横浜市の原澤敦美・新市長が当選翌日に「朝鮮学校への支援再開を検討」と発言? 発言はしていない【ファクトチェック】

横浜市の原澤敦美・新市長が当選翌日に「朝鮮学校への支援再開を検討」と発言? 発言はしていない【ファクトチェック】

2026年10月の横浜市長選で初当選した原澤敦美氏が、「朝鮮学校への支援再開を検討する」と当選翌日に発言したという投稿が拡散しましたが、誤りです。そのような発言は報じられておらず、また、20日の就任会見で原澤市長は「今の状況を変える必要があるかどうかは考えていない」と述べています。

検証対象

拡散した言説

2026年10月20日、「原沢あつみ 横浜市長当選翌日になって、『朝鮮学校への支援再開を検討します』ステルス共産党かよ!」という投稿がXで拡散した。

検証する理由

10月29日現在、投稿は8000回以上リポストされ、表示は37.8万件を超える。

「そんなこと言ってませんけど?証拠は?」というコメントもあるが、 「やっぱりね」「自民党を保守と思っている人に改めて気がついてほしい」など真に受けた反応が多いため検証する。

検証過程

横浜市は2013年、政治・外交問題を理由に「横浜私立外国人学校補助金交付要綱」を改訂。「趣旨に反すると市長が認めた外国人学校は補助の対象としない」という条項を追加して、2013年度以降は市内の朝鮮学校への補助金を停止している(朝鮮新報”良心に従って補助金の支給再開を/朝鮮学校関係者らが横浜市に要望”2024年10月7日、カナロコ”「官製ヘイト」やめて、横浜市に直訴 朝鮮学校への補助金停止に生徒3人”2025年6月11日、神奈川県弁護士会”横浜市及び川崎市に対し、学校法人朝鮮学園に対する、補助金予算の執行停止 及び予算の減額の措置を見直すことを求める会長声明”2015年06月12日更新)。

当選後の発言内容

原澤市長は2026年10月20日に初登庁した(朝日新聞”横浜市の原沢敦美・新市長が初登庁 「誰かに忖度したら市長失格」”2026年10月20日、東京新聞”圧勝した原沢敦美・横浜市長が初登庁 惨敗した立憲民主の関係者から恨み節「原沢さんに乗っておけば…」”2026年10月21日)。

同日の定例会見で、原澤市長は、記者から朝鮮学校について質問を受け、下記のように答えている。会見内容は、横浜市のウェブサイトでも確認できる。該当部分は動画の11分29秒から始まる。

(以下、会見記録を引用)

「ARC TIMES 尾形:

朝鮮学校への補助金の話、再開についてですね、前向きに検討するというような報道が出ていますけれども、そこはどうなんでしょうか。

市長:

前向きに検討すると言ったことは、おそらく1度もなく。

ARC TIMES 尾形:

お考えをお聞かせください。

市長:

まず、朝鮮学校の子どもたちに対してということであるならば、国籍に問わず、全ての子どもが平等に教育を受ける権利はあると思っています。なので、子どもの権利、教育を受ける権利を奪うつもりは一切ございません。

ただ、補助金ということになると、また別の観点からの視点が必要となると思いますので、そもそも私、弁護士なので、憲法89条で、公の支配に属さない、文言はちょっと違うと思うんですが、意味としては、公の支配に属さない教育事業に対しては、公金を投じてはならないっていう条文があるので、もし、その朝鮮学校なり、その対象が公の支配に属しないということになれば、そもそも公金を投入することは違憲ということになってしまうので、まずそこを確認する必要があるということと、公の支配には属してますということになったら、公金出してもいいよですよという段階に入ってくると思うんですけど、じゃあ出すか出さないかっていうのはまた判断が必要で、税金ですし、それは使途とかしっかり市民の皆様にちゃんと開示していく必要があるので、それができる団体なのかっていうことも確認をして、出すか出さないか、何段階にも出すに至っては、ステップバイステップで検討していく必要があることなので、当然今までに前向きだと言ったこともないですし、今の段階で出してないことももちろん知っているんですけれども、おそらくそういう判断で出してないのかなと思っているので、もし違うんだったら出すという検討もあるのかもしれないですが、今の段階では、そういう過去の判断がそういうふうに今言ったようなシステムで流れてきて出さないということなのかなと理解しているので、特別今の状況を何か変える必要があるのかどうかっていうのは考えていないところです」(引用以上)

(横浜市”市長定例記者会見(令和8年10月20日)”)

つまり、原澤市長は就任会見で、「前向きに検討すると言ったことはおそらく一度もなく」「今の状況を何か変える必要があるのかどうかは考えていない」などと発言している。拡散した投稿が主張する「朝鮮学校への支援再開を検討します」とは発言していない。

10月28日、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、原澤市長が就任以降、朝鮮学校への補助金について発言しているか、横浜市報道課に取材した。担当者は「当課で把握しているものは、市のサイトの会見記録の内容のみです」と回答した。

発端は10月5日のネット討論会?

