TikTokで拡散するAI生成によるクマ被害の偽動画に注意【ファクトチェック】

TikTokで拡散するAI生成によるクマ被害の偽動画に注意【ファクトチェック】

日本のクマ被害が深刻化していることをうけ、熊による被害を映した動画がTikTokで多数拡散しています。しかし、その中にはAIで生成された現実のものではない映像が多数混じっています。

熊が人を襲う動画が多数拡散

2025年10月、TikTokで「クマが柴犬くわえ逃走 どう対策」という動画が拡散した。

TikTokには、ほかにも「熊vsアルファード」などクマによる被害を撮影したような動画が複数拡散している(例1例2例3)。

動画には「熊射殺すべき」「怖い」というコメントの一方で「いくらAIでもやっていいことと悪いことがある」という指摘もある。

クマ被害の増加

近年、日本各地で深刻なクマ被害が相次いでいる。2025年度、クマに襲われて死亡した人は2025年10月30日現在で全国で12人にのぼり、過去最多の被害となっている(時事通信.”相次ぐクマ被害、対応限界も 市街地出没急増で苦慮―自治体”、環境省”クマに関する各種情報・取組”)。

被害の拡大に伴って、ソーシャルメディアにクマ関連の動画をアップする人が増えている。

AI生成のウォーターマーク

「クマが柴犬くわえ逃走 どう対策」という動画を確認すると、画面の右側に「Sora」のウォーターマーク(透かし)が表示される。Soraとは、OpenAIが開発した動画生成AI​​だ。

Soraを利用することで、まるで実際の映像のような動画を自由に作成できる。Soraを利用して動画を作成したことを示すのがウォーターマークだ(以上、OpenAI.”Sora")。

その他にも、この動画がAI生成であることを示すものがある。動画下部には「クリエイターがAI生成のラベルを付けました」と表示されている。また、動画後半に出てくる「熊 出没注意」と書かれた看板は、そのほかの文字が崩壊している。文字が崩れるのは、AI生成の画像や動画によく見られる特徴だ。

不自然な映像

別の「熊vsアルファード(残クレ)」という動画は、クマが白い車に接触する際、もともと開いていたはずの車の窓ガラスを割る描写がある。また、クマが車の中から引きずり出すシーンの人間の動きにも不自然な点がみられる。

「熊がスーパーに侵入」という動画にはハッシュタグ「#sora2」「#ai」と付けられている。また、動画ではスーパーの自動ドアがあいた後、店内にクマが急に出現する。画面左下にある「果物」と書かれている看板の果の字も不自然だ。

今回、検証対象とした動画は全て「Sora」のウォーターマークが表示される。

判定

クマによる被害が増えたことで、クマが人間を襲う様子を撮影したかのような動画が多数拡散しています。しかし、拡散した動画の多くには動画生成AI「Sora」のウォーターマークがあり、文字の崩れなどの特徴があるAI生成動画です。

あとがき

誰でも気軽に生成AIを利用して画像や動画が作れるようになったことで、生成AIによる偽物「ディープフェイク」が急増しています。しかも、技術の改善で人間の目では本物と見分けることが困難になってきています。

冗談で作った映像でも、本物と誤解する人はいます。ウォーターマークの存在も、それが生成AIによるものと認識していない人もいます。クマ被害のような人の命に関わる時事問題で、誤解が広がらないように注意しましょう。

出典・参考

時事通信.”相次ぐクマ被害、対応限界も 市街地出没急増で苦慮―自治体”.https://www.jiji.com/jc/article?k=2025103001147&g=soc ,(閲覧日2025年10月31日)

環境省.”クマに関する各種情報・取組”.https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/effort12.html ,(閲覧日2025年10月31日)

検証:木山竣策
編集:古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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