川口市の刑法犯で検挙された7割が外国人? データの読み間違い【ファクトチェック】

川口市の刑法犯で検挙された7割が外国人? データの読み間違い【ファクトチェック】

川口市内で発生した刑法犯(路上強盗、不同意わいせつ、ひったくりなど)の検挙人員の7割が外国人であるかのような主張がXで拡散しましたが、誤りです。2024年に川口市内で、刑法犯で検挙された外国人のうち、トルコ・中国・ベトナムの3国籍が7割を占めるというデータを誤って解釈しています。

検証対象

2025年6月15日、川口市内で発生した刑法犯罪について「検挙の7割が外国人」という趣旨の投稿がXで拡散した。

2025年6月18日現在、投稿は9800回以上リポストされ、表示回数は290万回を超える。投稿には「移民は日本人が育んだ世界で稀なる世界を打ち壊す」や「終わっとるなぁ 川口市」などのコメントのほか「川口は平和で夜中でも安心して歩けるのが現実」という反論もある。

検証過程

根拠とされた記事の内容は

拡散した投稿には、産経新聞の2025年6月15日付けの記事がついている。「川口の外国人犯罪『トルコ国籍比率ずば抜けている』クルド人に追跡された市議が議会で訴え 『移民』と日本人」という見出しで、6月13日の埼玉県川口市議会の質疑を報じている。

自民党の奥富精一市議が市内の犯罪統計について質問し、「市側は県警の統計として、昨年の刑法犯の検挙数が178人で、中国とトルコ国籍が54人ずつ、ベトナムが27人と明らかにした」という内容だ(産経新聞”川口の外国人犯罪「トルコ国籍比率ずば抜けている」クルド人に追跡された市議が議会で訴え 「移民」と日本人”)。

拡散した投稿は、この人数から計算して「7割が外国人の犯罪かよ」と述べている。

実際の質疑の内容は

2025年6月13日の川口市議会の内容は「川口市議会 議会中継」で見ることができる。実際の質疑は以下の通りだった。

奥富市議:川口警察署、武南警察署管内である川口市の最新の刑法犯の検挙人数について、多い順に国籍別でお示しください。(動画1:11:24~1:11:42)

川口市危機管理部長:令和6年の埼玉県警察本部の統計によりますと、本市における外国人刑法犯検挙人数につきましては、総検挙人数が178人となっております。国籍別に多い順で申し上げますと、中国・トルコ国籍が同数の54人、ベトナム国籍が27人となっており、この3か国で外国人刑法犯検挙人数の75.8%、約4分の3を占めております。(動画1:16:36~1:17:17)

つまり、川口市は「2024年の川口市内の外国人の刑法犯の検挙人数の約4分の3(7割超)が中国・トルコ・ベトナム国籍の人で占められている」と述べている。「2024年の川口市内の刑法犯の約4分の3が外国人」という内容ではない。

判定

川口市内で発生した刑法犯罪の検挙人員の7割が外国人であるかのような主張がXで拡散したが、誤り。「2024年に川口市内で刑法犯罪で検挙された外国人のうち、トルコ・中国・ベトナムの3国籍が7割を占める」というデータを誤って解釈したものだ。

出典・参考

産経新聞.Yahoo!Japanニュース.”川口の外国人犯罪「トルコ国籍比率ずば抜けている」クルド人に追跡された市議が議会で訴え 「移民」と日本人” .https://www.sankei.com/article/20250614-PQJHILEUVZHXNLR4VCPVRZPG2U/,
(閲覧日2025年6月19日)

川口市.川口市議会 議会中継.
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/kawaguchi/WebView/rd/speech.html?council_id=62&schedule_id=4&playlist_id=3&speaker_id=18&target_year=2025, (閲覧日2025年6月19日)

検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら。

もっと見る

高市首相「ウクライナのために増税」? 動画は発言の一部を切り貼り【ファクトチェック】

高市首相「ウクライナのために増税」? 動画は発言の一部を切り貼り【ファクトチェック】

「ウクライナのために増税するって国民の理解得られてるの?」と高市早苗首相を批判する投稿がXで拡散しましたが、誤りです。動画は会議での高市首相の発言の一部を切り張りしたもので、実際には、日本の防衛力強化のために「2027年1月から所得税には1パーセント上乗せになる」と説明しています。ウクライナを支援するために増税するとは述べていません。 検証対象 拡散した投稿 2026年10月26日、「は?ありえないんだけど、、ウクライナのために増税するって国民の理解得られてるの?まじ意味不明なんだけど。ウクライナのために働いてないし、税金はウクライナのためじゃなくて国民のために使うべきだろ。他国の戦争の為に増税って歴史上聞いたことないよ」という投稿が動画とともにXで拡散した。 検証する理由 この投稿は1.8万件以上リポストされ、表示回数は219万回を超えている。「デマです」という反応もあるが、「ウクライナのために増税するのか」などと真に受けたコメントも多数あるため検証する。 検証過程 動画の内容は 拡散した動画は約27秒だ。動画では「戦略3文書の改訂に向け

