フランス暴動の略奪品が路上で販売? マドリードとニューヨークで撮影【ファクトチェック】
「フランスの暴動で略奪された高級ブランド品が、路上で定価の8〜9割引きで販売されている」という投稿が、動画や画像とともにXで相次いで拡散しました。動画はスペイン・マドリード、画像はアメリカ・ニューヨークで撮影されたもので、いずれもフランスで大規模な暴動が起きた10月17日より前に投稿されたものです。 総合的に誤りと判定しました。
検証対象
拡散した投稿
2026年10月、「フランスで多発している暴動行為に便乗して略奪者達が高級ブランドから略奪した『本物のブランド品』がなんと、定価の9割引きで販売されているらしい」「略奪者達も盗まれないように紐でガードしてる」「フランスの路上販売、盗品の「証拠」に略奪動画」という投稿が動画とともにXで複数拡散した。

検証する理由
2つの投稿の表示回数はそれぞれ90万回を超えている。「ブランドもの9割引き!」「ついさっき盗んできた商品なのかな?」というコメントが多数あるため検証する。
検証過程
フランスでは9月下旬から高校生が教職員不足の解消や老朽化した施設の改善などを求めて学校を封鎖するなどの抗議活動を続けていた。10月6日には各地でデモがあり、それまでで最大規模となる約26万人が参加した。(共同通信.”フランスで高校封鎖デモ拡大 教員増要求、5千人拘束”、TBS NEWS DIG.”フランス“26万人”デモ参加 「廊下にネズミ」止まない学生たちの抗議の声 政府姿勢に落胆の声【news23】”)。
さらに、10月17日には、学習環境の改善を求める高校生と、生活費の高騰に不満を募らせる労働組合関係者らが合同で抗議活動。一部で暴徒が放火や破壊行為を繰り返し、商店が略奪被害に遭った。18日までに約1800人が逮捕され、警察・消防の500人以上が負傷した(時事通信.”暴徒が放火、破壊、略奪55万人デモで混乱―仏”)。
略奪品がネットで転売、政府が対応
フランス政府は、17日からの略奪などで全国の少なくとも3000の商店が被害を受けたとしている。盗まれた商品の一部がネット販売サイトに出品されていることから、政府は19日、ネット通販大手アマゾンやフリマサイトなどの事業者を集めて流通防止策を協議すると発表した(FNNプライムオンライン.”フランス政府デモ暴徒化 略奪した店舗商品のネット転売対策乗り出す ネット通販やフリマサイト事業者を召集”)。
動画はマドリード、暴動前に公開
例1の動画をGoogleレンズで検索すると、同一の動画は10月11日に「マドリードで最も交通量の多い通りの一つです」というスペイン語の文言とともにXに投稿されていた。つまり、この動画は、フランスで高級ブランド店が襲われる6日前に投稿されたものだ。
投稿にある「Gran VíaからCallaoまでの区間の歩道」をGoogle Mapで検索すると、元動画と同じ場所が見つかった。動画は、オリジナルの投稿文言どおり、スペイン・マドリードで撮影されたものだ。
拡散した動画について、スペインのファクトチェック団体「Maldita」も検証し、「動画はマドリードで撮影されたもの」「元の動画は少なくとも10月12日からX上で拡散しており、フランスについては言及されていない」と報じている。
また、Malditaによると、この動画は日本語を含む13の言語で拡散しているという(Maldita.”Cómo un vídeo del "top manta" en la Gran Vía de Madrid se difunde en, al menos, 13 idiomas como si fuese Francia y estuviesen vendiendo los productos robados durante los saqueos · Maldita.es”)。
検証対象の投稿では、路上の販売者を「略奪者達」と呼んでいるが、根拠は示していない。
画像はアメリカ・ニューヨークの動画と一致
例2の画像をGoogleレンズで検索すると、2026年6月にInstagramに投稿された動画と一致した。アカウントはニューヨークのストリート販売を紹介しており、投稿には「キャナル・ストリートでシャネル風のアイテムを探すなら、こちらへ!お手頃価格でラグジュアリーなルックが手に入ります」とある。
拡散した投稿は「フランスの路上販売、盗品の『証拠』に略奪動画」と記している。盗品には保証書やレシートがついていないので、代わりに店を略奪した際の動画を見せて盗品が本物のブランド品だと証明している、という主張だ。
ところが、画像と一致したInstagramの動画を見ても、略奪した際の動画を見せるような様子はない。この部分も根拠のない主張だ。
Instagramの投稿にある「Canalstreet」をGoogle Mapで検索すると、動画と同じ場所が見つかる。動画は、暴動以前に、アメリカのニューヨークで撮影されたものだ。
つまり投稿に添付された動画は、フランスの略奪品販売でも暴動後に撮影されたものでもなく、それ以前にニューヨークで撮影された偽ブランド品の路上販売の様子だ。
判定
「フランスの暴動で略奪された高級ブランド品が、路上で定価の8〜9割引きで販売されている」という動画が拡散した。しかし、フランスで高級ブランド店が襲われたと報じられる前に撮影されたもので、撮影場所もスペインやアメリカだ。よって、総合的に誤りと判定した。
出典・参考
共同通信.”フランスで高校封鎖デモ拡大 教員増要求、5千人拘束”.https://www.47news.jp/15029838.html ,(閲覧日2026年10月26日)
TBS NEWS DIG.”フランス“26万人”デモ参加 「廊下にネズミ」止まない学生たちの抗議の声 政府姿勢に落胆の声【news23】”.https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/3000489?display=1 ,(閲覧日2026年10月26日)
時事通信.”暴徒が放火、破壊、略奪 55万人デモで混乱―仏”.https://www.jiji.com/jc/article?k=2026101800154&g=int ,(閲覧日2026年10月26日)
FNNプライムオンライン.”フランス政府デモ暴徒化 略奪した店舗商品のネット転売対策乗り出す ネット通販やフリマサイト事業者を召集”.https://www.fnn.jp/articles/-/1135859 ,(閲覧日2026年10月26日)
Maldita.”Cómo un vídeo del “top manta” en la Gran Vía de Madrid se difunde en, al menos, 13 idiomas como si fuese Francia y estuviesen vendiendo los productos robados durante los saqueos · Maldita.es”.https://maldita.es/investigaciones/20261021/video-top-manta-gran-via-madrid-13-idiomas-francia-saqueos/ ,(閲覧日2026年10月26日)
検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、松田史朗、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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