熊本地震でインドネシア人が食料を盗んだ動画? 工場が従業員に配ったパン【ファクトチェック】
熊本地震で「インドネシア人がファミリーマートの配送ケースごと食料品を盗んだ」とする動画がXで拡散しましたが、誤りです。大手パンメーカー「フジパン」によれば、動画に映っているのは工場の従業員で、食料品はフジパンが従業員に配布したものです。
検証対象
拡散した投稿
2026年7月28日の熊本地震に関連して、「熊本の被災地でインドネシア人グループがファミマの配送ケースごと窃盗!被災者の”命の食べ物”を奪う許されざる犯行」というテロップが入った動画付き投稿がソーシャルメディアで拡散した。
動画は2分10秒で、前半には、「熊本県の地震被災地で、インドネシア人グループがファミリーマートの配送ケースごと盗むという悪質な窃盗事件が発生した」「ケースの中には多数のおにぎりや惣菜、飲料が入っており、被災地支援のために届けられた命の食品だった」というナレーションとともに、駐車場で休む複数の人物と、おにぎりなどの食料品が入った配送ケースが映っている。
「インドネシア人グループがファミマの配送ケースごと窃盗 !被災者の“命の食べ物”を奪う許されざる犯行」などと、外国人に対する感情的なテロップもついている。

検証する理由
駐車場の男性たちと配送ケースが映った動画は7月31日にも投稿され、1.2万回以上リポストされていた。現在は削除されているが、今回の検証対象のように、同様の動画を編集したものが再拡散しているため、検証する。
検証過程
動画の冒頭では「インドネシア人グループがファミマの配送ケースごと窃盗」などと、ナレーションが続く。後半は日中戦争について話す女性の映像で「日本兵は村人を殴らなかった」などと、日本軍を肯定して中国への反感をあおる内容に切り替わる。
NHKは「インドネシア人が盗んだ」という動画に関して検証しており、動画に写っている場所を大手パンメーカー「フジパン」熊本工場の駐車場と特定。フジパンに取材して「盗難の事実はない」と報じている(NHK”熊本地震 外国人がコンビニの食料品窃盗?偽情報に注意")。
撮影された場所は
拡散した動画の10秒時点に建物が映っている。NHKの報道も参考にして建物をGoogleマップで検索すると、熊本県宇城市にあるフジデリカ九州工場付近にある運輸会社と一致する。ストリートビューを確認すると、フジパンと書かれたトラックが多数停まっている。
フジパン「緊急的に食糧として配布したもの」
日本ファクトチェックセンター(JFC)は8月6日、フジパングループ本社に取材した。
フジパンは、撮影場所は九州フジパン熊本工場の寮の駐車場であると認めたうえで、「動画に映っている外国人の方々は、九州フジパン熊本工場に所属するインドネシア国籍の技能実習生及び特定技能生」と説明。
投稿された動画について、「震災発生後、熊本工場の寮の駐車場で従業員が休憩している様子を撮影したもので、動画に映り込んだ商品についても、店舗から盗んだものではなく、緊急的に従業員へ食糧として配布したものであると確認しております」と回答した。
また動画の拡散について「事実と異なる情報の拡散は、関係者の名誉や信用を傷つけるおそれがあるほか、従業員本人及びその家族、関係先にも大きな影響を及ぼす可能性があります」「当社としては、引き続き事実関係に基づき適切に対応するとともに、関係者の人権及びプライバシーにも配慮してまいります」ともコメントしている。
判定
拡散した動画に映っているのはフジパン熊本工場の従業員で、配送ケースの食料品は納品ができなかったため、フジパンが従業員に配布したものだ。フジパンは「窃盗の事実はない」と説明しており、「インドネシア人グループが配送ケースごと盗んだ」とする投稿は誤りと判定した。
検証:木山竣策
編集:古田大輔、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら。