期日前投票には本人確認が不要? 投票日と同じ確認手順【ファクトチェック】

期日前投票には本人確認が不要? 投票日と同じ確認手順【ファクトチェック】

期日前投票には本人確認が不要だという情報が拡散しましたが、不正確です。期日前でも投票日と同じ手順で本人確認をしています。

検証対象

2025年5月18日、「期日前投票は本人確認不要との事です。外人や在日が不正を行える余地がある……」という情報が拡散した。

この投稿は2025年5月27日現在、40万件以上の閲覧回数と3700回以上のリポストを獲得している。

検証過程

期日前投票とは

期日前投票は、仕事や旅行などの事情で、投票日に投票できない人向けの制度だ。

告示日または公示日の翌日から投開票日(選挙期日)の前日まで、各市区町村に設置される期日前投票所で投票できる(以上、総務省「期日前投票制度の概要」)。

投票所入場券を使った本人確認

自治体は投票日前に、有権者に対して「投票所入場券」を世帯ごとに送る。この入場券を投票所の受付で出すと、選挙管理委員会が選挙人名簿照合して本人確認する。

確認が取れたら、入場券と引き換えに投票用紙を渡され、投票する流れだ仕組みだ(以上、総務省「投開票の基本的な流れ」)。

ただし、この際の本人確認で顔写真付きの身分証明書の提示などは義務付けられていない。確認方法は生年月日の確認など様々だ。

国会でも「顔写真付き身分証明書などの提出義務化を政府として検討したことがあるか」という質問に対し、「義務化を検討したことはない」という答弁書が出ている(衆議院第216国会質問の一覧「衆議院議員北野裕子君提出投票所における本人確認に関する質問に対する答弁書」)。

投票所入場券がない場合は

投票所入場券がない場合は、別の方法で本人確認をすることで投票が可能だ。総務省のウェブサイトには次のように書かれている。

「入場券がなくても投票はできますが、本人確認にお時間がかかる場合があります。マイナンバーカードや運転免許証等の本人確認書類をご持参いただければ、スムーズに本人確認が行えます」(総務省「投票」)

具体的には、選挙人名簿と照合するため、氏名・住所などの確認や、運転免許証やマイナンバーカードなどの提示が必要となっている(NHK「『入場券忘れた』『体調崩した』そんなときは?」、総務省「投票所入場券の活用について」)。

これらは期日前投票でも投票日でも同様で、「期日前投票は本人確認不要」ということではない。

「確認不十分」の指摘も

国会でも質問が出ているように、本人確認をより厳密にすべきではないかという議論はある。全国でミスが発生しているからだ。

2024年の衆議院総選挙と最高裁判所裁判官国民審査(10月27日投開票)の期日前投票では、神奈川県綾瀬市の市選挙管理委員会が、投票券を持たない外国人に別人の投票用紙を交付するミスがあった。

市選管は、投票所入場券の送付遅延によって投票所入場券なしでの投票を認めたこと、期日前投票用請求書兼宣言書の確認不足が誤交付の原因だとしている(綾瀬市「期日前投票所における投票用紙の誤交付について」)。

外国籍の別人が期日前投票用請求書兼宣誓書に記入した氏名は有権者本人と異なっていたものの、生年月日が一致していたため、誤って交付したという(産経新聞「外国籍市民に衆院選投票用紙を誤交付 神奈川・綾瀬市選管 生年月日の同じ有権者と勘違い」)。

市選管によると、10月24日に投じられた別人の票は、10月26日に投票した有権者本人の票とともに有効票として処理された。

総務省は、選挙のたびに管理執行上の問題を調査し、その結果を公表している。2022年の参院選の際は「本人確認誤り等」が27件発生した。

内訳は、「本人確認を十分行わないまま、本来投票できない者に対し投票用紙を交付した(8件)」、「既に期日前投票済又は当日投票済の選挙人が、再度期日前投票所又は当日投票所を訪れた際に、投票用紙を交付した(7件)」、「本人と家族の分の投票所入場券を持参した選挙人に対して、投票用紙を交付した(4件)」などだ(総務省 「令和4年7月10日執行 参議院議員通常選挙管理執行上問題となった事項」)。

2021年の衆院選の際は、本人確認誤り等は44件で、内訳は「すでに期日前投票済又は当日投票済の選挙人が、再度期日前投票所又は当日投票所を訪れた際に、投票用紙を交付した」19件、「本人確認を十分行わないまま、本来投票できない者に対し投票用紙を交付した」11件などだ(総務省「令和3年 10 月 31 日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査管理執行上問題となった事項」)。

判定

期日前でも投票日でも本人確認は実施する。ただし、写真付き身分証明書などの提示は義務付けられておらず、ミスも発生している。これらを総合的に判断して、「期日前投票は本人確認不要」は不正確と判定する。

出典・参考

綾瀬市. “(令和6年10月26日発表)期日前投票所における投票用紙の誤交付について”. 2024年10月26日. https://www.city.ayase.kanagawa.jp/soshiki/hishokohoka/pressrelease/press_24/18724.html,(2025年5月27日).

産経新聞. “外国籍市民に衆院選投票用紙を誤交付 神奈川・綾瀬市選管 生年月日の同じ有権者と勘違い”. 2024年10月27日. https://www.sankei.com/article/20241027-4YT6CQ35QRIQRDFIIBDATUZJEM/?outputType=theme_election2024, (2025年5月27日).

衆議院. “衆議院議員武正公一君提出国政選挙における期日前投票のための投票入場券の発送に関する質問に対する答弁書”. 2008年10月3日. https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b170010.htm, (2025年5月27日).

総務省. “期日前投票制度の概要・メリット”. 総務省. https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/touhyou/kijitsumae/kijitsumae01.html, (2025年5月27日).

総務省. “投開票の基本的な流れ”. https://www.soumu.go.jp/main_content/000535497.pdf, (2025年5月27日).

総務省. “投票所入場券の活用について(令和元年5月24日付け総行管第36号)”. https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/tb_h30fu_06mic_24.pdf, (2025年5月27日).

総務省. “なるほど!選挙 投票”. https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo04.html, (2025年5月27日).

宮本聖二. “期日前投票はブラックボックスで不正し放題? 各選管で厳重な対策【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター. 2024年10月31日. https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/false-early-voting-fraudulent/, (2025年5月27日).

NHK. “みんなの選挙 「入場券忘れた」「体調崩した」そんなときは?”. https://www3.nhk.or.jp/news/special/minnanosenkyo/info_12.html, (2025年5月27日).

検証:リサーチチーム、根津綾子
編集:古田大輔、藤森かもめ


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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