Temuの倉庫が炎上したけど被害額7000円? 何度も拡散するAI画像【ファクトチェック】
中国発のECサイト「Temu」の倉庫が炎上したが被害額は7000円という投稿が拡散しましたが、事実ではありません。画像はAIで生成され、低価格をネタにした風刺として拡散しているものです。
検証対象
拡散した言説
2025年11月25日、「Temu倉庫が炎上したけど被害総額7000円らしい」という文言とともに倉庫のような建物が燃えている画像が拡散した。

画像には「TEMU」と書かれた建物が燃える様子が写っている。
検証する理由
11月27日現在、この投稿は4300件以上リポストされ、表示回数は1123万回を超える。投稿について「明らかにAIってわかって、かつgrokのロゴも書いてある」というコメントもある一方で、「倉庫燃えたか」「Is this real?」など、日本だけではなく外国からも注目を集めている。
検証過程
画像の文字は崩壊
画像を確認すると、燃えている建物に描かれている「TEMU」の文字のうち、オレンジ色 の文字が崩れて「TEHU」と読める。また、オレンジと白の四角いロゴのような看板も写っているが、模様が形をなしていない。
画面右側に映っている消防車も輪郭がゆがみ、不自然な形状だ。
画像には「Grok」の透かし
画像右下にはxAIのAI「Grok」の透かしがある。Grokで生成した画像の証だ。
画像を投稿したアカウントは投稿の翌26日、「AIのロゴ隠してないからネタって分かるでしょ」と投稿している。
同じ画像が過去にも拡散
Googleレンズで検索すると、2024年12月ごろからXやThreadsなどに、同じくTemuと書かれた建物が燃える画像が拡散している(例1、例2)。
アメリカのファクトチェック機関「Snopes」やスペイン語でファクトチェック記事を配信する「Factchequeado」は、過去に画像をファクトチェックして「誤り」と判定している(Snopes.”Photo Showing Large Temu Warehouse Fire in China Is Fake”.Factchequeado.”No, esta imagen no muestra un incendio real en una bodega de Temu ni en China ni en España: es inteligencia artificial”)。
判定
画像は2024年から何度も拡散している画像で、文字の崩壊やGrokの透かしなど、AI生成画像の特徴を多く含んでいる。投稿者自身もAIによるものだと認めている。よって、誤りと判定した。
あとがき
生成AIで作った画像や動画をソーシャルメディアに投稿すると、たとえそれが悪気のない冗談や風刺だったとしても、受け取り手の中には事実と誤認する人もいます。発信する側は、誤解を受けないように配慮する必要があります。
同時に、視聴する側は、画像や動画があっても事実とは限らないこと、透かしが入っていないか、発信元や根拠や関連情報を確認することが重要です。
出典・参考
Snopes.”Photo Showing Large Temu Warehouse Fire in China Is Fake”.https://www.snopes.com/fact-check/temu-warehouse-fire-china/ ,(閲覧日2025年11月27日)
Factchequeado.”No, esta imagen no muestra un incendio real en una bodega de Temu ni en China ni en España: es inteligencia artificial”.https://www.snopes.com/fact-check/temu-warehouse-fire-china/ ,(閲覧日2025年11月27日)
検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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