「反原発デモの空撮、報道されなかった」は誤り。国内メディアの撮影で別のデモの写真【ファクトチェック】

「反原発デモの空撮、報道されなかった」は誤り。国内メディアの撮影で別のデモの写真【ファクトチェック】

「反原発デモの空撮」とされる写真が「当時メディアが報じず、国民は知らなかった」などという文言とともに拡散しました。これは誤りです。写真は2015年の安保関連法案に反対する集会を共同通信など国内メディアが撮影した光景で、多数のメディアが報じています。

検証対象

拡散したツイートには、国会正門前がデモ参加者で埋め尽くされている様子を空撮した写真が添付されている。ツイートには以下の文言がある

安倍政権時代は少なくとも3回以上、この規模のデモはあった。
でも、ほとんどの国民は知らなかった。
mediaが報じなかったから。

また、「この画像が世界中に流れてから、警察は民間のヘリによる空撮を禁止した」とも書かれている。

画像

投稿は4月11日時点で240万回以上表示され、1万2000RTを超えている。返信欄には報道を見たという意見もある一方、「こんなのあったの知らなかった」などの反応もあった。

検証過程

この画像を右クリックし、Googleレンズで検索してみると、ほぼ同じ構図の写真を掲載した記事が複数見つかる(例1例2例3例4)。記事や写真のキャプションによると、2015年8月30日に国内メディア各社のヘリで空撮された、安保関連法案に反対する集会だ。これらの記事によると、安全保障関連法案に関する抗議行動では最大規模であり、主催者は「12万人が参加」と発表している。

2011年の福島第一原発事故の後、都内を含む全国で大規模な反原発デモ()があったが、検証対象の画像はこれらの後の時期に空撮されている。

また、ツイートは警察が民間ヘリによる空撮を禁止したとも記載しているが、警察は民間ヘリによる空撮を禁じていない。昨年の安倍晋三元首相の国葬やデモも報道各社が空撮している。

判定

画像は2015年8月30日の安保関連法案に反対する集会のもので、多数の国内メディアが報じていた。空撮の禁止もないため誤りと判定した。

あとがき

「マスメディアが報じていない〇〇」という言説の中には、実際には報じている事例も多くあります。Google検索で◯◯と検索し、検索窓の下の「ニュース」を選ぶだけで探せることもあるので、試してみてください。

画像

検証:堀口野明、本橋瑞紀
編集:古田大輔、宮本聖二

検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

「ファクトチェックが役に立った」という方は、シェアやいいねなどで拡散にご協力ください。誤った情報よりも、検証した情報が広がるには、みなさんの力が必要です。

X(Twitter)FacebookYouTubeInstagramなどのフォローもよろしくお願いします。またこちらのQRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、真偽が気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

「(画像)堀江貴文氏:ワクチンの危険性が発覚しました」は誤り 本人の発言ではなく、切り抜き動画から

「(画像)堀江貴文氏:ワクチンの危険性が発覚しました」は誤り 本人の発言ではなく、切り抜き動画から

実業家の堀江貴文氏が「ワクチンの危険性がついに発覚しました」と語っているかのような画像が拡散しましたが誤りです。本人が直接否定している他、画像の出典元はYouTubeの切り抜き動画で、元動画にもそのような発言はありません。 検証対象 2024年2月20日に投稿されたポストで、堀江氏の顔とともに「ワクチンの危険性が遂に発覚しました」という文言があしらわれた画像が拡散した。 この投稿は2024年2月22日現在、978万回以上の表示と、9700件以上のいいねを獲得している。 2月21日には堀江氏本人が「フェイク画像が本物と信じて、私の名誉を毀損しているツイートですが、大丈夫でしょうか?」と引用投稿している。 検証過程 出典元はYoutubeの切り抜き動画 拡散した画像を投稿した内海聡氏は、この画像の引用元として2023年9月30日のポストを挙げている(アーカイブ)。 引用元のポストを見るとYouTubeリンクがある。引用元ポストの投稿者はプロフィール欄に陰謀論を多数投稿するサイト「rapt理論+α」のリンクを掲載していた。 このポストに添付されてい

