参政・大森氏「選択的夫婦別姓で外国人が簡単に国籍を取れるようになる」? 国籍取得と夫婦別姓は無関係【#参院選ファクトチェック】

参政・大森氏「選択的夫婦別姓で外国人が簡単に国籍を取れるようになる」?  国籍取得と夫婦別姓は無関係【#参院選ファクトチェック】

2025年参院選で、参政党から立候補している大森紀明氏が「選択的夫婦別姓で外国人が日本の国籍を簡単に取れるようになる」などと発言しましたが、誤りです。「選択的夫婦別姓」と「外国人の日本国籍取得」の関連性について、大森氏は根拠を示しておらず、法務省も関連は無いと否定しています。

検証対象

参院選で、参政党から栃木県選挙区に立候補している大森紀明氏が7月12日、夫婦別姓に関して「外国人が日本の国籍を簡単に取れるようになる」などと街頭演説で述べている動画を自身のXに投稿した。

検証過程

添付動画は1分32秒だが、元の動画は56分42秒あり、大森氏のYouTubeで公開されている(大森紀明 あおぞらチャンネル  参院選栃木選挙区候補者”大森紀明 参院選栃木選挙区 参政党公認候補者 街頭演説inJR小山駅 西口前 ライブ配信!”)。

YouTubeで、選択的夫婦別姓制度について、大森氏は次のように述べている。

(以下、引用)

選択制夫婦別姓。これも非常に話題になっております。確かに女性の社会進出上旧姓を使うことは理解できます。しかし 通称制度で十分やれますよ。なぜそこまで積極的に入れるんでしょうか?

選択制夫婦別姓を導入してしまうと親は選択できますよ。子供は絶対親子別姓になります。戸籍がめちゃくちゃになります。そして何と言っても外国人の方が簡単に日本の国籍を取れるようになる。帰化しやすくなる。帰化し、そして地方参政権を認めようとしているのが立憲民主党ですよ。

自由民主党も曖昧ですよ。その状況で政治家に、帰化した人がどんどんなっていったらどうなりますか?この国はどうなってきますか? 全てにおいて外国に傾いてる日本なんです。日本は今間違いなく消え去ろうとしている。

(引用ここまで。大森紀明 あおぞらチャンネル  参院選栃木選挙区候補者”大森紀明 参院選栃木選挙区 参政党公認候補者 街頭演説inJR小山駅 西口前 ライブ配信!”36分55秒~37分58秒)

選択的夫婦別姓で戸籍がめちゃくちゃに?

参院選の争点の一つでもある選択的夫婦別姓制度とは、結婚した時に夫婦で同じ名字にするか、別々の名字にするかを選べる制度だ。導入の是非をめぐり、国会で議論が続いている。

大森氏はYouTubeで「選択的夫婦別姓制度によって戸籍がめちゃくちゃになる」と述べている。こうした主張はこれまでもたびたび拡散している(例1,2)。

しかし、歴代の法務大臣は選択的夫婦別姓が導入されても「戸籍の機能や重要性は変わらない」と説明している。過去にもJFCで検証記事を出した通りだ。

JFC”選択的夫婦別姓が実現すると戸籍制度が崩壊する? 国籍や親族関係などの証明機能に変化なし【ファクトチェック】”

JFC”参政党・神谷代表「戸籍がシンプルに」「選択的夫婦別姓で治安が悪化」? 戸籍の根幹に影響なし【#参院選ファクトチェック】”

日本国籍取得と夫婦別姓は無関係

大森氏は「外国人の方が簡単に日本の国籍を取れるようになる。帰化しやすくなる」とも主張している。

国籍法第4条は「日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる」と定めている(e-gov”国籍法第4条”)。

帰化のためには法務大臣の許可が必要で、その条件は第5条に明記してある。

「引き続き五年以上日本に住所を有すること」「素行が善良であること」「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること」など(e-gov”国籍法第5条”)。

また、日本人との婚姻による帰化は第7条で「日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの」について、法務大臣は帰化を許可できるなどと定めている(e-gov”国籍法第7条”)。

いずれも、別姓制度とは関連がない。大森氏も選択的夫婦別姓によってどのように外国人が日本の国籍を簡単にとれるようになるのか、根拠を示していない。

また、日本人と外国人の国際結婚の場合、現状でも届け出をしなければ、夫婦の別姓は維持される(法務省”国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A”)。

日本ファクトチェックセンター(JFC)は法務省に確認した。別姓を導入すると、国籍が取得しやすくなることはあるかと質問したところ、「無いという認識です」と答えている。

判定

選択的夫婦別姓制度は、婚姻後の夫婦の姓の選択に関する制度であり、国籍法で定められた外国人の日本国籍取得の要件とは関係がないと法務省も答えている。また、大森氏も根拠を示していない。よって、誤りと判定する。

出典・参考

大森紀明 あおぞらチャンネル  参院選栃木選挙区候補者”大森紀明 参院選栃木選挙区 参政党公認候補者 街頭演説inJR小山駅 西口前 ライブ配信!”.https://www.youtube.com/live/nO9XSYTfFN8,  2025/07/12 .(閲覧日2025年7月16日)

JFC”選択的夫婦別姓が実現すると戸籍制度が崩壊する? 国籍や親族関係などの証明機能に変化なし【ファクトチェック】”. https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/inaccurate-sanseito-simplification-of-family-registers/, 2025年5月22日. (閲覧日2025年7月16日).

JFC”参政党・神谷代表「戸籍がシンプルに」「選択的夫婦別姓で治安が悪化」? 戸籍の根幹に影響なし【#参院選ファクトチェック】”. 2025年7月7日. (閲覧日2025年7月16日).

e-gov.”国籍法第4条”.https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000147/20220401_430AC0000000059#Mp-At_4, (閲覧日2025年7月16日).

e-gov.”国籍法第5条”.https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000147/20220401_430AC0000000059#Mp-At_5, (閲覧日2025年7月16日).

e-gov”国籍法第7条”. https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000147/20220401_430AC0000000059#Mp-At_7, (閲覧日2025年7月16日).

法務省.”国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A”.
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji15.html, (閲覧日2025年7月16日).

検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔


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