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海外にまたがる検証ーー当事者や公的機関に広く確認しても、突破できなかった壁とは【ファクトチェックの舞台裏】

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海外にまたがる検証ーー当事者や公的機関に広く確認しても、突破できなかった壁とは【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証作業の舞台裏を語るコラム。第4回は、取材先が国内外にまたがり、検証が難しかった事例を紹介します。どうやって公開にこぎつけたのか、なぜ記事に出来なかったのかを振り返ります。 大使館から学校まで個別に当たって記事に 2023年4月、「朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる」という投稿が拡散しました。 JFC ”朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる?【ファクトチェック” JFCは、米国大使館や米国務省に投稿の真偽を聞き、法律や制度も含めて取材しましたが、はっきりとした回答は得られませんでした。そこで、北朝鮮の団体や学校関係者にも取材したところ、神奈川朝鮮中高級学校では、過去10年間に少なくとも4人が米国に留学していることがわかりました。 「アメリカに留学できなくなる」という投稿を「誤り」と判定することも検討しましたが、学校が取材に対して「理由の詳細はわからないが、ビザが下りなかったケースもある」とも説明したため、「不正確」と判定しました。 検証をする時、公的機関などへ取材するだけではわ

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
参院選ファクトチェック記事182本を分析/JFC検証9本など【今週のファクトチェック】

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参院選ファクトチェック記事182本を分析/JFC検証9本など【今週のファクトチェック】

2025年参院選に関するファクトチェック記事は、2024年衆院選から5倍超に急増しました。今週の解説記事で書きましたが、新聞社やテレビ局が本格的に始めたのが大きな要因です。同時にそれだけ多くの誤情報が選挙で流れるようになっているという証でもあります。 選挙期間中のファクトチェックは民主主義にとって非常に重要ですが、誤情報は短い選挙のときだけ流れているわけではありません。むしろ、圧倒的に多くの誤情報は、選挙期間以外に拡散し、それが日本の世論や政党の人気に影響を与えています。(古田大輔) ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
参院選ファクトチェック計27本/政治系人気動画の解説も【今週のファクトチェック】

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参院選ファクトチェック計27本/政治系人気動画の解説も【今週のファクトチェック】

いよいよ2025年参院選の投開票日です。日本ファクトチェックセンター(JFC)はファクトチェック記事27本、解説記事2本を出しました。間違った情報に基づいて投票しないためにも、ぜひ参考にしてください。 今週の解説記事の最後に書きましたが、私達に投票の権利があるのは、当然でも偶然でもありません。私達の先達が戦い、勝ち取ってきた権利です。適切に行使できなければ、いつか制限されてしまう危険性もあるものです。 世界で民主主義が後退する局面だからこそ、選挙の重要性は今まで以上に高まっています。(古田大輔) ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
参院選ファクトチェックが続々と/検証10本・関連10本など【今週のファクトチェック】

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参院選ファクトチェックが続々と/検証10本・関連10本など【今週のファクトチェック】

参院選に関するファクトチェック記事が日本ファクトチェックセンターだけでなく、新聞やテレビなど各社から続々と出ています。まとめて読むには、ファクトチェック・イニシアティブのサイトやスマートニュースのファクトチェックタブが便利です。投票前にぜひ参考にしてください。(古田大輔) ※冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回は初めての平日開催です。7月22日(火)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 JFCファクトチェック講師養

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
「国籍」を検証する難しさ【ファクトチェックの舞台裏】

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「国籍」を検証する難しさ【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)が様々な話題について検証する中で、毎回手こずるのが「決定的な証拠は本人しか出せない」という事例です。本人に聞くしかないけれど、本当のことを言うとは限らない。第3回は、当事者にしかわからない「国籍」について、検証できた例と、掲載を見送った例を紹介します。 国籍に関わる偽・誤情報 検証対象としてよく挙がるテーマの一つに、「国籍」に関する偽情報や誤情報があります。 たとえば、著名人について「〇〇人だ」とする投稿や、「〇〇の土地が△△人に買い占められた」「事件の犯人は〇〇人だった」といったものです。こうした投稿の中には、外国人への偏見や差別をあおるような内容も少なくありません。 こうした情報を検証するのは簡単ではありません。一般人の国籍を確認するには、極端に言えば、本人から戸籍謄本などの公式な書類を見せてもらわない限り、はっきりとわからないからです。また、「〇〇を買い占めた」というような情報も、信頼性の高いデータの入手が困難です。 ビザの画像が裏付けに 有田氏“北朝鮮籍”説の真偽を検証 まずは検証できた事例です。2024

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
検証か見送りか、あいまいな投稿の判断【ファクトチェックの舞台裏】

