外国人犯罪が急増している? 2005年から減少が続き、コロナ後に入国再開などで増加【#参院選ファクトチェック】

外国人受け入れが参院選の争点の一つとなる中で「外国人犯罪が急増している」という投稿が拡散していますが、ミスリードで不正確です。実際には外国人の検挙件数は2005年から減少傾向が続き、新型コロナウイルスの影響が一段落した2022年の入国再開の頃から来日外国人の増加とともに検挙件数も増え、ほぼコロナ前の水準となっています。
検証対象
参院選で外国人受け入れが争点の一つとなる中で「外国人犯罪が急増」「外国人の凶悪犯罪が増えた」などの投稿が複数のプラットフォームで拡散している(例1,2,3)。

検証過程
外国人犯罪は減少傾向から増加
法務省が公開している犯罪白書の最新版(令和6年版)の第4編第9章「外国人による犯罪・非行」に外国人の犯罪に関するデータがまとまっている。
第2節「犯罪の動向」によると、来日外国人(永住者など除く)による刑法犯の検挙件数は2005年3万3037件をピークに減少傾向が続き、2022年に8548件とピークの3割を切った。一方で、2023年は1492件増えて1万40件(前年比17.5%増)だった(法務省”令和6年度 犯罪白書”)。

外国人自体の増加
外国人による犯罪が一転して増加した背景の一つが、外国人自体の増加だ。外国人の新規入国者は新型コロナウイルスの感染拡大防止のために2020年は前年比87.4%減の358万人、2021年は同95.8%減の15万人と激減していた。
2022年3月以降は水際対策の段階的緩和で回復し、2022年は前年の22.6倍、2023年はさらに6.9倍の2375万人とコロナ前の8割の水準まで回復した。在留外国人も2023年は341万人(前年比10.9%増)の過去最多だった(いずれも法務省”令和6年度 犯罪白書第4編第9章「外国人による犯罪・非行」 ”)。
2023年の外国人刑法犯が増えているのは事実だが、来日も含めて外国人数の回復と増加とあわせて、検挙件数としては新型コロナ前の水準に戻った形だ。
参政党議員発言を沖縄タイムスが検証
外国人の犯罪については、沖縄タイムスが参政党の吉川里奈衆院議員の「外国人の重要犯罪増」という街頭演説での発言をファクトチェックし、「ミスリード」と判定している。
重要犯罪(殺人、強盗、放火、不同意性交、略取誘拐・人身売買、不同意わいせつ)に関する外国人の検挙数は2024年に754件で、10年間で75%増えているが、在留外国人の増加率とほぼ等しいことなどを判定の理由に挙げている。(沖縄タイムス”「外国人の重要犯罪増」はミスリード 「不起訴率が右肩上がり」は誤り 参政党・吉川里奈衆院議員の街頭演説【ファクトチェック】”)
判定
「外国人犯罪が急増している」はミスリードで不正確。2023年は前年比で17.5%増えているのは事実だ。ただし、2005年から減少傾向が続く中で、新型コロナ後に訪日外国人が急回復し、在留外国人も過去最多を記録して、検挙件数としてはコロナ前の水準に戻った形だ。
出典・参考
法務省”令和6年度 犯罪白書”https://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00134.html(閲覧日2025年7月14日)
沖縄タイムス. ”「外国人の重要犯罪増」はミスリード 「不起訴率が右肩上がり」は誤り 参政党・吉川里奈衆院議員の街頭演説【ファクトチェック】”2025年7月10日. https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1624023(閲覧日2025年7月14日)
検証:古田大輔
編集:根津綾子
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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