ニトリが中国に輸出しているからコメが高騰? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

ニトリが中国に輸出しているからコメが高騰? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

コメの価格高騰について、ニトリが中国に輸出していることが一因のように示唆する投稿が拡散しましたが、誤りです。ニトリが中国にコメを輸出したのは2022年1月に一度だけで、それ以降は輸出していません。同様の投稿は過去に何度も拡散しています。

検証対象

拡散した言説

2025年12月2日、「ニトリにお怒りです」という文言付きの動画がXで拡散した。

検証する理由

12月11日現在、投稿は2800回以上リポストされ、表示は22.4万件を超える。

投稿には「デマ認定でOK🙆‍♂️」などの指摘があるが、「ニトリでは絶対に買いません」「ニトリとイオンて中国側なんだ!」など、投稿を真に受けた反応も多い。

検証過程

拡散した動画は55秒。経済安全保障アナリスト・平井宏治氏が、ニトリのコメ輸出について話している。全文は以下の通りだ。

「実はですね、これ、日本経済新聞なんですけど、ニトリがやってることっていうのは、ホクレンのパールライス工場てありますね。ここで北海道でねとれたお米を集めて、小樽港に持っていって、ニトリのね、コンテナ船で中国に輸出してるんです。結局、ニトリは何やってるかというと、中国から家具を持ってくると、帰りの船に食品とか水を乗せて中国に売ってるんですよ。米の値段が1.7倍になったとか言って騒いでいるわけですけれども、こういった時にそもそもですね、日本でとれたお米は、日本人が最初に食べなきゃいけないじゃないですか、これをですね、中国に輸出して米を不足させて、そして値段が上がり、足りないから備蓄米という古米を食べさせたり、これおかしくないですか?(もう、売国企業ですね?)売国企業です」

元の動画は、政治団体「日本誠真会」党首・吉野敏明氏の公式YouTubeチャンネルが2月に公開したYouTubeだ。今回、拡散した動画は、この一部を切り出して編集し、「事実なら呆れる。ニトリの社長は日本人?」というテロップと、猫の画像を加えている。(驚愕!ニトリが日本の米を中国に輸出【再投稿】 #食料安全保障 #米輸出 #ニトリ #北海道農業 #食糧危機”)。

平井氏が取り上げた日経新聞の記事「ニトリが北海道米『ななつぼし』輸出へ 中国市場で勝算」には、概ね平井氏が動画でコメントした通りの内容が書いてあるが、配信された日付は2021年11月18日だ。

ニトリ「コメ輸出は2022年1月だけ」

2025年5月、産経新聞とFRIDAY Digitalがニトリに対してコメ輸出の現状を取材。同社は「中国へのコメの輸出は2022年1月に一度行ったが、それ以降お米の輸出の実績はない」と回答している(産経新聞” 「中国にコメを輸出し価格高騰の元凶」ネット動画をニトリ否定「事実と異なる情報が拡散」”2025年5月13日 、 FRIDAY Digital ”中国に「コメ輸出」疑惑でネット炎上中のニトリを直撃…返ってきた「意外な答え」”2025年5月11日)。

「ニトリのコメ輸出が価格高騰の要因だ」という主張は、過去にも拡散しており、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、その際にニトリに取材して、誤りと判定している(JFC"ニトリが中国にコメ輸出していることが高騰の一因? 2022年に1度だけ【ファクトチェック】")。

ニトリが中国にコメ輸出していることが高騰の一因? 2022年に1度だけ【ファクトチェック】
「ニトリが中国にコメを輸出していることが価格高騰の一因になっている」という情報が拡散しましたが、誤りです。ニトリが中国にコメを輸出したのは2022年1月に一度だけで、現在は輸出していません。 検証対象 「ニトリが日本の米を中国に輸出しているから日本でコメが不足し価格が高騰している」などとニトリを非難する内容の動画が、TikTokやYouTube、Xなどで多数拡散している(例1、例2、例3、例4、例5)。 動画の多くに共通しているのは「ニトリは中国で作った商品をコンテナ船で日本に輸入しているが、その帰りの便が空になるため、北海道の工場に米を集めて、小樽港から中国に輸出している」という情報が含まれている点だ。 投稿には多くの「いいね」がつき、「ニトリ終了だね。みんなニトリでは買わなくなる」「ニトリは日本人の敵ってわけか」などのコメントが寄せられている。 検証過程 動画の多くに経済安保アナリストのコメント 拡散した動画の多くは、例1、例3、例5のように、経済安全保障アナリスト・平井宏治氏がオンライン番組で「ニトリは2021年からホクレンのパールライス工

当時の取材でニトリは、コメの輸出について、2022年1月に一度だけ輸出し、その後は実施していないと説明。その理由について、以下のように回答した。

「2022年の輸出実績は、国内におけるお米の消費量の低下や、海外における市場開拓等の観点から農林水産省が推進する『農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略』という枠組みにおいて、実施したものです」

「これらの事業は、港湾利用の実証実験としての位置づけもあり、特定の販路に対して輸出したものではないため、単発の輸出実績となっています」

今回の拡散を受けて、JFCは12月8日にも再取材。2022年1月に1回輸出して以降、状況は変わらないかとの質問に対して、同社は「変更ございません」と回答をした。

判定

ニトリが中国にコメ輸出していることが価格高騰の一因であるかのように示唆する投稿が拡散した。ニトリが中国にコメを輸出したのは2022年1月の一度だけで、それ以降は輸出していない。よって、誤りと判定する。

出典・参考

【公式】吉野敏明の政経医チャンネル.〜日本の病を治す〜”驚愕!ニトリが日本の米を中国に輸出【再投稿】 #食料安全保障 #米輸出 #ニトリ #北海道農業 #食糧危機”.2025年5月14日.https://youtube.com/shorts/zodx_u-18qo?si=CVN3qROlobh9OTxF,(閲覧日2025年12月10日).

産経新聞.” 「中国にコメを輸出し価格高騰の元凶」ネット動画をニトリ否定「事実と異なる情報が拡散」”.2025年5月13日 .https://www.sankei.com/article/20250513-XP2MHAIHLJFXTJCYPFLXE6KN3M/,(閲覧日2025年12月10日).

FRIDAY Digital. ”中国に「コメ輸出」疑惑でネット炎上中のニトリを直撃…返ってきた「意外な答え」”. 2025年5月11日.https://friday.kodansha.co.jp/article/424304,(閲覧日2025年12月10日).

検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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