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
米国の中間選挙でも拡散する「不正選挙」偽情報/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

米国の中間選挙でも拡散する「不正選挙」偽情報/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

トランプ政権の今後にも大きな影響を与える米国の中間選挙。「票が書き換えられる」などの、日本でも定番の偽情報が拡散しています。偽・誤情報の多くは、同じような内容・手口で繰り返し拡散します。事前に知っておくことで、目にしても惑わされにくくなります。 今週のファクトチェックまとめです。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週のファクトチェック フランス暴動の略奪品が路上で販売? マドリードとニューヨークで撮影 「フランスの暴動で略奪された高級ブランド品が、路上で定価の8〜9割引きで販売されている」という投稿が、動画や画像とともにXで相次いで拡散しました。動画はスペイン・マドリード、画像はアメリカ・ニューヨークで撮影されたもので、いずれもフランスで大規模な暴動が起きた10月17日より前に投稿されたものです。 総合的に誤りと判定しました。 フランス暴動の略奪品が路上で販売? マドリード

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
横浜市の原澤敦美・新市長が当選翌日に「朝鮮学校への支援再開を検討」と発言? 発言はしていない【ファクトチェック】

横浜市の原澤敦美・新市長が当選翌日に「朝鮮学校への支援再開を検討」と発言? 発言はしていない【ファクトチェック】

2026年10月の横浜市長選で初当選した原澤敦美氏が、「朝鮮学校への支援再開を検討する」と当選翌日に発言したという投稿が拡散しましたが、誤りです。そのような発言は報じられておらず、また、20日の就任会見で原澤市長は「今の状況を変える必要があるかどうかは考えていない」と述べています。 検証対象 拡散した言説 2026年10月20日、「原沢あつみ 横浜市長当選翌日になって、『朝鮮学校への支援再開を検討します』ステルス共産党かよ!」という投稿がXで拡散した。 検証する理由 10月29日現在、投稿は8000回以上リポストされ、表示は37.8万件を超える。 「そんなこと言ってませんけど?証拠は?」というコメントもあるが、 「やっぱりね」「自民党を保守と思っている人に改めて気がついてほしい」など真に受けた反応が多いため検証する。 検証過程 横浜市は2013年、政治・外交問題を理由に「横浜私立外国人学校補助金交付要綱」を改訂。「趣旨に反すると市長が認めた外国人学校は補助の対象としない」という条項を追加して、2013年度以降は市内の朝鮮学校への補助金を停止し

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
フランス暴動の略奪品が路上で販売? マドリードとニューヨークで撮影【ファクトチェック】

フランス暴動の略奪品が路上で販売? マドリードとニューヨークで撮影【ファクトチェック】

「フランスの暴動で略奪された高級ブランド品が、路上で定価の8〜9割引きで販売されている」という投稿が、動画や画像とともにXで相次いで拡散しました。動画はスペイン・マドリード、画像はアメリカ・ニューヨークで撮影されたもので、いずれもフランスで大規模な暴動が起きた10月17日より前に投稿されたものです。 総合的に誤りと判定しました。 検証対象 拡散した投稿 2026年10月、「フランスで多発している暴動行為に便乗して略奪者達が高級ブランドから略奪した『本物のブランド品』がなんと、定価の9割引きで販売されているらしい」「略奪者達も盗まれないように紐でガードしてる」「フランスの路上販売、盗品の「証拠」に略奪動画」という投稿が動画とともにXで複数拡散した。 検証する理由 2つの投稿の表示回数はそれぞれ90万回を超えている。「ブランドもの9割引き!」「ついさっき盗んできた商品なのかな?」というコメントが多数あるため検証する。 検証過程 フランスでは9月下旬から高校生が教職員不足の解消や老朽化した施設の改善などを求めて学校を封鎖するなどの抗議活動を続けていた

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は11月29日(日)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。 日本ファクトチェックセンター(JFC) ファクトチェック講師養成講座 11月29日(日)開催分日本ファクトチェックセンター(JFC)による講師養成講座です。 講師養成講座(オンラインで90分)を受講いただいた後、修了課題を提出された方には、教室や職場などで利用可能な教材の提... powered by Peatix : More than a ticket.Peatix 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤っ

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験

JFCファクトチェッカー認定試験

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や騙されない人の行動

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)