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検証か見送りか、あいまいな投稿の判断【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、これまでに700本を越えるファクトチェック記事を公開してきました。その裏には、公開に至らなかった原稿や出せなかった素材も多くあります。そうした「記事未満」の中にも、私たちの迷いや判断が詰まっています。 このコラムでは、「どう検証したか」「どこで迷ったか」といった舞台裏をわかりやすくお伝えします。情報を見極めるヒントになれば幸いです。 今回は第1回に続き、「あいまいな投稿をどのように検証しているか」をテーマに、掲載を見送った事例も交えてご紹介します。 トランプ氏の「におわせ」発言→「誤り」 2024年12月、トランプ氏が米大統領に就任する前に出演したテレビ番組で、ワクチン接種が自閉症の増加につながったかのような発言をしました。 JFC” ワクチンで自閉症の発生率が増加?トランプ氏が過去の誤情報を再び拡散【ファクトチェック】” トランプ氏は番組で、子どもへのワクチン接種に関して「25年前は自閉症の発生率が10万人に1人ほどだったのが、今では100人に1人近くに増えた」と話しました。明確には言い切っていませんが、文脈からワク

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
写真に一言「気持ち悪すぎだろ」と書くだけで拡散する偽・誤情報 何をどう検証したのか【ファクトチェックの舞台裏】

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写真に一言「気持ち悪すぎだろ」と書くだけで拡散する偽・誤情報 何をどう検証したのか【ファクトチェックの舞台裏】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は設立から2年半あまり、700本を超えるファクトチェック記事を公開してきました。一方で、検証を進めたものの、記事として公開に至らなかったものも数百本あります。日本でもファクトチェックに取り組む組織や個人が増えつつあります。そうした流れの中で、私たちは検証の舞台裏や、判断が難しいケース、世界で行われている新たな手法などを紹介するコラムを始めることにしました。 各コラムでは「どう検証したか」「どこで迷ったか」「どんな工夫をしたか」「なぜ掲載を見送ったか」など、編集の舞台裏を紹介します。現場の悩みも交えながら、やわらかくお伝えできればと思います。情報を見極めるヒントになれば幸いです。 第1回は、投稿の内容があいまいな場合、どのように検証対象とするかについて書きます。 曖昧な言葉と闘うファクトチェックの裏側 たとえば、「また、ワクチンで医師と看護師が1か月で〇〇人死亡。危険」という投稿があったとします。これは新型コロナワクチンの危険性を訴えているようにも読めますが、「新型コロナ」という言葉自体は使われていないため、具体的に何を

By 藤森かもめ(Kamome Fujimori)
参院選開始、各社が続々とファクトチェック/検証5本・関連15本など【今週のファクトチェック】

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参院選開始、各社が続々とファクトチェック/検証5本・関連15本など【今週のファクトチェック】

参院選が始まりました。昨年の兵庫県知事選を受けて、多くの新聞やテレビなどの報道機関がファクトチェックの取り組みを始め、次々と記事が出ています。対象には、ネットに拡散している真偽不明の言説もあれば、候補者や政党の発信もあります。多くの研究によって、人は誤った情報を目にしてもそれが間違っていると気が付かないということがわかっています。誤った情報に基づいて投票したり、棄権したりすることは民主主義を歪めます。日本ファクトチェックセンターでも、積極的に検証・解説記事を出していきます。(古田大輔) ※冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催していま

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
世界のファクトチェッカーの年次総会がリオで開催/検証7本・関連11本など【今週のファクトチェック】

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世界のファクトチェッカーの年次総会がリオで開催/検証7本・関連11本など【今週のファクトチェック】

世界中のファクトチェッカーが集まる年に1度の総会「グローバルファクト」第12回大会がブラジル・リオデジャネイロで開かれました。筆者(古田)は第9回から4年連続の参加。3日間にわたる会合で主なテーマになったのは、アメリカのトランプ第2次政権誕生後のファクトチェックへの逆風、経済的な支援が細る中で、いかに生き残るか、そしてAIをいかに活用するかでした。今後、解説記事で内容を紹介していきます。(古田大輔) ※冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提

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東京都議選、新聞やテレビの偽・誤情報対策は/検証10本・関連14本【今週のファクトチェック】

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東京都議選、新聞やテレビの偽・誤情報対策は/検証10本・関連14本【今週のファクトチェック】

東京都議選はいよいよ投開票日。先週のミニコラムで指摘したように、偽・誤情報は懸念したほどは広がっていません。ただし、読売新聞が指摘したように、ショート動画の量は増える傾向にあり、ソーシャルメディアが選挙に一定の影響を及ぼす構図は続いています。新聞社やテレビ局のファクトチェック強化や「情報の空白」を埋める試みは、続く参院選などで真価を試されるでしょう。(古田大輔) ※冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回は初めての平日開催で

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東京都議選、偽誤情報の影響は/検証5本・関連18本【今週のファクトチェック】

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東京都議選、偽誤情報の影響は/検証5本・関連18本【今週のファクトチェック】

東京都議選が始まりました。2024年の兵庫県知事選をきっかけにネット上の真偽が不確かな情報が投票に大きな影響を与えることが日本でもようやく認識されるようになり、新聞社やテレビ局などもファクトチェックを始める動きが出ています。ただ、一人を選ぶ大統領選型の知事選と異なり、都議選のように候補者も当選者も多い選挙では、対決型の構図が作りにくく、偽・誤情報も何か1つの大きなナラティブ(物語の語り口)を形成するというよりは、様々なテーマが同時多発的に広がり、検証対象を選びにくくなりがちです。選挙結果だけではなく、そのような選挙の信頼性・正当性を貶めるような情報にどのように対応していくかも注目されます。(古田大輔) ※今週から冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら

