日本がイスラエル人観光客の入国を禁止? そのような事実はない【ファクトチェック】
日本がイスラエル人観光客の入国を完全に禁止したという英語の投稿が拡散しましたが、誤りです。日本政府からの発表や報道はなく、外務省も「そのような事実はありません」と否定しています。
検証対象
拡散した言説
2026年7月25日、「速報:日本がイスラエル人観光客の入国を完全に禁止した」という英語の投稿がXで拡散した。

19秒の動画が添付してあるが、イスラエル国旗と日本国旗を組み合わせた静止画に、BGMがあるだけで、テロップやナレーションはない。
検証する理由
7月28日現在、投稿は1900回以上リポストされ、表示は49万件を超える。
同様の情報の拡散量を調べるため、Japan、 Israel、 Tourist、 banなど複数のキーワードを組み合わせてソーシャルリスニングツールMeltwaterで調べると、総投稿数は7月28日までの30日間に約2500件あり、拡散のほとんどがXだ。
「またしてもアテンションを集めるためだけの誤情報! 」や「このページはフェイクニュースで悪名高い」など誤情報だという指摘がある一方、「日本が西欧諸国より優れていることを示している」「これが、戦争犯罪者のクソ野郎で臆病者のネタニヤフが選挙で負ける理由だ」など投稿を真に受けた反応もある。
ほぼ同様の情報は、少なくとも2026年1月以降、度々拡散している(例1、2、3)。
検証過程
イスラエルに対して高まる批判
2023年10月、ハマスによる攻撃を受けてイスラエルはガザ地区へ軍事侵攻し、多数の死傷者を出して国際的な批判を浴びた。2025年10月に停戦が発効したものの、その後も散発的な攻撃が続いている(朝日新聞”空爆下のガザ、子ども3千人以上が死亡 イスラエル軍は再び越境作戦”2023年10月27日、BBC”もろい停戦合意……イスラエル軍がガザ中部と南部を攻撃”2025年10月20日)。
さらに2026年2月、アメリカとともにイランを攻撃。世界的に批判の声が高まっている(読売新聞”米国・イスラエルのイラン攻撃「国連憲章に明らかに違反」「戦争犯罪となり得る」…米国際法専門家100人”2026年4月5日)。
イスラエルは査証免除国
日本の外務省ウェブサイトによると、日本は、イスラエルに対して査証免除措置をとっており、イスラエル国籍の人は90日間以内であれば、日本にビザを取らずに滞在できる(外務省「査証免除国・地域(短期滞在)」2025年9月1日)。
7月28日正午現在、日本がイスラエル人観光客の入国を完全に禁止したという発表も報道もない。
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、7月29日、外務省に、日本政府がイスラエル人観光客の入国を禁止したのかを取材した。外務省領事局外国人課は「承知する限り、そういった事実はございません」と明確に否定した。
インドのファクトチェック組織FactCrescendoも、日本の外務省がイスラエルを「90日以下の滞在について査証が免除される国」と掲載していることなどから「誤り」と判定している(FactCrescendo”Viral Claims that China and Japan Have Banned Israeli Tourists is False” 2026年1月21日)。
「宿泊施設がイスラエル人を拒否」という報道
日本国内の宿泊施設がイスラエル人の宿泊を拒否したというニュースは、複数報じられている。
2024年6月、京都市のホテルが、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻を理由にイスラエル人男性の宿泊を断ったとして、同国大使館がホテルに抗議していたと複数のメディアが報じた(読売新聞”ガザ侵攻理由にイスラエル人の宿泊拒否、京都のホテルに大使館が抗議文”2024年6月21日、毎日新聞”京都市のホテル、イスラエル人の宿泊拒否 市が運営会社を行政指導”2024年6月21日)。
2025年12月、長野県内にある宿泊施設の運営会社が、イスラエル人観光客の宿泊を断ったとして、イスラエル大使館が長野県に対し、抗議文書を送ったことがわかったと報じられた(読売新聞”イスラエル人の宿泊、長野の施設が拒否…大使館が県に抗議” 2025年12月17日、TBS NEWS DIG/SBC信越放送”「イスラエル人の宿泊を拒否」長野県内の宿泊施設の運営会社 イスラエル大使館が長野県に抗議 県が運営会社に「口頭注意」”2025年12月17日)。
確かに、ガザへの侵攻を理由に、宿泊施設がイスラエル人観光客の宿泊を断り、イスラエル大使館が抗議したという報道はある。しかし、日本政府が入国を拒んだという内容ではない。
判定
日本がイスラエル人観光客の入国を完全に禁止したという英語の投稿が拡散した。日本政府からの発表や報道はなく、外務省も「そのような事実はありません」と否定しているため、誤りと判定する。
出典・参考
朝日新聞.”空爆下のガザ、子ども3千人以上が死亡 イスラエル軍は再び越境作戦”2023年10月27日.https://digital.asahi.com/articles/ASRBW6R5RRBWUHBI032.html,
BBC.”イスラエル軍、夜通しガザ北部を空爆 戦闘機約100機で”2023年10月28日.https://www.bbc.com/japanese/67236437,
毎日新聞.”イスラエル、多国籍軍で構成「国際安定化部隊」 ガザ入りを承認”.2026年7月27日.https://mainichi.jp/articles/20260727/k00/00m/030/191000c,
読売新聞.”米国・イスラエルのイラン攻撃「国連憲章に明らかに違反」「戦争犯罪となり得る」…米国際法専門家100人”2026年4月5日.https://www.yomiuri.co.jp/world/20260405-GYT1T00034/,
外務省.「査証免除国・地域(短期滞在)」2025年9月1日.https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html,
FactCrescendo.”Viral Claims that China and Japan Have Banned Israeli Tourists is False” .2026年1月21日.https://srilanka.factcrescendo.com/english/viral-claims-that-china-and-japan-have-banned-israeli-tourists-is-false/,
読売新聞.”ガザ侵攻理由にイスラエル人の宿泊拒否、京都のホテルに大使館が抗議文”.2024年6月21日.https://www.yomiuri.co.jp/national/20240621-OYT1T50026/,
毎日新聞.”京都市のホテル、イスラエル人の宿泊拒否 市が運営会社を行政指導”2024年6月21日.https://mainichi.jp/articles/20240621/k00/00m/040/234000c,
読売新聞.”イスラエル人の宿泊、長野の施設が拒否…大使館が県に抗議” 2025年12月17日.https://www.yomiuri.co.jp/national/20251217-GYT1T00092/,
TBS NEWS DIG/SBC信越放送.”「イスラエル人の宿泊を拒否」長野県内の宿泊施設の運営会社 イスラエル大使館が長野県に抗議 県が運営会社に「口頭注意」”2025年12月17日.https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2353032,
検証:根津綾子
編集:古田大輔、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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