一方で、原澤氏は選挙期間中の10月5日、選挙ドットコムの「横浜市長選挙 ネット討論会」で、朝鮮学校について発言している。

共産党公認候補あさか由香氏の「外国籍の子供にも教育を受ける権利があるという認識はあるか」「朝鮮学校への補助金停止は国際情勢を理由としたものですが、国際情勢を理由に子供たちの学ぶ権利を犠牲にしても良いという考えか」という質問に対し、原澤氏は以下のように回答している。

(以下引用)

原澤氏回答45:38~

「まずは外国籍の子供たちに対しての教育ですけれども、日本において外国人、あの横浜にいる人に対しては税金を払ってしっかりやっていいのであればちゃんと教育を受ける権利はあると思います。外国人の子供たちも同じ横浜で生活する人としてあの同じように権利を受ける、あの教育を同じように平等に受ける権利はあると考えます。朝鮮学校に関しましては一概にあの、ま、あるとは思うんですけれども、それ以外のデメリット、なぜあのその援助をやめたかというところももう少し不勉強で申し訳ないんですけれども、その理由をしっかり見極めてそれが正しいものなのか悪いものなのかというのをそのやめた理由も考えて再検討する必要はあるとは思いますが、基本的には横浜に住んでいる子どもたちですので平等に教育は受けさせてあげたいとそのように考えます」

(引用以上)

(選挙ドットコムちゃんねる”【10/5(月) 20時から】横浜市長選挙ネット討論会|選挙ドットコムちゃんねる”2026年10月5日ライブ配信45:38~46:39)。

ネットの討論会では「教育を平等に受ける権利はある」と前置きした上で、朝鮮学校について「(援助を)やめた理由も考えて再検討する必要はあるとは思います」と述べている。しかし、「朝鮮学校への支援再開を検討します」とは発言していない。

判定

原澤氏が朝鮮学校への支援再開を検討すると当選の翌日に発言した、という投稿が拡散した。当選後に行われた就任会見で原澤市長は、「今の状況を変える必要があるかどうかは考えていない」と述べており、支援再開を前向きに検討する姿勢は見えず、拡散した投稿の内容と一致する発言は見つからなかった。よって、誤りと判定する。

出典・参考

朝日新聞.”横浜市の原沢敦美・新市長が初登庁 「誰かに忖度したら市長失格」”.2026年10月20日.
https://digital.asahi.com/articles/ASVBN31LYVBNULOB001M.html,(閲覧日2026年10月26日).

東京新聞.”圧勝した原沢敦美・横浜市長が初登庁 惨敗した立憲民主の関係者から恨み節「原沢さんに乗っておけば…」”.2026年10月21日.https://www.tokyo-np.co.jp/article/522908,(閲覧日2026年10月26日).

朝鮮新報”良心に従って補助金の支給再開を/朝鮮学校関係者らが横浜市に要望”2024年10月07日.https://chosonsinbo.com/jp/2024/10/07-132/,(閲覧日2026年10月26日).

カナロコ”「官製ヘイト」やめて、横浜市に直訴 朝鮮学校への補助金停止に生徒3人”.2025年6月11日.https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1179753.html,(閲覧日2026年10月26日).

神奈川県弁護士会”横浜市及び川崎市に対し、学校法人朝鮮学園に対する、補助金予算の執行停止 及び予算の減額の措置を見直すことを求める会長声明”2015年06月12日更新.
https://www.kanaben.or.jp/profile/gaiyou/statement/2015/post-214.html,(閲覧日2026年10月26日).

ANNnewsCH.”【ライブ】原澤敦美新市長が就任記者会見|横浜市で2人目となる女性市長【LIVE】(2026年10月20日) ANN/テレ朝”.2026年10月20日ライブ配信.
https://www.youtube.com/live/OcHK878-b2s?si=q1MUEp3m5WtSgt5f,(閲覧日2026年10月26日).

横浜市.”市長定例記者会見(令和8年10月20日)”.
https://www.city.yokohama.lg.jp/mayor/kishakaiken/kaikenyoshi/2026/20261020.html,(閲覧日2026年10月26日).

選挙ドットコムちゃんねる.”【10/5(月) 20時から】横浜市長選挙ネット討論会|選挙ドットコムちゃんねる”.2026年10月5日 ライブ配信 44:24~46:39 https://www.youtube.com/watch?v=f0Ea4k93QiM, (閲覧日2026年10月26日).

検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、松田史朗


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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