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
「しぶさわくん」や東京都交通局などSNSに偽アカウントが続々 公式が警鐘を鳴らす

「しぶさわくん」や東京都交通局などSNSに偽アカウントが続々 公式が警鐘を鳴らす

SNS上で実在の公式キャラクターや漫画家を装ったなりすましアカウントが次々と出現しています。個人情報を取られたり、詐欺被害にあったりする恐れがあります。公式アカウントも注意を呼びかけています。 東京都北区の広報キャラクター「しぶさわくん」 東京都北区観光協会の広報キャラクター「しぶさわくん」のなりすましアカウントがX(旧Twitter)上で確認された。 しぶさわくんのX公式アカウントは2024年2月19日、SNSを通じて「公式アカウントは、このアカウントだけ」と注意を呼びかけている。 Facebookに複数の「東京都交通局」 Facebookには、「東京都交通局」を名乗るアカウントが多数存在する。 東京都交通局は公式サイトや各SNSを通して、「東京都交通局を装った偽メッセージについて」という注意喚起を掲載。すでに終了しているプレゼントキャンペーンを装って個人情報やクレジットカード情報の入力を促す偽のダイレクトメッセージがFacebookのチャットで送られていると注意喚起している。 BlueSkyに漫画家のなりすましアカウント 招待制から登録制に

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
「【緊急】新NISA、規制か 財務大臣『円安の元凶と見ている』」は誤り そのような発言はない【ファクトチェック】

「【緊急】新NISA、規制か 財務大臣『円安の元凶と見ている』」は誤り そのような発言はない【ファクトチェック】

新しい少額投資非課税制度(NISA)に関して「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『円安の元凶と見てる』」という言説が拡散しましたが誤りです。引用元の記事に「新NISA、規制か」という情報はありません。また、円安について、鈴木俊一財務大臣は「変動の概要を一概に申し上げることはできない」と発言しています。 検証対象 2024年2月21日、「【緊急】新NISA、規制か。財務大臣『海外への資本逃避が見られる。円安の元凶と見てる』 」という投稿が拡散した。 2024年2月21日現在、このポストは2700件以上リポストされ、表示回数は61万件を超える。投稿について「やっぱり…」というコメントの一方で「ソースがない」と指摘する声もある。 検証過程 新NISAとは 通常、株式や投資信託などに投資した場合に売却利益や配当に約20%の税金がかかる。NISAは「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で非課税になる制度だ。(金融庁「NISAとは?」) 2024年以降は新NISAとして、「非課税保有期間の無期限化」「口座開設期間の恒久化」

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
「日本だけがウクライナに巨額の支援」は誤り 欧米諸国よりも少なくGDP比では支援国下位【ファクトチェック】

「日本だけがウクライナに巨額の支援」は誤り 欧米諸国よりも少なくGDP比では支援国下位【ファクトチェック】

ウクライナへの支援について「日本だけが巨額」という言説が拡散しましたが、誤りです。ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」の統計によると、日本の累計支援額は世界で7番目で、日本(75億ユーロ)はアメリカ(677億ユーロ)の1割程度です。 検証対象 2024年2月8日、ウクライナへの支援について「日本だけが巨額の支援」というポストが拡散した。このポストは、2024年2月21日現在、140万回以上の表示回数と3400件以上のリポストを獲得している。 検証過程 各国からの支援額は ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」が、42の国・機関によるウクライナへの財政、人道、軍事分野での支援に関する統計を公開している。 同研究所が公開した資料によると、ウクライナへの侵攻が始まった2022年2月24日から2024年1月15日までの間、EUおよび各国が表明した累計支援額は2524億ユーロだという。日本円にすると、約40兆3840億円(1ユーロ=160円で計算)だ。 機関・国家単位の支援額ではEU(849億ユーロ)とアメリカ(677億ユーロ)が突出し、全体

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)