政治家だけ相続税0円? 申告や納税はすべての人が対象、ただし課税回避の批判も【ファクトチェック】

政治家だけ相続税0円? 申告や納税はすべての人が対象、ただし課税回避の批判も【ファクトチェック】

「政治家だけ相続税0円」という投稿が拡散しましたが、不正確です。政治家個人の財産には、一般の人と同じように相続税がかかります。ただし、政治団体を介して資金を引き継ぐことが「課税回避」ではないかという批判もあります。

検証対象

拡散した投稿

2026年3月19日、「政治家だけ相続税は0円」と書かれた画像が拡散した。

検証する理由

2026年3月26日現在、この投稿は7200件以上リポストされ、表示回数は22万回を超える。投稿について「なんでそうなる⁉️」「え!!(◎_◎;)そうだったの!?おかしいよね」というコメントの一方で「資産持ってれば相続税掛かるけど」という指摘もある。

検証過程

相続税とは

相続税とは、亡くなった人(被相続人)から、現金や土地などの財産を受け継いだ際に、その取得した財産に対してかかる税金のことだ。

相続した財産が基礎控除額を超える場合は相続税がかかり、相続税の申告および納税が必要となる(国税庁.”No.4102 相続税がかかる場合”)。

国税庁「基礎控除を超えれば、相続税の申告や納税が必要」

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、国税庁に取材した。国税庁は「個々のご意見やご主張について、コメントする立場にはありません」と前置きしたうえで「一般論では政治家の方であってもなくても、相続等により取得した財産が、基礎控除を超えれば、相続税の申告や納税が必要となります」と回答した。

つまり、政治家であってもなくても、相続税は申告や納税が必要となる。

政治団体を介した事実上の「課税回避」も

一方で、拡散した投稿には「政治資金に相続税はかかりません」「政治団体に移した時点で税金取りましょうよ」といった、政治団体や政治資金を使った「課税回避」を指摘するコメントもある。

政治団体とは、政治理念の推進や特定候補者の支援などを目的とする組織のことだ。国会議員の政策研究団体や政治資金団体、1000万円以上の政治資金パーティーを開く団体などが政治団体とみなされる(総務省.”なるほど!政治資金 政治団体とは”)。

政治家個人の財産については相続税の対象となる。しかし、政治団体が寄付やパーティーで集めた政治資金は、原則として課税されない。そのため、代表者の名義を代えたり、政治団体間で資金を移したりすることで、相続税や贈与税を払わずに資金を引き継ぐことができる。これは、事実上の「課税回避」ではないかという批判がある。

2022年7月、亡くなった安倍晋三元首相の政治団体を妻の昭恵氏が引き継ぎ、2億円超の政治資金を非課税で継承した際にも批判が出た(日本経済新聞.”政治資金、非課税の「特権」認識薄く 世襲優遇に直結”)。

この問題に対して2024年12月、当時の野党5党は、国会議員が引退や死亡した際に親族へ政治団体や政治資金を引き継ぐことを禁止する政治資金規正法改正案を提出したが、可決はしていない(立憲民主党.”【政調】「政治資金世襲禁止法案」を野党5党で衆院に提出 - 立憲民主党”)。

判定

政治家であってもなくても、相続税の申告や納税は必要だ。ただし、政治家が政治団体を介して資金を移すことが事実上の課税回避だという批判はある。よって、不正確と判定した。

出典・参考

国税庁.”No.4102 相続税がかかる場合”.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm ,(閲覧日2026年3月26日)

総務省.”なるほど!政治資金 政治団体とは”.https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/naruhodo04_2.html ,(閲覧日2026年3月26日)

日本経済新聞.”政治資金、非課税の「特権」認識薄く 世襲優遇に直結”.https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA223XU0S3A221C2000000/ ,(閲覧日2026年3月26日)

立憲民主党.”【政調】「政治資金世襲禁止法案」を野党5党で衆院に提出 - 立憲民主党”.https://cdp-japan.jp/news/20241209_8581 ,(閲覧日2026年3月26日)

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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