指摘されてきました。実際にどのようなデマや噂が拡散するのでしょうか。国内外の状況について解説します。 選挙で拡散しがちな偽・誤情報の種類 選挙で拡散する偽・誤情報には世界的に共通する傾向がある。以下の表に日本で実際に拡散し、日本ファクトチェックセンター(JFC)で検証をしたものを中心に分類した。 拡散する時期を「投開票日前」「投開票日」「選挙後」に、標的となる対象を「政党・候補者」「選挙制度」「メディア」に分けた。標的と時期ごとに、これまでにJFCが実際に検証した情報をまとめている。 政党・候補者に関する偽・誤情報 候補者や政党を貶めたり、持ち上げたりする偽・誤情報が拡散する理由の一つは、自分が支持する陣営を有利にしたいという明確な意図だ。間違った情報を意図的に流して政治的な利益を得ようとする「故意犯」と言える。 ただ、これだけが拡散の理由ではない。 自分が嫌いな候補にとって不利な情報であれ

検証:リサーチチーム
編集:古田大輔

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら

ファクトチェックやメディア情報リテラシーについて学びたい方は、こちらの無料講座をご覧ください。ファクトチェッカー認定試験や講師養成講座も提供しています。

理論から実践まで学べるJFCファクチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調

もっと見る

米大統領選挙後も続く偽・誤情報、日本にも波及【今週のファクトチェック】

米大統領選挙後も続く偽・誤情報、日本にも波及【今週のファクトチェック】

トランプ氏が勝利したアメリカ大統領選が終わっても、アメリカの政治やトランプ氏に関わる偽・誤情報の拡散は続いています。そして、それらはアメリカ国内だけではなく、日本を含む他国にも広がっています。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのニュース JFCファクトチェック講師養成講座 11月の申込はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は11月30日で、お申し込みはこちら。 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 JFCファクトチェック講師養成講座 11月の申込はこちら日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファ

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
トランプ氏の当選確実で「ワクチン禁止法」と「向精神薬禁止法」が成立? まとめサイトによるもの 【ファクトチェック】

トランプ氏の当選確実で「ワクチン禁止法」と「向精神薬禁止法」が成立? まとめサイトによるもの 【ファクトチェック】

米大統領選で、ドナルド・トランプ前大統領の当選が確実になったことに関連して、「ワクチン禁止法」と「向精神薬禁止法」が成立する見通しだという投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。 検証対象 2024年11月7日、「米国、トランプ当選確実で『ワクチン禁止法』と『向精神薬禁止法』が成立する見通し」という投稿が拡散した。投稿にはまとめサイトのURLが添付されている。 2024年11月8日現在、この投稿は2800件以上リポストされ、表示回数は40万件を超える。投稿について「ロバート・ケネディJrさんに大いに期待」「精神疾患を抱えた自分にはちょっと辛すぎます」というコメントがつく一方で「現時点では誤解を招くもの」というコミュニティノートによる指摘もある。 検証過程 まとめサイトと添付記事の内容が不一致 検証対象のリンクは、まとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「米国、トランプ当選確実で「

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
トランプ次期大統領が就任後の計画を発表? 過去の動画を改変【ファクトチェック】

トランプ次期大統領が就任後の計画を発表? 過去の動画を改変【ファクトチェック】

アメリカのトランプ次期大統領が2025年の就任後の計画「プロジェクト2025」として「サブウェイの豚ロースサンドイッチが5ドル」「マクドナルドのマックリブを一年中提供」などと発言したとする動画が拡散しましたが、誤りです。過去の動画を改変したものです。 検証対象 2024年11月7日、「ドナルド・トランプ大統領は2025年1月20日の就任直後のプロジェクト2025について次のように演説した」という英文とともに、動画付き言説が拡散した。 動画ではトランプ氏が「愛国者の皆さん、プロジェクト2025について少しお話ししたいと思います」「サブウェイの豚ロースサンドイッチは5ドルになります」「マクドナルドではマックリブが一年中提供されることになる」「今こそ、アメリカを再び偉大にする取り組みを始める時です」など英語で話している。 2024年11月8日現在、この投稿は560件以上リポストされ、表示回数は41万件を超える。投稿について「信じそうになった」「たとえそれが風刺であっても、あなたはフェイクニュースを広めています」というコメントが付いている。 検証過程 プロ

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
小中高生の自殺がはじめて500人超。原因1位は「親の貧困による生活苦」?【ファクトチェック】

小中高生の自殺がはじめて500人超。原因1位は「親の貧困による生活苦」?【ファクトチェック】

「小中高生の自殺者数が初の500人超え、原因1位は『親の貧困による生活苦』」という言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。厚生労働省は主な原因として「家庭問題」「学業不振」「友人関係」などを挙げています。 検証対象 2024年10月29日、「小中高生の自殺者数が初の500人超え、遺書に書かれた原因1位は「親の貧困による生活苦」😰」という投稿が拡散した。この投稿は10月30日現在、323万回以上の閲覧回数と9300件以上のリポストを獲得している。 投稿はまとめサイト「ツイッター速報〜BreakingNews」によるものだ。 検証過程 まとめサイトと添付記事の内容が不一致 検証対象の投稿に添付されたリンクはまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。引用元はテレビ朝日の記事と毎日新聞の記事、そして、掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「小中高生の自殺者数が初の500人超え、遺書に書かれた原因1位は『親の貧困による生活苦』

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)