小泉進次郎農水相が放射能汚染土を日本中にばらまいた? 小泉氏就任前に閣議決定し、現在は中間貯蔵施設に【ファクトチェック】

小泉進次郎農水相が放射能汚染土を日本中にばらまいた? 小泉氏就任前に閣議決定し、現在は中間貯蔵施設に【ファクトチェック】

YouTubeなどで発信している深田萌絵氏と医師の内海聡氏が対談する「放射能汚染土を日本中にばら撒いた小泉農水大臣の罪を暴く」と題する動画が拡散しましたが、誤りです。福島第一原発の事故で発生した除染土の県外処分は、小泉氏が環境大臣に就任する前の2011年11月の閣議で決まっています。また、現在は中間貯蔵施設で保管されています。

検証対象

2025年6月9日、深田氏と内海氏が対談する「放射能汚染土を日本中にばら撒いた小泉農水大臣の罪を暴く」と題した動画がYouTubeチャンネル「政経プラットフォーム」に投稿された。

動画は約21分間で、内海氏が「小泉氏が除染土を福島から各地域に移転した」などという趣旨の主張をしている。

2025年6月20日現在、この動画は18万回再生されている。投稿について「小泉一族は日本を潰す」「絶対選挙で小泉進次郎を落として下さい」などのコメントがついている。

検証過程

原発事故により、土壌が大量に汚染された

2011年3月の東日本大震災にともなう東京電力福島第一原発の事故で、大量の土壌が放射性物質に汚染された。

福島県内では、事故後、住宅や学校などの線量を下げるため、表土をはぎ取って中間貯蔵施設に搬入・保管。その量は約1400万m3(2024年11月時点)になっている(環境省「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の取組状況について」)。

この除染土(汚染土または除去土壌とも呼ばれる)は、法律で、福島県外で最終処分すると定められている。政府は最終処分の量を減らすため、放射性物質の濃度が低い土については、公共工事の盛り土などに使う方針だ(中間貯蔵施設情報サイト「② 復興再生利用の流れ」)。

福島県の飯舘村や南相馬市などでは、2017年から再利用に向けた実証事業が進められた。これについて、国際原子力機関(IAEA)は「IAEAの安全基準に合致している」とする報告書を公表している(中間貯蔵施設情報サイト「県外最終処分に向けたこれまでの取組の成果と2025年度以降の進め方」)。

しかし、首都圏3か所での実証事業は地元の反対によって土を運び込むことができなかった(朝日新聞「福島県外での除染土再利用事業、環境省が終了 反対で運び込めず」)。

動画内での発言は

「放射能汚染土を日本中にばら撒いた小泉農水大臣の罪を暴く」と題した動画の中で、内海氏と深田氏は小泉氏の名前を挙げつつ、汚染土の県外移転について議論している。

深田氏の「汚染土を福島からいろんな各地域に移転していった」という言葉に「そう」と答えた内海氏は、それが全国的に死亡率を高めることを狙った施策であると主張している(前後も含めた文字起こしは記事末尾に)。

小泉氏と除染土の関係は

現在、小泉氏は農林水産大臣だが、2019年9月から2021年10月までは環境大臣を務めていた。

福島県内の除染土の県外処分の基本方針が閣議決定したのは、小泉氏が環境相に就任する約8年前の2011年11月だ。2014年11月に、それを明記した法案が成立した(中間貯蔵施設情報サイト「除去土壌の再生利用に係るこれまでの経緯」)。

基本方針には、保管や処分の際に可能な限り減容化(廃棄物などの容積を減少させる)を図ること。減容の結果分離されたものや、汚染の程度が低い土は安全性を確保しつつ再生利用などを検討する必要があることなどが示されている(中間貯蔵施設情報サイト「県外最終処分に向けた取組」)。

除染土や中間貯蔵施設のこれまでの経緯については、福島県生活環境部中間貯蔵・除染対策課がまとめた資料で確認できる(福島県「除去土壌の県外最終処分に向けて」)。

福島県「除去土壌の県外最終処分に向けて」より

福島県内の除染土の現状は、環境省の除染情報サイト中間貯蔵施設情報サイトで確認できる。現在は福島第一原発を取り囲む形で、大熊町・双葉町に設置された中間貯蔵施設に搬入・保管されている。

中間貯蔵施設には除染土の環境モニタリング、減容化施設、分別施設などが整備されている(中間貯蔵施設情報サイト「中間貯蔵施設の概要」)。

判定

「放射能汚染土を日本中にばら撒いた小泉農水大臣」と主張する動画が拡散したが、誤り。福島県内の除染土(汚染土)は、小泉氏が環境大臣に就任する約8年前に県外処分が決定し、現在は中間貯蔵施設で保管されている。

出典・参考

内閣官房. “福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の取組状況について”.2024年12月20日. https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisei_riyou/dai1/siryou.pdf , (閲覧日 2025年6月20日).

中間貯蔵施設情報サイト. “除去土壌の復興再生利用について”. https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/recycling/ , (閲覧日 2025年6月20日).