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SNS規制法で消される標的?ひろゆき氏に関する偽記事など検証5本/ディープフェイクの検証を解説/関連記事11本【今週のファクトチェック】

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SNS規制法で消される標的?ひろゆき氏に関する偽記事など検証5本/ディープフェイクの検証を解説/関連記事11本【今週のファクトチェック】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、新聞協会有志社による選挙のファクトチェックに協力することを発表しました。真偽検証の担い手拡大に貢献していきます。今週の解説ではインドで生成AIによるディープフェイクの検証を専門にしている団体に、傾向や対策を聞きました。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は6月21日(日)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシー

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
AIによる偽情報を世界の専門家はどう検証しているか インドDAUが語るディープフェイク最前線

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AIによる偽情報を世界の専門家はどう検証しているか インドDAUが語るディープフェイク最前線

実物と見紛う偽の映像や音声などをAIで作る「ディープフェイク」。世界中のファクトチェック団体が検証に取り組んでいますが、爆発的に増えている上に、技術の進歩で人間の目では見極めが難しいものも出てきています。ディープフェイクの検証に専門的に取り組んでいるインドの団体に話を聞きました。 組織を超えた協力で生まれた「ディープフェイク分析班」 インドで活動するDeepfakes Analysis Unit(ディープフェイク分析班、DAU)は2024年の総選挙をきっかけに誕生しました。ジャーナリストや技術者など、多様な人材の知見を生かして、インド国内のみならず、世界中のディープフェイクの検証をサポートしています。 元々、インドには偽/誤情報対策に取り組むファクトチェック団体やメディアなど13団体(2025年6月現在)で構成する民間組織「Misinformation Combat Alliance(誤情報対策同盟、MCA)」がありました。 DAUはMCAの関連組織として、Metaの支援を受けて誕生。現在は3名の事務局と数名の技術チーム、インド内外の研究機関と連携して、解

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
新聞協会有志社によるファクトチェックにJFCが協力

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新聞協会有志社によるファクトチェックにJFCが協力

日本ファクトチェックセンター(運営:一般社団法人セーファーインターネット協会、以下JFC)は、この度、佐賀新聞社、時事通信社、日本テレビ放送網、読売新聞社の4社が実施する「選挙に関する情報を対象とした共同のファクトチェック」に協力することとなりました。 設立から3年弱で約700本の検証記事を公開してきた経験を活かし、4社のファクトチェックに関して検証方法や判定方法などの助言をさせていただきます。ファクトチェックの担い手の多様化に貢献できますことを、大変光栄に思っています。

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
小泉大臣のコメ発言捏造、国会議員の所得税は0.18%?、期日前投票は本人確認不要?など検証5本/「切り抜き」批判を解説/関連記事14本【今週のファクトチェック】

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小泉大臣のコメ発言捏造、国会議員の所得税は0.18%?、期日前投票は本人確認不要?など検証5本/「切り抜き」批判を解説/関連記事14本【今週のファクトチェック】

注目を集めているコメ問題について、こちらも注目を集める小泉進次郎農水大臣の発言の捏造が目立ちます。発信源の多くはまとめサイトです。発言の切り取りや切り貼りは、偽・誤情報で多く使われる手法の1つですが、問題となる事例とならない事例の違いは何か。報道が取りうる対策も含めて解説しました。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は6月21日(日)午後2時~3時半で、お申し込みはこちら。 JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックや

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
西田発言から考える「切り取り」による歪曲とは 全文や出典を示す重要性【解説】

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西田発言から考える「切り取り」による歪曲とは 全文や出典を示す重要性【解説】

政治家の発言などが物議を醸すたびに、逆にそれを報じたマスメディアに浴びせられるのが「切り取り報道」という批判です。しかし、誰かの発言を伝えるときに、文字数などの制限から全文ではなく一部を引用するのは一般的です。問題は切り取りで発言の意味が変わるか。2025年5月に話題になった自民党の西田昌司参院議員の沖縄に関する発言を例に、批判に対してメディアが取れる対策を解説します。 意味を歪曲する「切り取り」の事例 まず、恣意的で発言の意味を歪曲する「切り取り」の事例を紹介します。これは偽・誤情報を作る手法として、一般的なものです。 佐藤正久・参院議員の「JAL123便は自衛隊が撃墜」発言? 2025年4月、自民党の佐藤正久参院議員が「日航機墜落は自衛隊の誤射によるものと発言した」という投稿が拡散しました。 佐藤氏が参議院外交防衛委員会で「自衛隊の標的機がJAL123便を撃墜してしまった」と発言したことは事実です。しかし、これは根拠なき陰謀論を書いている本があることを紹介するための発言で、佐藤氏は続けて「自衛隊への名誉棄損だ。拡散を止める具体的な手立てを」と述べて

By 古田大輔(Daisuke Furuta)