中間貯蔵施設情報サイト. “「県外最終処分に向けたこれまでの取組の成果と2025年度以降の進め方”. https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/recycling/pdf/summary_strategies_for_developing_technology.pdf , (閲覧日 2025年6月20日).

朝日新聞. “福島県外での除染土再利用事業、環境省が終了 反対で運び込めず”.2025年4月22日. https://www.asahi.com/articles/AST4Q2RBVT4QUGTB003M.html , (閲覧日 2025年6月20日).

中間貯蔵施設情報サイト. “除去土壌等の再生利用方策検討(中間貯蔵施設における取組)”. https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/ , (閲覧日 2025年6月20日).

中間貯蔵施設情報サイト. “除去土壌の再生利用に係るこれまでの経緯”.2011年11月11日.https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/pdf/recycling_process_2003.pdf , (閲覧日 2025年6月20日).

福島県. “除去土壌の県外最終処分に向けて”. 福島県ウェブサイト. https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/548645.pdf , (閲覧日 2025年6月20日).

除染情報サイト. “中間貯蔵施設の概要/進捗状況”.更新日 2025年6月6日. https://josen.env.go.jp/chukanchozou/about/ , (閲覧日 2025年6月20日).

動画文字起こし

内海氏: え?いや、だからみんなが全国中で放射能に汚染されたっていう食材とか水とかいろんなものを、国民、福島だったら福島の人だけじゃなくて、国民全員が食べましょうと。そうすると、はい、ね、それを支援っていう形で言っとけばいいだけで、そうすると、結局、ただちに影響はないけども、その後影響があることは本当は勉強してるなら誰でも知ってる。5年ぐらい経ってから病気がどんどん増えてくるんですけど、それは、知っているので、そうすると全体としてみんな病気になり、みんな死亡率が上がるから地域差があんまり出にくくなりますので、そうすると因果関係が掴みづらくなるから。

深田氏: はっ!そういうことですか!

内海氏: そうですよ。

深田氏: じゃあ、汚染土を、その福島からいろんな各地域に移転していったと。

内海氏: そう。その県外、その汚染土って8000ベクレル/kg以下っていう、そういう、まあ低汚染土って言って言ってるんですけど、まあ実はそんな低汚染じゃないんですけど、っていう風なものを、もう処理しきれないから県外に移設して、県外の施設も作って、っていう風にすると言う話になったんですよ、そもそもそれ以前の問題として食べ物も汚染の基準を変えたんですよ。

深田氏: 。そうなんですか。

内海氏: そう。もともと、その、ベクレルっていう基準で表現しますけど、昔は1ベクレル/kg以下とかそれぐらいの基準が基本だったけど、それを事故後はもう基準めちゃくちゃ変えちゃって、だから海外の韓国とか中国とかが日本の食材はね、オリンピックの時汚染されてるって言って叩いてましたけど、あれは言ってることは間違ってないんですよ。その日本の基準で、世界の基準と全然違う。はい。だから海外では今でも輸入禁止の国がいっぱいあるっていう状態なんですけど、それをみんな、食べて応援ってやってたんですけど。あれ海外では本当に馬鹿にされてますから。絶対やっちゃいけないことの代表なんですよ。

深田氏: はい。

内海氏: そう、そういう風な、みんなが薄く食べましょう、飲みましょう、浴びましょう、ていうのを希釈政策、っていうんですよ。閉じ込め政策の逆です。希釈拡散政策。

深田氏:拡散政策ですよね。

内海氏:みんなが薄く浴びて、みんなが薄く病気になりましょうっていう、そういう考え方。

深田氏:そうすると地域差がなくなるので、福島での問題が見えにくくなるっていう。なんかもうね、東大生が考えそうな話ですよ、サイコパス!

内海氏: はい。っていう感じだったんです。それでね、その、あの、希釈政策をずっとやってるわけなんですけど、その一環として汚染土の県外移設やるわけじゃないですか。で、そん時に記者会見したんですよ、令和元年ですよ。

深田氏: はい。

内海氏: 令和元年の時に記者会見で記者が、ある記者が、あの原発に一応疑問符を持っているっていう普通の記者で、で、あの、質問したわけですよ、小泉進次郎に。「これちょっと大臣、危険じゃないですか?」と。「はい。ね、この汚染土、この汚染されてるものをこうどんどんね、あの、海外に、海外にじゃないや、県外に移設したら、散らばっちゃってね、汚染が広がって問題になるんじゃないでしょうか?」と。「世界としたらこれ問題、常識じゃないと思うんです」みたいな、そういう質問をしたわけですよ。この質問一応まともな質問。

深田氏: うん。

内海氏: はい、なんです。っていう風になった時に、えー、彼が言った、「大臣、危険じゃないですか?」って聞かれたら、なんて答えたかって言ったら、「うん、私の中で30年後っていうことを考えた時に、30年後の自分は何歳かなと。あの発災直後から考えておりました。だからこそ私は健康であれば、その30年後の約束を守れるかどうかというそこの節目を私は見届ける可能性のある政治家だと思います」答弁終わり。

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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